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禁酒して絶好調のクリス・ホルムズ(元W.A.S.P.)

「Two-Faced Motherfucker(上っ面だけのクソ野郎)だ。今までオレが出会ったクソ野郎ついての歌だ」

W.A.S.P.って知ってますか?もちろんヤングでキッズなみなさんなら知らなくてもちろんオッケーですし、アダルティーなみなさんでも知らない方がこれまでの御人生うまく進んでいるに違いありませんね。ザックリ説明しますと、股間にノコギリをつけてて、血糊をチューチューして、ガイコツ(作り物)を持ってて、豚(作り物)を解体して、メンバーの母さんがヘルス・エンジェルスで、背中から煙を出して、ガオーッ!ってポーズがお得意な80’sヘヴィーメタル・バンドです。

で、そんなガオーッ!の1人であったのがギターのクリス・ホルムズ。先月でしたでしょうか。いきなり彼のソロ・ミュージック・ビデオが出回りまして、そのインパクトのデカさに世界中が大失禁。更にまもなくソロ・アルバムもリリースされるのです。まずはビデオを見て頂いて、インタビューも読んで頂いて、アルバムに備えて頂きたい。この人、サイコーです!

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もしアナタがメタル・ファンなら、きっとクリス・ホルムズの「Let It Roar」、とっくにチェックしてますよね。世界中の評論家が絶賛しています。「これは紛れもない名曲だ」「クリスの才能は枯れていない」等々。フランスのカンヌにある新居で撮影されたミュージック・ヴィデオの中で、W.A.S.P.の元ギタリストは、コーヒーを飲んだり、パンを食べたり、犬に餌をやったり、ドラムを叩く真似をしたり、釣りをしたり、中指を立てたり、ソフトクリームを食べたり、ギターを手にビーチを歩きながら「生娘を売女にしてやる!」と雄叫びをあげています。これは、ホルムズが出演したビデオの中で、間違いなく2番目にイカれています。群を抜いてイカれているのは、ペネロピー・スフィーリスが1988年に発表したドキュメンタリー『西洋文明の衰退2:メタルの時代』。このインタビューの中でクリスは、泥酔してホテルのプールに浮かびながら、頭にウォッカをぶっかけ、ロレツの回らない舌でつじつまの合わないことをホザいています。その横で、彼の母親が途方に暮れた顔で静かに見つめている、という、何ともシュールな映像です。

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「Let It Roar」はこれからリリースされるホルムズのソロ・アルバム『SHITTIN’ BRICKS』収録曲。このアルバムは…何と言ったらいいのやら。ここで付け足せることは、何もありません。何しろタイトルが「SHITTIN’ BRICKS(やばい状況)」。なんかやばいんでしょうね。これはもう、本人にしかわからないでしょうから、彼に話をきいてみました結果、話題は警察に追われたこと、逮捕、飲酒運転…、実はまだまだたくさんあるのですが、ホルムズの外道武勇伝になってしまいました。1996年以、彼は禁酒していますから、今では笑い話です。

それでは皆様、メタルの中のメタル、クリス・ホルムズのインタビューをお楽しみください。

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どうしてフランスに引っ越したんですか。

嫁がフランス人だ。W.A.S.P.を脱退してL.A.でブラブラしながら、一緒に演奏できるミュージシャンを探したけど、見つからなかった。ここ10年でミュージック・シーンが変わったからかな。オレがやってるような音楽は、廃れちまったみたいだ。2年ほど前にセブン・イレブンに行ったら、ガキが一人車から出て来たんだけど、聴いてたのがロックじゃなかったんだ。オレがガキの頃はロックしか聴かなかったから、オレのやってる音楽はダセーんだ、って悟ったんだよ。

ガキは何を聴いていたのですか。

ヒップホップ。オレはああいう音楽はやらない。友達の子供が高校生なんだけど、そいつにも訊いてみたんだ。「なんでディープ・パープルとか、ロックを聴かないんだ?」ヤツはこう答えやがった「そんなのヘナチョコが聴く音楽だよ!」。そいつ、白人だぜ。だからこう思ったんだ、世間がクールなロックを聴かないんだったら、アメリカにいる意味なんてねぇ、ってね。オレは50過ぎたけど、まだメタルしたいんだ。だから嫁に頭下げて、引っ越すことにしたんだ。まだこっちは、みんなロックが好きだな。コンサートも多いぜ。

