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一粒の砂の上に描かれた城。絵画と科学の融合が可能にした極小アート

ブラジルの写真家、ビジュアルアーティストのヴィック・ムニーズとデザイナーのマルセロ・コエーリョの協業による、砂粒の上に絵を描いたアートについて、コンセプトと制作手法を探った。

ブラジルの写真家、ビジュアルアーティストであるヴィック・ムニーズは、直径500メートルにも及ぶ大規模な地上絵アートを手がけたことをきっかけに、「尺度という概念を取り払い、人間工学というものの限界を超えてみたい」と思った。そして、次は反対に極小サイズのアートを創りたいと考え、デザイナーのマルセロ・コエーリョと共に、約4年の歳月を費やし砂粒の上に絵を描く方法を模索した。

19世紀に発明されたツール、カメラ・ルシダを用いてトレースした後、ICチップを加工するための装置を使って絵を描く。そして最終的に砂粒の上に重ねて完成させるという、極めて複雑なプロセスだ。

狙いは、見る人に「どうやって描いたんだ?」と思わせ、物事の意味を再認識させること。「科学者とアーティストとの共同プロジェクトで、双方が探求しているものは同じ。世界を解明することだ」とムニーズは語る。

0.5ミリ程度の砂粒の上に描かれた城は、自然が産み出した輪郭と絶妙に調和し、不思議なほど荘厳としている。一粒の砂に絵を描くのに4年。それを無駄と見なすか、そこに無限を見出すかは、見る者の世界観に委ねられている。

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