illustration of person sitting and reading inside an oversized book, with virus shapes floating outside the book covers
Illustration by Hunter French

この難局をどうにかひとりで乗り切るための12のアドバイス

新型コロナウイルスのパンデミックのさなかで、私たちの心に重くのしかかる孤独感。うつうつとした気分を少しでも軽くするヒントを紹介する。

世界中で新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが加速するなか、ソーシャルディスタンシングや同じ場所にこもり続けるのは、私たちの心に大きな負担をもたらす。たとえ大切な誰かと一緒に暮らしていたとしても、それは同じだ。

誰かに傍にいてほしいのに、この苦境を独りで乗り越えなければいけないとしたら、その負担はなおさらだ。 隣にパートナーがいると在宅勤務が捗らないって? 私なんか、この先3ヶ月誰にも触れずに孤独死するのを恐れているっていうのに? ちょっと黙ってて! と嘆きたくもなる。

こんな状況下で、独りで心安らかに過ごすというのはなかなか難しい。しかし、こんな状況だからこそ学べるスキルもある。ソーシャルディスタンシングに嫌気がさしているあなたに、この史上最大の難局を乗り切るための、この期間に覚えておくべき12の生活のヒントを紹介する。

1. 孤立、寂しさ、独りを区別しよう

この3つの言葉の意味には重複する部分もあるが、対処方法はそれぞれ違う。今の自分がどれに対処すべきかを知っておけば、きっと役に立つはずだ。

まず、〈孤立〉とは、一般的にいえば、物理的に周りに人がいないということだ(もしあまり仲が良いといえないルームメイトと暮らしていたり、恋人と遠距離恋愛をしていて、自分は実質ひとりぼっちだ、と感じているあなたにも、この記事は為になるかもしれない)。

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次に、〈寂しさ〉は、自分の周りに人がいようがいまいが湧き上がってくる感情だ。たとえば、住んでいる街や新しい職場、自己隔離中の自宅のソファーで話し相手がいない、もしくはどんな些細なことでも、その日にあった出来事を打ち明けられる相手がいないと、誰も自分をわかってくれない、と思ってしまう。長い間独りで過ごすのが平気なひとでも、私たちが心の健康を保つには何らかの社会的な繋がりが必要不可欠であり、だからこそ、あなたが今感じている寂しさに前向きに対処するのが重要なのだ。

最後に、〈独り〉とは、『Lead Yourself First: Inspiring Leadership Through Solitude』の著者のレイモンド・ケスレッジとマイケル・アーウィンの定義によると、「他の思考からのインプットから距離を置き、自分だけの問題に向き合っている主観的な心の状態」だ。独りは、自分の思考だけに向き合っている状態を指す。すなわち、誰かと電話などで会話することも、メッセージやTwitterばかりみることも、テレビの視聴や読書もしないということだ。

〈独り〉を楽しむ能力は、当然ながら寂しいという感情によって抑制されるので、ここでは両方について考えたい。独りを楽しむスキルは、自ら鍛えることができる。もしあなたが物理的に孤立することや携帯電話が手元にないと不安になる、もしくは恋人がいないことや、友人グループが自分や自分という人間の価値をどう評価しているかが気に掛かる場合は、独りを楽しむスキルを〈鍛える〉必要があるかもしれない(これについては、後半でもう少し詳しく説明する)。

2. 孤独を感じているなら、それを誰かに伝えよう

他人に自分の弱さをさらけ出すのは難しいかもしれないが、今こそそれを実行する絶好のチャンスだ。なぜなら、今の私たちは誰もが文字通り〈脆弱〉なのだから。どうすれば他人と距離を置きながら生活を続けられるだろう、と悩んでいるのはあなただけではない。それを誰かに打ち明ければ大きな安心感が得られるし、相手も一歩踏み込んで本心を打ち明けてくれるかもしれない。さらに、弱さをさらけ出すことは、大切なひとに、自分も孤独を感じていたら、それを誰かに伝えてもいいんだ、と気づいてもらうきっかけにもなる。

「マジで暇すぎてウケる。もう何日も誰とも話してないんだけど」と孤独感を暗に〈匂わせる〉よりも、素直に伝えたほうが、ずっと多くのひとから反応が返ってくるはずだ。私たちが何を求めているかは、思った以上に明確に伝わることは少ない。もしまだ〈寂しい〉という言葉を使っていないなら、今すぐ使うべきだ。

3. コミュニケーションは量よりも質を大切に

孤独なときは、いわゆる〈話し相手〉には事欠かないSNSに、長時間入り浸りたくなってしまうかもしれない。しかし、更新される情報をただ受動的に受け取ったり、ネット上だけの知り合いと断片的な会話を交わすのに費やす時間やエネルギーは、もっと建設的な人間関係(比較的新しいものでもOK)を深めるために使ったほうがいい。独りを楽しむスキルを養うには、真正面から寂しさと向き合い、いざ独りぼっちになっても快適に過ごせる余裕を持とう。

