ジャングルから鼻腔まで コカイン追跡世界旅行

アマゾンの密林を航行する先住民

コカは数世紀にわたり諸悪の根源とされてきた。コカを神授とし、医薬品としても扱う伝統社会は、麻薬密売組織、とレッテルを貼られてしまう。ペルーのアマゾンで生活を営む先住民族ウィトトの長老によれば、彼らの神は、コカインを聖性を認めつつ、災いをもたらす危険性を否定しない。「罰として、今後、お前たちからコカを取り上げ、白人の手に渡す。この植物は、どこへでも、苦痛と苦悩をもたらし、これがあるところには血の川が流れる」

コカインにまつわるあらゆる事象を追い続ける写真家、カルロス・ヴィリャロン(Carlos Villalón)。コカを神から授かったアンデスの先住民族。コカイン製造に携わり、それを通貨として利用するコロンビアの農民。コカインが産み出す負のスパイラルが引き起こす殺人。南米で生まれ、中米、メキシコを蹂躙し、世界に撒き散らされるコカインが巻き起こす悲奇こもごも…

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南米のコカ畑から、ジャンキーの鼻腔まで、コカインが生産され、消費されるまでを、本人のセレクションにより紹介する。

コカの葉を嗅ぐ男。ボリビア、エル・アルト

コカの葉を粉末にした、マンベ(Mambe)を流し込む男。コロンビア、アマゾンのジャングル

ドラッグにまつわる抗争で殺された女性の死体。2011年、コロンビア、カウカ、エル・パロ

ロペス一家に所属していた、ルイス・フェリペ(17歳)の家族が彼の死を悼み泣いている。彼は、フィアンセとの待ち合わせ場所で殺害された。2011年初頭、当時のメキシコ内務長官フランシスコ・ブレイク・モラは、この事件が起こったアカプルコをシウダー・フアレスに次いで2番目に危険な観光都市と発表した

農民が売りに来たコカの袋を秤にかける上裸の麻薬密売人。彼の股には300ポンド分を買い取ってあまりある現金が挟まれている。農民たちは、取引の不道徳さを承知しているが、彼らに選択の余地はない。コロンビア、サンタフェ(ボゴタ)、2002

2009年、コロンビア、メデジンのなかでも、ひときわ危険な地域で若いギャングが殺害された。通行止めになった現場付近で、事件を調査する科学捜査官

皿に盛られた乳とコカイン。腐れセレブのパーティにて。チリ、サンチアゴ・デ・チレ、2013

コカ畑でマチェテを振るって働く子供たち。コロンビア、アルデア・デ・ラ・プラヤ、2003

ナルココリード、サマンタ。ライブ開始前。メキシコ、レイノサ、2009

コカイン、リドカイン、カフェインをブレンダーで混ぜるギャング。1キロのコカインを化学薬品で薄めまくり3キロにする。コロンビア、メデジン、2009

コカインとヘロインをミックスした「スピード・ボール」をキメる男。ニューヨーク、サウス・ブロンクス、2015

コカの葉を粉末にしたマンベ(Mambe)。コロンビア、2015

カグアン川沿いに住む売春婦たちは、コロンビア革命軍(FARC)より、毎週、健康診断を受けることを義務づけられている。診断を受けなければ、次週の営業許可がおりない。春を買う客のほとんどが、あとひと工程で高純度コカインになる「コカイン・ベース」で支払を済ませるため、売春婦たちも、診断料金をコカイン・ベースで支払わざるをえない。コロンビア、サンタフェ(ボゴタ)、2002

オーバードースの男を目覚めさせようとするヘルスワーカー。アメリカ、ニューヨーク、2015