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チュニジア人男性を指名手配 ベルリンテロ フォトリポート

12月19日月曜、午後8時過ぎ、鉄骨を積んだスカニア社製のトラックが、ベルリンの繁華街で開催されていたクリスマスマーケットに突入した事件で、捜査を指揮するドイツ連邦検察庁は21日、関与が疑われる24歳のチュニジア人の男を指名手配した。

12月19日月曜、午後8時過ぎ、ベルリンの繁華街で開催されていたクリスマスマーケットに、鉄骨を積載したスカニア社製トラックが突入した。事件の捜査を指揮するドイツ連邦検察庁は21日、関与の疑いがある24歳のチュニジア人男性を指名手配した。

指名手配されたのはアニス・アムリ(Anis Amri)容疑者だ。突入したトラックの運転席の下から、アニス容疑者の身分証明書が発見された。同容疑は、武器を所持して逃走している可能性があり、第2の事件発生も懸念されている。連邦刑事局は10万ユーロ(約1200万円)の懸賞金をかけて容疑者の情報を求め、行方を追っている。

チュニジア出身のアムリ容疑者は、2015年7月にドイツに入国し、難民認定を申請していたが、2016年6月に却下された。しかし、チュニジア国籍保有の確認が取れなかったため、強制送還の措置も遅れていた。アムリ容疑者がいち時滞在していたドイツ西部ノルトラインウェストファーレン州のラルフ・イエーガー(Ralf Jaeger)内相は会見し、アムリ容疑者が重大な危険行為を企てていた疑いがあり捜査を始めていた、と明らかにした。また地元メディアは、アムリ容疑者とイスラム過激派組織は密接な関係があったので捜査当局の監視対象になっていた、とも伝えている。

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ダウラ・アルイスラミーヤ(通称イスラム国:以下IS)は20日、プロパガンダメディアであるアマーク(Amaq)通信を通じ、今回の事件の犯行声明を発表。声明ではこの攻撃を「ベルリン作戦」と呼び、「イスラム国の戦士」が実行したと述べたが、主張を裏付ける証拠や詳細には触れていない。ISは、最近発生した2件の車両攻撃(11月の米オハイオ州コロンバス、7月のフランス・ニース)の犯行声明でも、同様の表現(特徴的な単語は「戦士」)を使っている。

賑わうクリスマスマーケットを標的に発生した今回の事件では12人が死亡し、48人が負傷。当局によると、負傷者のうち、24人は20日のうちに退院したが、14人は「依然として命の危険がある」と発表している。

ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は、テロとみられる攻撃を「忌まわしい行為」と非難し、的確な司法の裁きが下るよう全力を尽くす、と約束した。

メルケル首相の難民受け入れ政策により、ドイツには2015年に89万人の難民が入国した。極右グループは、今回の攻撃を材料にメルケル首相を批判している。〈極右政党であるドイツのための選択肢〉(Alternative für Deutschland:以下AFD)所属のマルクス・プレッツェル(Marcus Pretzell)欧州議会議員は、犠牲者を「メルケルの犠牲」と発言し、AFDのフラウケ・ペトリー(Frauke Petry)党首は、「恐怖の襲来だ」と述べた。これまでも論争を巻き起こしてきたペトリー党首は、メルケル首相率いる連立与党キリスト教民主同盟(Christlich Demokratische Union Deutschlands:CDU)のポリティカル・コレクトネス* をこき下ろした。

ベルリン警察によると、ドイツ連邦検察庁は、今回の事件をテロとして調べているという。「捜査員たちは、トラックがブライトシャイドプラッツ広場で開催されていたクリスマスマーケットの群集に、意図的に突っ込んだという仮定に基づき捜査している」

当局によると、本来のトラック運転手であるポーランド人の男性は車内で遺体として発見された。この男性は、攻撃の前に犯人に殺害された可能性が高い。トラックを所有するアリエル・ズラフスキ(Ariel Zurawski)氏は、ポーランドのテレビ局TVN24のインタビューに、「犯人はうちの運転手に何かしたに違いない」と応えた。

ポーランドの国内報道によれば、トラックを所有する会社の従業員は、「誰かがトラックのエンジンを入れたり切ったりしながら発進させようとしていた衛星追跡記録が残っている。その後ブライトシャイドプラッツ広場に突入した」と証言している。

12月20日、ドイツ内相は攻撃の犠牲者を追悼するため、ベルリン市内のクリスマスマーケットはすべて休業する、と発表した。

ジャーナリスト、ガイル・ツズマック・レモン(Gayle Tzemach Lemmon)のツイート.「ベルリン市長によると、事態は終息したそうです。平静を保ちましょう」

ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領も、「平和を望む一般市民に対する、暴力的で冷笑的な犯罪に衝撃を受けた」と述べ、世界各国の首脳と共に攻撃を非難した。

ベルリンの攻撃に対する当然の反応として、ロンドン市警は治安対策を見直している。ロンドンのテロ警戒レベルはすでに5段階のうちもっとも高い「深刻」(攻撃が起こる可能性が非常に高い)であり、「大型車両の使用を含め、さまざまな脅威が予想される」そうだ。

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