先日、宇宙飛行士がTwitterに写真をアップした。強烈な光が映り込んでいたため、「これはUFOではないか」と物議を醸したが、国際宇宙ステーションの光だ、とNASAは発表した。未だかつてUFOの存在が科学的に証明されたことはない。しかし、2014年にAP通信が行った調査によると、アメリカ人の40%はUFOを信じている。この結果から、気候変動や地球誕生のビックバン説よりも、UFOを信じるアメリカ人が多いのがわかる。
UFO研究を行う団体として最も良く知られているのは、Mutual UFO Network(以下、MUFON)。団体は、地球外生命体に誘拐された、何らかの形で接触した「体験者」を対象に、聞き取り調査、研究を実施している。彼らがそれを科学的に進めているかどうかはわからないが、実際MUFONは、地球外生命体と遭遇してしまった人の駆け込み寺になっているようだ。
MUFONで、体験談の調査、研究を進めているのはキャスリーン・マーデン。彼女は、UFOに連れ去られたとして有名になったベティ・ヒル、バーニー・ヒル夫妻の姪にあたる。団体が行っている調査や、体験者に対するサポートについて聞いてみた。
MUFONでは、具体的にどのようなことをされているのですか?
体験談を、分析、研究しているのですが、その責任者を務めています。MUFONでは体験者から、お話を直接伺う前に、ウェブサイトでアンケート調査に回答していただき、マーティン・ストーナー・プロジェクト* の事例と比較し、共通点を探ります。その結果を踏まえ、面会を実施します。
* UFOに誘拐された人々の研究レポート。2012年発表。
どのような面会なのですか?
それぞれの体験者と話をして、この先のプロセスを決定します。例えば、自身の体験をMUFONに調査して欲しいのか、証拠が欲しいのか、事態を把握したいのか。それとも、自らの経験と過去の事例を比較したいのか、体験を打ち明けたいのか、サポートが必要なのか…などなどです。サポートが必要な場合は、対応してくれる団体を探します。オンラインでサポートをしてくれる団体もありますし、セラピストや催眠療法などを探しているのであれば、そういった情報を提供します。これらの専門家は限られていますので、簡単に進めることは出来ませんが、体験者の望みをしっかりと把握したうえで、手助けできるよう努めています。
これまでに嘘の証言をした人はいましたか?
私が担当したなかでも、ごく僅か、数人が嘘をつきました。そういった人々は、精神を患っているか、社会的に虐げられている場合が多いです。人を欺くことで世間の目を引き、あわよくば一儲けしようと企んでいるのでしょう。しかし世間の注目を集めても、一儲けするどころか、妙なレッテルを貼られて、懐疑論者たちに非難されるのがオチです。
他の事例と共通点が無かった場合はどうなりますか?
とにかく先入観だけで判断しないよう心がけています。最近になって、昔からの体験者と、共通点が少ないケースも見受けられるようになりました。特に、地球外生命体と、初めて遭遇したケースが増えています。でもまずは話を聞きます。私たちの目的は体験者を支えることですから。こうした体験はトラウマになりやすく、誰に頼っていいのかわからず悩んでいる体験者も多いのです。
誰も信じてくれないからでしょうか?
そうですね。例えば、家族に話してみても「そんなに酔っ払ってたの?」とあしらわれてしまいます。お医者さんですら、地球外生命体と遭遇した、と友達に話したら、あっさりと縁を切られたそうです。同僚に話をして、職を失う可能性もあります。でも、ここに来れば安心して自分の体験を話せますし、少なくとも、 肩の荷を下ろせるのではないでしょうか。こうした体験をした人は、その後本当に悲惨な生活を送っています。だからこそ、私が盾になりたいのです。
アンケートの質問はこう始まりますね「UFOと接触したことはありますか?」少し誘導的な気もしますが。
そうでしょうか。みなさん正直にお答えになりますよ。私たちは接触があったか知りたいだけです。もしあるならば、誘拐された可能性も高まります。誘導しようとはしていません。率直な質問です。
著名人で、こうした体験談をして酷い目に遭った人はいますか?民主党議員のデニス・クシニッチは、2008年の大統領選の際にUFOの目撃談を語り、強く非難されましたが。
そうですね、政治家のジミー・カーター氏もUFO目撃談を語り、その後、報告書を提出しています。でもこのときは複数の証言者がいました。他にも宇宙飛行士や政治家など、著名人もたくさんいますし、公言している人もいます。
あなたはヒル夫妻の姪っ子ですね。彼らについて話してもらえますか?
