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New York Hardcore Punk Guide : YOUTH OF TODAY

ストレート・エッジ第2世代、そしてユースクルー第1世代。
20.5.15

「スタジオ・ボイス」がリニューアル復刊!そしてその特集タイトルを見て「ウォーッッ!!」と狂喜乱舞した方はいませんかー?ハイ、私もー!…ま、ただの勘違いだったんですが。そのタイトルはズバリ「YOUTH OF TODAY」。スタジオ・ボイスさんの方は、YOUTHをテーマにしたカルチャーの特集でしたが、こちらもYOUTHのパワーが溢れまくり!「若い…って本当に素晴らしい!そして辛い!」一時代を駆け抜けたニューヨーク・ハードコア・シーンのヒーロー、YOUTH OF TODAY。さぁ、参りましょう!

まず最初にご説明したいのが、このYOUTH OF TODAYも前回のJUDGE同様ストレート・エッジ系のハードコア・バンドだということ。(ストレート・エッジについての詳細はNew York Hardcore Punk Guide : JUDGEをどうぞ)80年代初頭、ワシントンDCからのTEEN IDOLES、MINOR THREAT、ボストンからのSSD、DYS、NEGATIVE FX辺りがストレート・エッジ第一世代で、YOUTH OF TODAYを中心とするこちらは第二世代。更にユースクルー(Youth Crew)第一世代とも称されています。「…もう訳が分からん」というお声が早速聞こえて来ておりますので、まずはこの「ユースクルー」からご説明しましょう。

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ユースクルーって言うのは、1980年代中頃に登場したストレート・エッジ系ハードコアのサブカルチャーのこと。彼らのアイドルだったAGNOSTIC FRONTとかCRO-MAGSなどが、どんどんクロスオヴァー~メタル化して行く中、その反動もあったのでしょう、当時下火になっていたストレート・エッジがアップデートされて息を吹き返しました。ザザッとこんな連中です。

STRAIGHT AHEAD、GORILLA BISCUITS、JUDGE、SIDE BY SIDE、BEYOND、CRIPPLED YOUTH(のちBOLDに改名)、PROJECT X、WIDE AWKE、UP FRONT、TURNING POINT、UNIFORM CHOICE、UNITY、INSTEAD、NO FOR AN ANSWER、CHAIN OF STRENGTH、UNIT PRIDE、BROTHERHOOD、INSIDE OUT(RAGE AGAINST THE MACHINE のザック・デ・ラ・ロッチャ在籍)……

音的にはMINOR THREATなんかよりもボストン勢に近く、ガッチガチでタフな感じ。ハードロック~メタルのエッセンスも感じさせつつ、キャッチーなシンガロング(コーラスを一緒に歌う)と、ブレイクダウン~モッシュ・パートを導入します。更に歌詞はかなり前向き、そんでもってファッションもパーカー、トレーナー、スタジャン、バスケット・シューズ、野球帽…なんてスタイルでして、オーディエンスもバンドも「YOUTH」なみなさんにとっては、とってもカジュアルに入り込めたのではないでしょうか。ダーティーでアブないスメルがプンプンだったライヴハウスは、ユースクルーによってほんのり健康的になったのです。(ポジティヴ・ハードコア:ポジコア!なんて言われることもあります)そんなユースクルー・シーンの中で最もスタイリッシュで、エナジー溢れるパフォーマンスを展開していたのがYOUTH OF TODAYなんですね。

YOUTH OF TODAY は85年にex REFLEX FROM PAIN、VIOLENT CHILDRENのレイ・キャポと、ex YOUNG REPUBLICANSのジョン・ポーセルを中心にコネチカットにて結成。ドラムとベースには、これまたYOUNG REPUBLICANSのメンバーで、スクールメイトだったダレン・ペッシェとグラハム・フィリップスを加入させます。ファンジン「RUN IT!」監修のコンピレーション『Make It Work』 (1985)、地元バンドを集めた『Connecticut Fun』 (1986)を経て、1986年には7 SEOCONDSのケヴィン・セコンズ主宰のレーベルPOSITIVE FORCEよりコンピ『Another Shot For Bracken』と、デビュー・シングル『Can’t Close My Eyes』をリリース。この7 SEOCONDSもYOUTH OF TODAY~ユースクルー勢に多大な影響を与えたネバダ州リノのバンドで、ボストン勢とは異なり、ポップでメロディアスな曲調、そして何と言ってもポジコア!なエッセンスは、当時ネガティヴで、スキンズやギャングが蔓延るようなNYシーンとっては衝撃的な出会いなのでした。

