「普通で良くない?」
ブロンドの髪に大きなブルーアイズ。ピンク色の洋服がよく似合う白い肌。小さな顔、大きな胸、くびれたウエスト、長い脚。ハイヒールを履くための小さな足は、常につま先立ちの状態だ。人間離れしたプロポーションのバービー人形に違和感を感じたニコライ・ラム(Nickolay Lamm)は、医療機関が公表する19歳女性の標準体型の数値を参考に、3Dプリンターで普通の体型をしたバービー人形を制作。「ラミリー(Lammily)」はネットで話題となり、すぐに商品化された。
「Lamily」
その後もバービー人形の “普通化”は止まらない。今回ニコライが発売したのは、人形に貼って遊ぶシールシートだ。アイメイクやマニュキュアといったキラキラしたものではなく、セルライトやシミ、シワ、そばかす、ニキビや傷といった、女子なら隠したくなるようなものばかりが集められている。
今回発売されたシール
差別に対する過剰なまでの反応
1950年代後半にアメリカの玩具メーカー、マテル社から発売されたバービー。日本でも、自分たちの顔や体型とはかけ離れているが、その“お人形さんらしさ”に惹かれた少女ならば、一度は遊んだことがあるだろう。アメリカでは近年、典型的なバービーには人種や女性に対する差別意識が反映されているとして、数々の論争を巻き起こしてきた。
2010年3月、アメリカの世界最大スーパーマーケッチェーン、ウォルマートで発売されていたバービー人形。一般的なモデルが$5.93で販売されてるのに対し、黒い肌をしたモデルは$3.00に値引きされている。
2013年、アメリカの世界最大出版社ランダムハウスから出版された児童向け図書。ウェブデザイナーとして働くバービーの台詞に非難殺到。「私はデザインするだけ。プログラマー(男性)に頼まないと、このプロジェクトは実現しないのよ」
これは確かに”いいこと”だ。自由と平等を求めて歩んできたアメリカらしい。けれど今回発売されたこのシール、欲しいと思う少女はいるのだろうか。