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アンディ・ウォーホルが制作した映画のデジタル化が進行中

Andy Warhol Museumは、MoMAとVFXスタジオMPCの協力を得て、1963〜1972年制作のアンディ・ウォーホルの約500本におよぶ映画コレクションをデジタル化することを発表した。

画像提供 Andy Warhol Museum

ポップアートの巨匠アンディ・ウォーホルが晩年、膨大に映画を制作していたことを知っているだろうか。今年8月半ば、米ペンシルベニア州ピッツバーグにあるAndy Warhol Museumは、彼の映像作品をデジタル化すると発表した。プロジェクトに協力するのは、ニューヨーク近代美術館(MoMA)と、ゴッホの静物画を3Dで表現したことで知られるロンドンのVFXスタジオ、MPCだ。ひとりのアーティストの作品をアーカイブ化する試みとしては、MoMA史上最大規模となる。

(以下、プレスリリースより抜粋)

「今回のプロジェクトでは、1963年から1972年にかけてウォーホルが制作し、40年以上の間廃盤となっていた約500本の映画をデジタルで再現します。1,000本近いオリジナルの16ミリフィルムをひとコマ毎にデジタルスキャンし、高解像度(2K)の画像に変換します。これはきわめて精密な作業なので、この8月から開始する全ての行程を終えるのには数年かかる見込みですが、ひとたびデジタル化が完了すれば、ウォーホルの映画の全コレクションを一般上映でお届けできるようになります。」

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マルセル・デュシャンとベネデッタ・バルジーニ(Benedetta Barzini)、『Screen Test (ST 81)』(1966)より

MoMAの保管センター「セレステ・バトルス・フィルム」(※1)のチーフキュレーター、ラジェンドラ・ロイ(Rejendra Roy)は「ウォーホルの映像をデジタルで保存出来れば、アナログよりも確実に、長期保存が出来る。ウォーホルの映画について研究も進むだろうし、劇場上映も可能になるだろう。」と語っている。

かつてウォーホルは自らのアートについて「僕を知りたければ作品の表面だけを見てください。裏側には何もありません」と述べていた。しかし『Mario Banana』(※2)や『Kiss』(※3)など彼の映像作品を観ていると、ぐいぐい奥に引き込まれ、自分が何を見ているのかよく分からなくなってくる。陶酔させられるのだ。デジタル化が待ちきれない。

Kiss The Boot [Excerpt](1966)より

(※1)セレステ・バルトス・フィルム保管センター:MoMAのコレクションは、6つの分野(建築・デザイン、ドローイング、フィルム・メディア、絵画・彫刻、写真、版画・挿画本)に分けられ、合計20万点を超える作品を収蔵している。フィルムコレクションは1935年に設立され、現在2万2千本以上のフィルム(映画)と4百万のスチール写真を収蔵。 全米最多数を誇る国際フィルムのコレクションは、1996年にオープンしたミュージアム内のセレステ・バルトス・フィルム保管センターに収蔵されている。

(※2) 『Mario Banana』:60〜70年代のニューヨーク・アンダーグラウンドシーンで名を馳せ、ウォーホルが好んで撮影したマリオ・モンテス(Mario Montez)主演によるサイレント映画。No.1とNo.2があり、いずれも1964年制作。

(※3)1963年に制作されたウォーホルの映像作品。50分間、様々な男女が登場し、それぞれ3分30秒キスをしている。ウォーホルが使用していたニューヨークのスタジオThe Factoryで制作された初めての映画。