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顕微鏡アート|ジョン・ホプキンスの最新アルバム『Immunity』、アートワーク制作の裏側

ジョン・ホプキンスのアルバム『Immunity』のアートワークと映像作品の制作について。ホプキンス、写真家のリンデン・グレッドヒル、アートディレクターのクレイグ・ワードに話を聞いた。
15.5.14

アルバム『Immunity』におけるビジュアル作品

ジョン・ホプキンス。彼は、プロデューサー、リミキサー、DJとして活動するUKのエレクトロニック・ミュージシャン。2007年にリリースされたコールド・プレイのアルバム『美しい生命』にて、一部楽曲提供/プロデューサーとして参加したことで名を広めることとなる。近年ではブライアン・イーノとのコラボレート、ワイルド・ビースツ、フォーッテットのリミックスを手掛けたことでも知られている。そんなジョン・ホプキンスによる4作目のアルバム『Immunity』が2013年6月にリリースされ、UKでは同年のマーキュリー賞にノミネートされ話題となった(日本盤は2014年3月に発売された)。

今回、The Creators Projectにてフォーカスしているのは本作のビジュアル「顕微鏡を使ったアートワーク」について。映像にはジョン・ホプキンス本人と、アートワーク制作でコラボレーションした生化学者で写真家のリンデン・グレッドヒルLinden Gledhill)、アートディレクターのクレイグ・ワードが登場している。アルバムのアートワーク用に制作された一連の画像は、The Creators Projectとの協業で映像作品となっている。

画像と映像には、顕微鏡の中でしか見ることのできない微小の化学反応が用いられている。結晶化した色素のしぶきや破片、泡などがスクリーンを覆いつくし、画像の中で凍り付いているようにも見える。こうした生化学反応はホプキンスの音楽にパーフェクトにマッチしており、オーディエンスはアルバムの世界観に更にのめり込むことができる。

顕微鏡レベルの画像。ジョーダン・キンレイ(Jordan Kinley)によるGIF化

撮影方法

「パワフルなレンズがついた顕微鏡を使うと、とても小さな物体も見える。」

グレッドヒルは、ビジュアル制作に際して食用色素で実験を行い、その結晶化過程をオリンパスの生物顕微鏡BH-2にキャノン5D Mark IIを載せて撮影した。この撮影方法により、画像に立体的にみえる効果が生まれ、見る人はそれが何なのかは分からないが、その動きに生き物のようなリアルさを感じ取ることができる。グレッドヒルは語る、「顕微鏡の世界は可能性に満ちているよ。顕微鏡の中の生物には興味をそそられる。レンズを通した世界だ。」

顕微鏡レベルの画像。ジョーダン・キンレイによるGIF化

画像の対象は一般的かつ日常的な素材だが、刺々しい抽象物や、この世のものとは思えないほどカラフルな色彩の世界を見出すことができる。分光顕微鏡を通して低速度で撮影された結晶の美しい色と複雑な動きが際立ち、日常の中で非日常を発掘するこの感覚が作品を魅惑的なものとしている。

顕微鏡レベルの画像。ジョーダン・キンレイによるGIF化

ホプキンスの音楽哲学と、リンデン撮影による画像作品

グレッドヒルも述べるとおり、今回のアイデアで特筆すべきは、こうした結晶が持つオーディオヴィジュアル面での可能性をこれまで誰も追求したことがなかった点だ。今回はそのビジュアルが、ホプキンスの音楽哲学とぴったりマッチした。「曲を作る時は、音の詳細にこだわる。音を顕微鏡で見るかのようにね。」とホプキンスは語る。「実際には聞こえない高い音の存在を確認したら、再生速度を落とし聞こえるようにする。音を徹底的に調査するんだ。この映像は、そういう要素も表現してる。」

今回のコラボレーションについて、詳しくは上記の映像を参照のこと。そして以下の、リンデン撮影による素晴らしい食用色素の画像作品も、是非じっくりと堪能してほしい。

混合食用着色料

アルラレッドAC食用着色料(※1)

アルラレッドAC食用着色料

アミノ安息香酸エチル(※2)

アルラレッドAC食用着色料

混合食用着色料

キャプション:タルトラジン(※3)

アルラレッドAC食用着色料

アルラレッドAC食用着色料

アルラレッドAC食用着色料

アルラレッドAC食用着色料

脚注:

(※1)アルラレッドAC:赤色に着色することのできる食用色素。

(※2)アミノ安息香酸エチル:エステル型の局所麻酔薬の一種。

(※3)タルトラジン:黄橙色に着色することのできる食用色素。