選択は正しかったんですね。

あたりまえだろ。こっちのカルチャーに馴れればいいだけだからな。こっちではアメリカンなんて飲まないんだぜ(笑)。エスプレッソだ。関係ねぇけど、フランス人は親切だ。

フランス語は話せますか。

Parlez-vous Francais ?(フランス語は話せますか?)Merci beaucoup !(どうもありがとう!)どうよ?勉強はしてる。フランス語で歌う予定はないけどな。ずっと英語だろうな。英語とメタルが好きだ。

引っ越してからライヴはやっていますか。

去年は10回くらいやったな。アルバムのミックスをしてるから、それを全部終わらせたいんだ。あとはツアーしたいから、バンドのメンバーを集めてる。今のところ、ニースやカンヌ出身の連中だ。 フィンランドにもしばらくいた。あっちのバンドと仕事をするつもりだったけど、上手く行かなかった。ヤツらはW.A.S.P. の曲ばかり演奏したがったんだ、オレはオレの曲をやりたかったからムカついたんだ。まあW.A.S.P. の曲をやるのも面白かったけど、同じ曲ばかりやってると飽きるんだよ。新しいのがやりたかったんだ。

ニュー・アルバムのタイトルは『SHITTIN’ BRICKS』です。意図を教えてください。

警察に追われてるって意味だ。まだ捕まってない、ってな。

実話ですか?

嘘なんてつかねーよ。L.A.では何かと警察に追われてたからな。グレンデールの近くにあるラ・カニャーダ・フリントリッジってところにいたんだ。ジェット推進研究所のすぐ近くだ。うちの裏庭から石を投げると研究所の建物に当たるんだ。ガキの頃、ダート・バイクを持ってたから、近所の馬用トレイルを走り回ってた。警察はオレを追いかけ回したけど、オレが住んでた辺りではヘリコプターなんかなかったから、捕んなかったぜ。そのうちパサディナ市がヘリを導入したけど、その頃には車を運転できる年齢になっていた。

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警察にヘリコプターで追いかけられはしなかったのですか。

オレは馬鹿だけど、そこまでじゃない。ヘリからは逃げられるだろ。いや、まて。一つだけ方法がある。空港近くのトンネルに入るんだよ。ヘリコプターはあの上空を飛べないからな。そこからセプルヴェダ辺りに出て、車をぶつけて、別の車に乗り換える。そしたら捕まらないかもしれないな。

随分真剣に考えたんですね。

(笑)。まあ、L.A.にいると毎日テレビでカーチェースを沢山見るだろ?で、誰も逃げ切れない。うーん、車を諦めて、排水管を降りるっていうのもアリだな。何処に出るのか分かっていればだけどね。まあ、それでも捕まるな。そういえば、テレビの「Cops」で見たんだけど、四駆に乗ったヤツが泥道に入って川を跳び越えたんだ。警察は追いかけたけど、川の手前で止まらざるを得なかった。ヤツは逃げ切った(笑)。そんなの見たのは初めてだったね。スゲぇよなー。

それTVの話ですよね…..スゲぇといえば、新曲「Let It Roar」はすごい反響ですね。どうですか。

いいや。オレのことをでたらめに言うヤツが多い、ってだけの話だ。知ってるだろ、Blabbermouthで取りあげられたら最後、こき下ろしが始まるんだ。オレが何をやったっていつもW.A.S.P.と比較される。だいたい悪口だよ。だからネットであんなに広まったんじゃないかな。あのビデオは、オレのカンヌでの日常を映しただけだ。美しい街だよ。オレが釣りをしたりしてるところが映ってる。波が岩にぶち当たって、オレが突き落とされそうになってるところが映ってるだろ(笑)。いい街なんだ。L.A.ではこんな風には暮らせない。

もう一つ、「TFMF」という曲がありますが、何の略ですか?

汚ねぇ言葉でいいのか。

もちろん。

よし。Two-Faced Motherfucker(上っ面だけのクソ野郎)だ。今までオレが出会ったクソ野郎ついての歌だ。一人だけじゃないぜ。歌詞を聴けば誰のことか分かるはずだ。

あなたはギタリストですが、何で歌い始めたんですか。

酔いどれだろ?(笑)ギターは二番目だ。違うか?

