Facebookの対応の遅れが自殺動画の拡散を助長

Facebookがショッキングな自殺動画をコミュニティ規定違反ではないと判断したため、動画の削除までに数時間かかった。それはあまりに遅すぎる対応だった。
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translated by Ai Nakayama
Tokyo, JP
19.10.20
Facebookの対応の遅れが自殺動画の拡散を助長

今年8月31日、ミシシッピに住む米国陸軍の退役軍人ロニー・マクナット(当時33歳)の自殺動画がFacebookでライブ配信された。その後、TikTokで拡散され、十代の若者たちがあまりにショッキングな映像を目にすることになった。

マクナットの友人であるジョシュ・スティーンの証言によると、マクナットは兵士としてイラクに派遣された経験があり、PTSDを患っていた。また、最近は人間関係に悩んでいたともされる。

マクナットと共にポッドキャストを配信していたスティーンは、ウェブメディア〈Heavy〉の取材で、8月31日当時のことを説明。彼はその夜、友人から、マクナットがライブ配信をしており、そこで誤って銃を撃ってしまったと連絡を受けたという。

配信にアクセスした彼は、マクナットが泥酔し、とりとめもなく話をしている姿を目撃した。彼はすぐにこの動画をFacebookに報告したが(まだマクナットが生きているときのことだ)、同社からは返答がなかった。またスティーンは警察にも連絡したが、警察はマクナットのアパートの前でライブ配信を見ていたという。

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マクナットが自殺したのは午後10時半だが、Facebookからの返信がスティーンに届いたのは午後11時51分になってからのことだった。しかもスティーンがHeavyに提供したスクリーンショットによると、この動画は同社のコミュニティ規定に違反していないため削除はしない、という内容だった。

FacebookはVICEの取材に、動画は投稿後「ただちに」削除された、と答えたが、なぜ当初、動画はコミュニティ規定に違反していない、と答えたのかについては回答がない。

スティーンの証言によると、午前1時になってからようやくFacebook上の動画が削除されたという。

またスティーンは、マクナットのFacebookページにコメントが殺到し、そのうちの多くに自殺の映像や、マクナットの死を茶化すようなミームや画像が含まれていると指摘する。スティーンや他の友人たちはそれらの投稿を何度も報告しているが、削除はされていないという。

「それらの投稿は、なぜかFacebookの規定に反していない、とされているわけです」とスティーンはHeavyに語った。「どうやら、ロニーがすでに死去しているからというのがその主な理由のようです」

これらの証言に関してVICE Newsは質問を送ったが、こちらもFacebookからの返答はない。

Facebookはこの動画が再投稿されるのを防ぐために対策を講じているが、初動対応の遅れのため、事故後1週間のあいだに、すでに〈4Chan〉など数々のサイトで拡散された。

それはメインストリームのSNSにも波及し、特にTikTokで急速に拡散した。TikTok側はこの動画の投稿を禁止し、またアップロードしたユーザーを利用停止にするなど対策を講じていると発表。しかし、拡散を続けるユーザーは、他の動画のコメント欄に投稿したり、無害に見える動画の中に隠したり、この動画についての警告をシェアしないようにするなどして、抜け道を見つけながらこの動画をアップロードし続けている。

このような動画は、FacebookやInstagramなど他のプラットフォームよりも特にTikTokで広く拡散しやすい。なぜならTikTokにはおすすめページというものがあり、そこにそれらの動画が登場してしまうからだ。

TikTokでこの動画が拡散されはじめると、フォロワーを多数抱える大手アカウントたちが、白髪まじりのヒゲをたくわえた男性が机の前に座る画像を目にしたらすぐにスワイプしてその動画を見ないようにすることを注意喚起する動画を投稿しはじめた。

「私たちは当該動画のアップロードを繰り返し試みるアカウントを利用停止処分しています。当該コンテンツを報告したり、ネット上で自殺動画の視聴、言及、拡散をせず、当事者やその家族に配慮することを他のユーザーに呼びかけたりしているコミュニティメンバーには感謝しています」とTikTokはVICE Newsへの文書で述べている。

しかしそれらの努力も虚しく、いまだにこの動画が若者たちの目に触れてしまっていることが報告されている。わが子がこの動画を見てしまったという親たちは、SNSを通して同じ子を持つ親たちに向け注意を呼びかけている。

「16歳の娘に、動画の内容を説明されました」とある母親はFacebookに投稿した。「彼の自殺後、彼の部屋に入ってきた飼い犬の姿が頭から離れないと言います」


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