英国マンチェスター出身の伝説的ポストパンクバンド、THE FALLのフロントマン、マーク・E・スミス(Mark E. Smith)が、1月24日逝去した。享年60。このニュースは、バンドのマネジャー、パン・ヴァン・ダムド(Pam Van Damned)がTwitterアカウント〈@fallnews〉上で発表した。
最後に、アルバム『Sub-Lingual Tablet』について。これまでのアルバム同様、高尚から低俗への振り幅がハンパじゃない。ゲルマン的雰囲気の、10分を超える「Auto Chip 2014-2016」、電子音満載の「Dedication not Medication」などが〈高尚〉の好例で、「Fibre Book Troll」や「Quit iPhone」が〈低俗〉の好例だ。「Fibre Book Troll」といえば、1年前にマークに会ったとき、ネット上で彼を騙った輩どもを、マンチェスターのマフィアに頼んで突き止めて「ボコボコにする」つもりだ、と語っていた。その後、騒ぎは収まったのだろうか。「しばらくはそれにかかりっきりだった。あのインタビューの俺はサイコパスじみてた、って妻にいわれたくらいだ。犯人4人のうち、ひとりには自分がニセモノだと白状させて、ひとりはボコボコにした。あとのふたりはトンズラしやがった」それからアルバム収録曲の「Stout Man」に話題が移った。タイトルが「Stout Man(デブ野郎)」だ。ジェームズ・ウィリアムソン(James Williamson)時代のTHE STOOGESを彷彿とさせるサウンドで、ベビーカーを乱暴に扱う太っちょについての曲だ。「いつもメンバーたちがTHE STOOGESのことをしゃべってるからだよ。俺は、バンドメンバーよりも歳だから、THE STOOGESが好き、とかホザくんじゃねえと思うわけだ。アイツらは、THE STOOGESのコード進行といえば〈A/E/A/E〉だとかいうけど、「Cock in my Pocket」(1976年のライブアルバム『Metallic ‘KO』収録)、聴いたことないんだよ。『THE STOOGESの1stが…』じゃねえよ、あたりまえだよ。俺が16歳のときに買ったアルバムだぞ。だからメンバーに、テメエらとにかく、まずは「Cock in my Pocket」を勉強しろって命令した。スタジオ・アルバムには入ってないんだけど、気合い入れて探せよ、ってね。まあ、こんな時代だから、eBayとか、〈Shazam〉とかで見つけるだろ。それで勉強しろって、ハードルを設定したわけだ」。バンドメンバーはその試練を受け止めた。その結果、マークにとっては頑張りすぎてしまったようだ。「俺を嵌めたんだよ。内緒でスタジオにこもって、練習しまくってやがったんだ。俺は全然気づかなかった。でも、ロンドンに向かう車内で、ふとシートの裏をみたら、ホコリをかぶったCDがあった。それが「Stout Man」のオリジナル・ラフ・ミックスだったんだ。それをアルバムに収録することにした。8~9バージョンも録ってたからな。しょうがねえヤツらだよ。たぶんアイツら、この曲以外のアルバム収録曲の総練習時間よりも、この1曲にかけた時間のほうが断然長いはずだ」「いいですね」と私は相槌を打つ。「良くない。俺の時間が無駄になっただけだ。良くできたヤロウどもだ。他の曲やればいいのに、こればっかり何度もやるんだから。このCDは、神様からのプレゼント並みに価値があるよ」