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マンハッタンで40年続く 昔ながらの製本工房

創業以来何も変わらない、工房と仕事。旧約聖書、論文の手縫い、大判ハードカバーの写真集、何を頼まれようが、ヘンリーは昔ながらの手作業で、その日のうちに仕上げてしまう。

ヘンリーストリート、135番。シナゴーグの下、ヘンリー製本の入口

ローワーイーストサイドにあるシナゴーグの地下で40年間続く『ヘンリー製本(Henry Bookbinding Co.)』。超正統派(ハシディーム)ユダヤ教徒の製本マエストロが、取っ散らかった工房を運営している。本人が、本名を名乗りたがらないため、皆はマエストロを「ヘンリー」と呼ぶ。

工房の中は昼夜の判別も覚束ない。製本生地のロールに埋もれた、使い古しの製本機と手垢で黒ずんだハンドル、その隣にある作業テーブルの上にはマットレスが無造作に敷かれている。ヘンリーはそこで、仕事の合間に仮眠をとる。

創業以来何も変わらない、工房と仕事。旧約聖書、論文の手縫い、大判ハードカバーの写真集、何を頼まれようが、ヘンリーは昔ながらの手作業で、その日のうちに仕上げてしまう。

ヘンリー製本のウェブサイトはないが、ネットのあちこちで、彼を讃える熱狂的な書き込みは後を絶たない。彼はネットと無縁の生活を送っているが、顧客にはレビューで褒めるようお願いするのだそう。このマエストロ、利用せずともインターネットの扱い方、製本同様、よく心得ていらっしゃるようだ。

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工房内観

電話中のヘンリー。隣にあるのは、ケンソルの旧式スタンプマシーン

仕事中のヘンリー。これが作業着

糊用のバケツと、乾燥して固まった糊

ケンソルの旧式プレスマシーンと刻印

仕事中のヘンリー。天井からぶら下がっているのは自家製ゴキブリホイホイ

タイトルのエンボス加工に使う金箔