寂しくなったらFacebookにログインしたりメッセージを大量に送る代わりに、今後数週間は、自分にとって本当に大切な数人を思い浮かべ、彼らと電話、FaceTime、Zoomなどで楽しい時間を過ごすことを最優先してほしい。短い会話でかまわないし、〈有意義な〉時間にするために深く真面目に話し合う必要もない。同僚とふざけあったり、くだらないことを言い合うのも効果がある(その後でSNSでも会話する時間があるなら最高だ)。

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ステータスやInstagramのストーリーの更新、ツイート、メッセージなど、コンテンツをつくることが、独りの時間を満喫する妨げになっていないかも考えてみるといい。これらを投稿すればするほど、返ってくる反応が多くなる。その結果、普段よりも多くの時間をさまざまなアプリに費やすことになる。何かを投稿しているときは、自分の思考、観察、経験、すなわち独りの時間に100%集中できていない。1時間か半日だけアウトプットを控えてみるのも、独りを楽しむための練習として効果的だ。

4. 自分を責めない

たいていの場合、独りでいることへの不安は、自分のことがあまり好きじゃない、もしくは自分が孤独なのは自分の価値に原因があるのではという不安に結びついている。しかし、パートナー(もしくは強力なネットワークや頼りになる家族)がいないからといって、あなたは欠陥があるわけでも、異常でも、誰にも愛されないわけでもない。今、こんな時期だからこそ、そう自分に強く言い聞かせるべきだ。

そういうマイナス思考と向き合う効果的な方法は、それをすべて頭から追い出すことでも、他者からの承認によってそれを沈めることでもない。そうではなく、自分という人間を理解し、〈自分は善良で何も欠けておらずかけがえのない存在だ〉とより深く信じようとすることだ。そのことを受け入れ、独りの時間を楽しめるようになるのは一晩では無理かもしれないが、少しずつ進めていけばいい。

まずは、できるだけ自分を甘やかすところから始めよう。ネガティブ思考や批判的な思考が湧き上がってきたときは、その存在を認めつつも、その思考に続いて〈ウサギの穴〉に飛び込んではいけない。少し時間をとり、ありきたりに思えるかもしれないが、どんな些細なことでもいいので、自分の強み、興味関心、優先事項、長所、最近の成功体験などを書き出してみよう。

5. 積極的に独りの時間を楽しもう

独りを楽しめるようになるには、近道は存在しない。このスキルを身につけるには練習が必要だ。筆者自身は、積極性が大切だということに気づいた。時間を設定して、自分の思考のみと向き合うことを意識的に選択し、少しずつ進めていく。そのほうが、友達が誰も自分のメッセージに返信してくれなくて突然孤独になってしまうよりも、心の準備をする余裕ができる。

誰にでも効果がある練習方法というものはわからないが、私に効果があったのは、携帯を機内モードにして1時間タイマーを設定し、本を読むことだ(先ほど読書は厳密には〈独り〉とはいえない、と述べた。確かに読書はインプットに他ならないが、個人的には、完璧な〈独り〉を追求して自分に厳しくするあまりすぐに諦めてしまうよりも、まずは比較的挑戦しやすく、それなりに効果が得られるものから始めたほうがいいと気づいた)。

読書中すぐに気が散ってしまうであろうことはわかっていたので、言葉の意味やレファレンスを調べるための休憩はとらないことにした(そうすると無意識のうちにメッセージに返信し始めてしまうので)。60分間、ただひたすら本に向き合った。その時間はいつも飛ぶように過ぎ、この練習は私の人生にとてもポジティブな影響をもたらした。読書量が増えただけでなく、脳が燃えているような感覚がなくなったのだ。このセッションを終えるたびに、独りを楽しむ〈筋肉〉が鍛えられていくのを実感した。

6. 瞑想的な習慣や趣味を見つけよう

瞑想は、独りの時間を楽しく過ごせるようになる最適の方法だ(試しにやってみたいという方には〈Headspace〉というアプリをおすすめする)。この方法も万人に効果があるとは言い切れないが、瞑想的なアクティビティも充分役に立つ。それは今、あなたが想像するような〈ただ座って何もしない〉ことよりもずっと簡単だ。

アクティビティは、反復的だが、存分に楽しめて元気が湧いてくるようなものを探そう。私の場合はパズル、刺しゅう、クロスステッチ、ハンドレタリングだった。あなたにとっては水彩画かもしれないし、手打ちパスタづくりや編み物かもしれない。手を動かしつつも、思考は自由でいられるものであることが重要だ。BGMが欲しいなら音楽をかけてもいいが、Netflixやポッドキャストなどのエンタメコンテンツは避け、進捗具合を記録したりシェアしたりせず、ただ自分自身に集中するようにしよう。