1961年の旅行で、彼らの人生は変わりました。2人は、それまでUFOに関心はなく、関連する本を読んだこともなかったのですが、その旅行で、見慣れない飛行物体が頭上30メートルくらいの高さで飛んでいるのを、ハッキリと見たんです。叔父のバーニーは、「人間ではない生命体」が、その飛行物体に乗っているのも、確認しています。「捕まるかもしれない」と怖くなって急いで車に戻り、今すぐここから離れよう、と叔母のベティに告げました。ハイウェイでは、車のトランク辺りが撃たれたそうです。翌日、記憶も曖昧なままそれを確認すると、トランクの周りにはおかしな磁場ができていたそうです。コンパスの針が、ぐるぐる回って止まらなくなった、とも聞いています。
お二人は、驚いたでしょうね。
叔父は、PTSDを患い、胃潰瘍になりました。一般の病院では治療できず、精神科を勧められたそうです。叔母も、悪夢を見るようになり、目覚める直前に見た夢をメモしていたようです。でも、2人は、当時の体験を、ほとんど何も覚えていませんでした。
数年後に催眠術によって、当時の体験が蘇ってきたのですよね。
はい、別々に催眠術をかけて、2人の証言を比較分析しました。催眠術にかかっている間はもちろん、お互いが情報交換できないよう、セッション終了後に証言内容を忘れるよう、施術しました。すると、ベティとバーニーは、地球外生命体に誘拐されていた、と発言しました。そして、その生命体の立ち居振る舞いを証言したのですが、それらはすべて同じ答えだったんです。ベティが見たのは悪夢ではなかったし、バーニーが彼女の見た夢を知っていたわけでもありません。それなのに、彼らの証言は一致したのです。くいちがいも一切ありませんでした。
地球外生命体と接触したことがあると証言した人は、強烈な夢を見たか、睡眠障害を抱えていた、というデータもあります。それについてはどうお考えですか?
そういった場合もあるでしょう。実際にそういう事例も見ています。ただ私たちはしっかりと証拠を集め、中立的な立場で調査するようにしています。体験者の証言や目撃談はもちろん、証拠を集めるのです。例えば、体験者の身体には、蛍光色や特定の型で共通して現れる模様が出てきますし、自宅の監視カメラもチェックします。物の位置が変わっていないかなどを確認するのです。
直接カメラに映っていなくても、家の外から強い光が差し込めば、カメラに映ります。また、寝室で誘拐された場合には、ご夫婦ともベッドの上にいたのに、2時間ほど映像が途切れたあとは、2人とも別の場所にいるということが多々あるのです。カメラの映像はだいたい途切れる傾向にあります。
映像が途切れている間、どこかに行っていただけとは考えられませんか?
違います。何か妙なことが、異変が、確実に起きているのです。何度もこのようなことは起こっているのですから。地球外生命体による誘拐事件は、ひとつの決定的証拠よりも、様々な側面から見て、多くの証拠を積み重ねていくことが重要なのです。
メディアのせいで、体験者たちが発言しにくい状況が生まれているのでしょうか?
コンテンツの種類にもよります。例えば、ヒストリーチャンネルで放送されているMUFONの「Hangar 1: The UFO Files」を観れば、発言する勇気が湧くでしょう。番組放送開始以来、これまで以上に、多くの報告が寄せられていますから。一方で、非常に恐ろしいSF番組もあります。私たちのような団体だけではなく、未経験者にも悪影響です。わざと恐怖を抱かせるというか、絶対にありえないことを誇張したりしていますから。すべての現象は研究対象として、より科学的に捉える必要があるります。個人的に、SFは好きではありません。