電子タバコによる新型コロナ重症化の根拠はない、と米FDA認める

3月下旬、FDAは基礎疾患のある電子タバコ使用者は新型コロナに感染すると合併症の発症リスクが高まるという声明を出し、タバコ規制団体の反発を招いた。​
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translated by Nozomi Otaki
23.4.20
新型コロナ 電子タバコによる重症化の根拠はないと米FDA発表
Photo by Jackson Krule

米食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)は4月15日、新型コロナウイルス(COVID-19)と電子タバコとの関連性についての強硬な姿勢を和らげ、電子タバコが新型コロナの合併症発症リスクを高める証拠はない、と発表した。しかし、喫煙によるリスクは引き続き警告している。

「電子タバコの使用によって肺が有害化学物質にさらされる可能性がありますが、それによって新型コロナウイルスのリスクが高まるかどうかは不明です」とFDAは〈Bloomberg News〉のメールに回答した。

3月下旬、FDAは基礎疾患のある電子タバコ使用者は新型コロナに感染すると合併症の発症リスクが高まるという声明を出し、タバコ規制団体の反発を招いた。

「今になって、ニコチンを含む電子タバコ製品の使用と、新型コロナウイルス感染症やその重症度を関連づける証拠はないという公的立場を取ったFDAの対応は、決して褒められたものではありません」と〈American Vaping Association〉代表のグレゴリー・コンリーはVICEに語った。「FDAは数週間経ってようやく認めましたが、何の知識もない話題に言及して火に油を注ぐなんて、本当に無責任です」

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3月31日、アイオワ州司法長官のトム・ミラーは、科学者や政策の専門家と連名で、電子タバコとコロナウイルスの関連性にまつわるFDAの認識を批判する文書を提出した。本文書は、Bloomberg Newsに掲載された「電子タバコは新型コロナウイルスに関連する健康リスクを高める恐れがあるとFDAが発表(Vaping Could Compound Health Risks Tied to Virus, FDA Says)」という記事に対するもので、共著者にはハーバード大学やニューヨーク大学、ミシガン大学の教授も名を連ねた。

同記事では、電子タバコそのものが健康リスクを高めるわけではないと述べられているのに、前述のタイトルではFDAが言及しているのが〈既に基礎疾患のあるひと〉の〈新型コロナに関連する健康リスク〉であることが明らかになっていない、と彼らは指摘した。

本文書の執筆者たちは、基礎疾患の原因となるのは生涯にわたる喫煙であり、FDAは紙巻きタバコをやめて電子タバコへと移行した元喫煙者にアドバイスする場合は注意するべきだ、と主張した。彼らは、電子タバコは効果的な健康被害軽減ツールであり、従来の紙巻きタバコより安全な代替品だとしている。

「喫煙を原因とする基礎疾患のある人びとに電子タバコの使用を控えさせたら、その多くが紙巻きタバコへと戻ることになるのに、今回、FDAは一体どんな根拠をもってこのような声明を出してもよいと考えたのでしょう?」と彼らは問いかける。「FDAはいかなる証拠に基づいて、他でもないこのコロナ危機まっただ中に、公衆衛生のために成人喫煙者に電子タバコの使用を控えるよう忠告するのが適切だと考えたのでしょうか?」

2019年、FDAは電子タバコに関して、何度も失態を犯した。昨年夏、電子タバコ製品の使用に関連する肺損傷(e-cigarette or vaping product use associated lung injury:EVALI)による死者が増加して混乱が広まったさい、FDAと米疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)は、数ヶ月後になってから、これらの疾患や死の原因は、ニコチンを主成分とする合法の電子タバコリキッドではなく、有害物質を含む違法のTHC(テトラヒドロカンナビノール)カートリッジである可能性が高い、と認めた。しかし、電子タバコを健康被害軽減ツールとみなす人びとや電子タバコを推進する活動家によれば、それは既にニコチンやTHCを含むあらゆる電子タバコ機器にも原因がある、という認識が世に広まり、電子タバココミュニティや電子タバコ業界が打撃を受けたあとだったという。

「今回のパンデミックに乗じて、電子タバコをめぐる非科学的な戦いを続けようとする多くの保健機関と違って、FDAが発表を取り消したのは喜ばしいことです」と明言するのは、タバコに代わる健康被害軽減ツールを推進する非営利団体〈Consumer Advocates for Smoke-Free Alternatives Association〉の理事で、ネット上での電子タバコ推進活動で知られるマット・カリーだ。「しかし残念ながら、昨年のEVALIに関する誤情報のように、被害は既に広まってしまいました。この先も長期にわたってタバコの健康被害を軽減する試みに打撃を与えるでしょう」

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This article originally appeared on VICE US.