プラスチックとの闘いに、新たな戦線が出現した。韓国の研究者たちが、アジアで販売されている食塩の大半に、大量のマイクロプラスチック(海中で分解され微粒子となったプラスチック)が含まれていることを発見した。つまり、私たちはフライドポテト、絶品のフォー、ゆでたての枝豆に塩をふるたび、プラスチックを摂取していることになる。とんでもない話だ。
もちろん、プラスチックがあらゆる場所に存在するのは周知の事実だ。近年の研究によれば、マイクロプラスチックは世界のペットボトルの水の90%、水道水の83%に含まれ、海水や魚の体内にも存在する。しかし、今回明らかになった食塩に含まれるという事実は、これまで以上に深刻な問題を示唆している。
Videos by VICE
「近年の研究で、海産物、野生生物、水道水にプラスチックが含まれることが明らかになっています。そして今回の調査で、塩にも含まれるとわかりました」と調査を実施したグリーンピース東アジアの活動家、キム・ミキョン(Mikyoung Kim)は説明する。「プラスチックが河川や海に流出し続ける限り、私たちはプラスチックの危機から逃れることができません」
グリーンピースと共同で調査を実施した仁川大学の海洋科学教授、キム・スンキュ(Seung-Kyu Kim)によれば、世界で市販されている39種類の塩のうち9割からマイクロプラスチックが検出されたという。なかでもアジアの塩、特にインドネシアの海塩のプラスチック含有量が最多だった。平均的なインドネシア人は1日10グラムしか塩をとらないにしても、年間約2000個のマイクロプラスチックを摂取していることになる。
キム教授によれば、インドネシアにおける食塩のマイクロプラスチック含有量の多さは、同国のプラスチックごみ排出量と明らかな繋がりがあるという。
「今回の調査結果が示すのは、海産物を介した人間のマイクロプラスチック摂取量と、同地域におけるプラスチックごみの排出量には、強い相関関係があるということ」とキム教授。「マイクロプラスチックへの曝露を予防するには、不適切な処理によるプラスチック排出を抑制すること、そして何よりもプラスチックごみの削減が必須です」
インドネシアは、中国に次ぐ世界第2位のプラスチックごみ排出国だ。その年間総量は300万トンを超え、半分近くが海へと行き着く。その結果、無数のごみがバリ島近海を漂っている。衝撃的で胸が痛む光景だ。その裏には、映像では明かされないある問題がある。ニュースでも頻繁に取り上げられるバリ島のごみ問題の主な原因は、観光客の多さ、島全体のごみ収集制度が整っていないことだ。
しかし、本島から遠く離れたスンバ(Sumba)島近海など、手つかずの自然が残っているようにみえる海にも、マイクロプラスチックは存在する。インドネシア科学院(Indonesian Institute of Science)の研究者たちは、同海域で「大量」のマイクロプラスチックを発見した。マイクロプラスチック汚染は、バリ島のビーチが抱えるごみ問題よりも遥かに深刻だ。