(笑)。

なんで歌を始めたのかって話だったよな?偶然といえば偶然なんだ。2、3年前にモーターヘッドのフィル(フィルシー・アニマル)・テイラーと仕事をしていた時に、この曲のアイディアが浮かんだ。レコーディングはしたけど、後でコンピューターにこの曲が入ってるのに気づくまでは、全然気にかけていなかった。聴いてる内に歌詞のアイディアが浮かんだから曲に会わせて歌ってみたら、結構クールな感じだったんだ。それでもう一曲歌ってみたら、それも悪くなかった。その調子でどんどん出て来たんだ。 メロディーと歌詞を合わせるのが好きだ。自分が最高のシンガーじゃないってことは分かっちゃいるんだけど、大体ギタリストがソロ・アルバムを出すときって、歌は歌わないだろ。(ドッケンの)ジョージ・リンチもソロ・アルバムを出したけど歌ってはいない。でも、歌わなきゃソロ・アルバムとは言えないだろ?だから歌うことにしたんだ。あと、リード・シンガーに付き合う必要もないからな。「LSD」って知ってるか?

リード・シンガー病(Lead Singer’s Disease)のことですね。

そう。あれを我慢しなくていいんだ。自分で歌って、立っていられるかもしれないし、転ぶかもしれない。どうなるかな。

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ニュー・アルバムの他の曲についても聴かせてください。「In Your Mouth(おまえの口の中)」という曲がありますね…。一体、なんなんですか

あれね、おかしな歌だよ。歌詞を聴かないとな。友達の女の子がバックコーラスで「あたしの口の中~」って歌ってるんだ。イイだろ?それから家賃を払わないで、壁にゴキブリが這ってることを歌った「Don’t Care(どうでもいい)」っていう曲もある。歌詞の中に「オレはタマをこすってそれを壁に投げつける」って一節があるんだ。眼球をこすってゴキブリを潰す…みたいなね。イイだろ?

「ホルムズ・スイート・ホルムズ」というリアリティー番組に出演するという噂がありますが、本当ですか。

ああ、それは嫁とあるプロデューサーが計画してる。ヤツらに訊くのがいいな。あんまりオレは知らないんだ。でもまだ計画段階だよ。多分、ツアー中にバックステージでどんなことが起きてるかを見せるっていう趣旨だと思うよ。上手くできれば面白いかもしれない。もちろん笑える番組としてね。どこで放送するかしらないけど、まあ一つ言えるのはMTVは絶対放送しないだろうってことだね。

『西洋文明の衰退2:メタルの時代』でのインタビュー以来、カメラに追い回されるのが億劫にならなかったんですか。

あんなもんが出ちゃったんだから、もうどうでもいいだろ。全くどうでもいい。あれ以上の生き恥はないからな。

禁酒もしてますよね。泥酔状態でのインタビュー、頭からウォッカを冠ることもないんですね。残念です。

ない。シラフでも今まで以上にアホなことをやってるけどな(笑)。酒ってさ、飲めば段々気分が良くなって「この二倍飲めば、二倍気持ち良くなる!」って思うんだけど、そうはならないだろ。それで思い出した。アルバムにもう一つ「502」って曲があるんだ。

その数字は何ですか。

飲酒運転で、「502(飲酒運転を指すアメリカ警察のコード)」をくらう話だよ。路肩に停車させられて、罪状を読み上げられるんだけど、しょっちゅう聞いたから、もう覚えてんだよ。

何回くらい飲酒運転で捕まったんですか。

記録では6回。見逃してもらったことが何百回もあったな。ほとんど覚えてないけどな。酒を飲んで運転するのが大好きだったんだよ。酒を飲んで運転すると、運転が上手くなったような気がいつもしてた(笑)。でも酒は1996年にやめた。今じゃ友達が酔っ払ってとんでもなく馬鹿なことをするのを横で見てるよ。別に酒を飲むヤツに反対なんかしない。一杯や二杯や三杯、手持ちの金によるけど驕ってやるよ。だって面白いだろ。酔っ払ったヤツらの醜態を笑ってやるんだ。転んだら起こしてやるけど、またすぐに転んじまう。シラフのヤツがベロベロになるのを冷やかして心底楽しむんだ。

飲まないのに、酒飲みと一緒にいるのは辛いんじゃないですか。

まあ、翌朝起きても二日酔いがない、ってことを思い出せばいいのさ。