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7. 退屈なときにやることリストを作ろう

何かやることを探そうとして脳がパンク状態になり、つい携帯を取り出してInstagramのDMをチェックし、90分も画面をスクロールし続けてようやく我に返る…。そんな失敗を避けたいなら、〈暇を持て余したときにやることリスト〉を作っておけばいい。先ほど述べたような独りを満喫する方法以外に、映画、テレビ番組、ポッドキャスト、ゲーム(『New York Times』のパズルやゲームは、独りの時間に最適だ)、本などをリストアップしよう。それから筋トレ、部屋のプチ掃除、くだらない楽しみ(人気TikTokダンサーのチェックやWikipediaページめぐり)なども忘れずに。

8. セルフケアを確認するシステムをつくろう

精神的につらい時期には、風呂、食事、水を飲む、身体を動かすなど、基本的なタスクをこなすのすら難しくなる。「昨日の朝から何も食べてなくない?」と確認してくれる相手がいないならなおさらだ。カレンダーの通知やアラームを設定し、日常生活におけるタスクをきちんと管理しよう(筆者おすすめのタスク管理アプリは〈Done〉)。

9. 誰かに緊急時の連絡を頼もう

今のような不安が絶えない世界で、メッセージや電話で「ねえ、生きてる?」と誰かに毎日確認してほしい、という想いは、決して不自然でもバカげてもいない。隣人やそれほど親しくない相手を頼るなら、あなたに頼みたいのは緊急時の連絡だけで、精神的な支えになってほしいわけではない、ということをはっきり伝えよう。たとえば、「こんなときに独り暮らしなのはちょっと不安なので、誰かチェックしてくれるひとがいてくれたら安心できると思って。万が一、丸一日物音が聴こえないなんてことがあったら、私に電話して/ドアをノックして/妹にメッセージを送ってくれませんか?」と頼んでみよう。

10. 飲酒量に気をつけよう

先日VICEの記事でも発表されたが、今回のパンデミックを受け、多くのひとが他者との関わりとの代替手段として、もしくはネガティブな感情を打ち消すために、飲酒に頼っていることが明らかになっている。あなたが今求めているのも、そのふたつではないだろうか。もしそうなら、飲酒量に気をつけるか、飲む前にひと呼吸置いて、「なんで自分はこれを飲もうとしてるんだっけ? 自分は何をしたいんだろう?」と今の状況を見定めてみよう。

11. 罹患したときのことが不安なら、万が一に備えてリストを作ろう

COVID-19の検査や治療を取り巻く状況は日々変化しているので、今計画を立てるのはとても難しい。ひとつ不安な気持ちを落ち着かせるためにできることがあるとすれば、大まかな準備をリストアップしてくことだ。必要に応じて適宜更新していこう。

準備リストを作るさい、確認しておくべきこと:

  • 最寄りの病院を調べ、救急外来の電話番号を書き留めておく(可能なら、救急処置室の入り口の場所も調べておく。それが無理なら、救急処置室に電話をかける/処置を受ける場合に備えて、〈入り口の場所を訊く〉とメモしておく)。
  • 必要なら、誰かの車に乗せていってもらうなど、病院へ行く手段も確保しておく。
  • 財布に保険証は入っているか? 手元に保険証がない場合は、氏名、生年月日、連絡先(電話番号)、加入している医療保険者が分かる情報(被用者保険の場合は事業所名、国民健康保険の場合は住所及び組合名、後期高齢者医療制度の場合は住所)を書いたメモを作って財布に入れておく。
  • 緊急連絡先は? 万が一のために、あなたの緊急連絡先を知らせておくべき近所のひと(隣人、大家さん、同僚など)はいる? あなたが緊急連絡先を知っている近所のひともメモしておく。
  • あなたが入院したら、誰かの世話が必要なペットはいる? 世話をしてくれるひとは? 家の鍵はどうやって渡す?

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このリストを作る目的は不安を減らすことなので、メモを作ることで返って不安を煽られるようなら、最低限のことを書き留めておくだけでもいい。もしくは後日、気分の良いときに取り組んでみよう。

12. 今の状況に不安を抱くのは当然のことだ、と理解しておこう

独りでいたくないときに、ひとりぼっちで過ごさなくてはいけないというのは最悪だ。どうしてこんなことに、と悲観したり、友達や家族と一緒に過ごす時間を恋しがるのも無理はない。自分の悲しみや怒りを認め、苦しいときはあまり自分に厳しくしすぎないように。この状況は永遠に続くわけじゃない、周りに誰もいなくても自分は独りじゃない、ということを忘れないでほしい。

This article originally appeared on VICE US.