のちSTRAIGHT AHEADのクレイグ・セタリ(ベース)とトミー・キャロル(ドラム)にチェンジするもトミーがすぐに脱退、ドリュー・トーマス(CRIPPLED YOUTH~BOLD)が入り、更にセカンド・ギタリストとしてリッチー・バーケンヘッド(UNDERDOG)が加入。そして待望のファースト・アルバム『Break Down The Walls』をWishingwell Records より87年に発表。今度はクレイグが抜けて、ウォルター・シュレイフェルズ(GORILLA BISCUITS、PROJECT X)が入り、Revelationからのシングル・コンピ『New York City Hardcore 1987 - Together』に参加。更にドリューが抜けて、マイク“ジャッジ” フェラーロが加入し、またもやRevelationからのコンピ『New York City Hardcore -The Way It Is』に参加。そんでもって…ああ、ややこしい!すいません、もう終わります!…、マイクが脱退して、サミー・シーグラー(PROJECT X、SIDE BY SIDE)が入団!ふぅ…。はい、ここで最強メンツのYOUTH OF TODAYが完成。名盤のセカンド・アルバム『We're Not In This Alone』をメジャー傘下のCaroline Recordsより1988年にリリースするのです。

この頃には既にYOUTH OF TODAYはニューヨーク・ハードコア、そしてユースクルー・シーンのチャンピオンとなっておりました。エネルギッシュでメロディアス、そして男の熱さ全開のサウンドと、レイの狂人的ヴォーカル、更にポジティヴな歌詞は、全てのユースたちに勇気と希望を与えておりました。また、イアン・マッケイが提唱したストレート・エッジの三原則…

「クスリはやらない」 「酒も飲まない」 「快楽だけのセックスはやらない」

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…に加え、YOUTH OF TODAYは、

「動物愛護」 「完全菜食主義」

…を導入。「革ジャン着ねえぞ!」から、「魚、お肉はもちろん、牛乳も卵も食わねーぞ!」ですね。このスローガンに、これまたユースたちは更なるユナイトをするのであります。YOUTH OF TODAYは88年から89年にかけて、アメリカは元よりヨーロッパ・ツアーも敢行し、不動の人気を確立。これぞ「youth crew 88」!彼らは頂点に立ちます。

しかしそんな彼らに不協和音が漂い始めます。まずはレイ・キャポ。インド神話に登場し、ヒンドゥー教の神の化身であるクリシュナ信仰への熱がアップ。修行僧にまでなってしまうのです。そしてその信仰を広めるべく別バンドSHELTERを開始、レイの目線はYOUTH OF TODAYから離れて行きます。そしてそのYOUTH OF TODAYの路線に対しても、誹謗中傷が集まり始めます。シーンのヒーローであるがゆえアンチも当然。メンバーにも疲れが見えて来ました。そして1990年夏に解散。同年にラスト・シングル『Disengage』を発表し、その歴史を終了させたのでした。

New York Hardcore Punk Guide : JUDGE」編で述べた通り、その後マイク・ジャッジとジョン・ポーセルは、YOUTH OF TODAYの敵討ちの如くJUDGEを結成。しかしこれも思いのままにならなかったのは何とも皮肉。(JUDGE物語も観てくださいね!)ウォルターはGORILLA BISCUITSを経てQUICKSAND、RIVAL SCHOOLSなどを、サミーもGORILLA BISCUITSからCIV、RIVAL SCHOOLS、GLASSJAW、更にはLIMP BIZKITのヘルプも。レイはしっかりSHELTERで布教活動をしながら、新バンドBETTER THAN A THOUSANDをスタート。ポーセルもほんのりGORILLA BISCUITSを手伝いつつ、結局はSHELTERに参加。こうして彼らはそれぞれの90年代を歩んで行きます。

しかしやはり彼らも再結成をします。90年代にもほんのりやってましたが、2004年には、レイ、ポーセル、サミー、そしてBATTERY~BETTER THAN A THOUSANDのケン・オールデンといった布陣でヨーロッパ・ツアーを。また2010年には、ヴィニー・パンザ(THIRSTY!~再結成BOLD)をドラムに従え、ヨーロッパ、南アメリカ、ロシアなどもツアーしています。2011年には来日も予定されてましたが、残念ながらキャンセルに。ここ二~三年はツアーしてませんが、Facebookも更新されてますので、またやってくれることでしょうね。レイはヨガもやってますし、体力的にもまだまだバッチリでしょう!

1990年のYOUTH OF TODAY解散により、間違いなくストレート・エッジ第二世代、そしてユースクルー第一世代は終焉への道を一気に辿り、更にJUDGEの失敗がダメ押しになったと思います。そしてこれまでストレート・エッジだった人々がこぞって「ブレイク・エッジ(ストレート・エッジをやめること)」を宣言。そもそもストレート・エッジとは、音楽ジャンルではなく、ライフスタイル~思想であるはずなのに、このようなことが起ってしまったのもユースの至り的な部分もあったと思います。でももちろん、現在もYOUTH OF TODAYたちに導かれたこの考えを自分で解釈し、実践している素晴らしい人々がたくさんおります。ストレートエッジとかビーガンとか関係無く、とにかく自分で考える。そしてそれをどうするか。自分はどう動くか。とにかく自分で決める。だってそんな生き方、ハードコアが教えてくれたのですからね。