〈景清綴化〉:突然変異の一種、綴化(てっか)は、両サイドにできた成長点が結ばれ、帯状につながってしまうこと。成長点が帯状ということは、つまり、どこを切っても成長点があるということ。そのため、つくり手に技術があれば、たくさんカットし、たくさん育てることができるので、景清綴化は〈お金のなるサボテン〉ともいわれる。景清の綴化はもともとめずらしいが、特にこれは詰まっていて美しく、おそらくつくり手が上手かったのだろうと横江さんは推測する。長野のベテラン農家から購入したそうだ。
〈良寛錦〉:〈錦(にしき)〉という文字は、本来の色と異なる色が入っている(=斑入り(ふいり))サボテンに使われる。色がきれいに入れば入るほど、価値も出て高値がつく。このサボテンも斑入りだが、色がもっときれいに出ていなければマニアには評価されない。
〈かぐや姫〉:かぐや姫は、大体10センチくらいに成長すると、子どもを吹きだし、群生する。その繰り返しで成長する。
〈雷電丸〉:見た目にあまりインパクトがないので人気がなく、つくっている人があまりいない。そういう意味でめずらしいサボテンだという。これは種から育てられたもので、20年以上は経っているそうだ。マミラリア属は、基本的に群生するが、この群生は、丸みを帯びて整っており美しい、と横江さん。
〈白竜丸綴化〉:白竜丸の綴化は、数的にはそこまでめずらしくはないそうだが、横江さんはこの厚みがいいと語る。これは大きいサボテンからカットして、それを育てた個体、いわば分身。
〈神仙玉〉:フェロカクタスという属。このように鮮やかなトゲをもつサボテンは多数あるそうだ。
〈綾波モンストローサ〉:モンストローサ(石化)は突然変異で、通常1個のはずの成長点があらゆるところにできてしまった個体のこと。本来の綾波とは、トゲの生え方などがまったく違う。接ぎ木されているが、台木に使われているサボテンは茶色く、木のようになっており、サボテンが草ではなく、木であることを思い知る。
〈瑠璃丸モンストローサ〉:本来の瑠璃丸と違って、稜(球状のサボテンのヒダのこと)のあいだにもトゲが出ている。瑠璃丸のモンストローサは昔から貴重品とされている。
〈狂刺(くるいとげ)白竜丸〉:先ほども登場した白竜丸。白竜丸は本来トゲがまっすぐなのだが、これは〈狂棘〉といって、トゲが湾曲している。
〈翠平丸〉:翠平丸(接ぎ穂)を柱サボテン(台木)にくっつけている接ぎ木。こうすると、種から育てるのに比べ3倍くらいの速度で成長する。接ぎ木でここまで太い台木が使われるのはめずらしいという。台木はこれ以上成長しないので、台木が細い場合、頭が大きくなりすぎると傾いてしまう。その場合、大きくなりすぎた頭を取って、きれいにカットし、そこから根を生やす方法、あるいは、台木の上のほうから切って、台木から根を生やし、頭だけを出して植える方法などがとられる。台木としてよく使われるサボテンは、〈袖ヶ浦〉や〈竜神木〉だが、基本的に何でも接げるが、接ぎ穂との相性や、接ぐ時期も様々だ。接ぎ木のサボテンは折れやすいので、車で運ぶのが難しく、展示会にはあまり持ち込めない、と横江さんは語る。横江さんが長い台木のサボテンを植え替えしているときに、大きく育った接ぎ穂が倒れてきて、額にトゲが刺さり大変だったという。カッターで額を切り、刺さったトゲを抜いたそうだ。
〈白星〉:サボテンには夏型と冬型があるそうだが、横江さんによると、冬が旬のサボテン。白い部分が、トゲの代わりのようなものだが、触ると小鳥のようにふわふわ。
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