乾燥地帯のペシャワールはパキスタンの主要都市のひとつで世界屈指のサソリの生息地である。パキスタンの国境地帯に住む人々は隣のアフガニスタンが世界有数のケシ生産国であることもあり、薬物に馴染みがないわけではない。だが、サソリ喫煙は誰もその恐ろしい影響を知らないまま、急速な勢いで近隣の国へと広まり、深刻な社会問題となっている。
タバコに乾燥したサソリを混ぜて吸う〈サソリ喫煙〉に使われるとされるサソリは、最も強力な緑 、次いで赤、黒の順に3種類存在する。サソリ毒を吸ったことがある人は、その効き目は「即効かつ絶大で強烈な高揚感を覚える」と主張する。しかし、脳は正常に機能しなくなり、日常生活を続けられるような精神状態ではなくなるという。この薬物は富裕層などに蔓延しているパーティードラッグではなく、より強力なものを求めた絶望の果ての選択なのだ。
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VICEは、ペシャワール、マタニ、ディールを訪れ、この過激な薬物に手を染める原因、そして彼らの人生をどう変えたのかを使用者、研究者、元麻薬取締官、ジャーナリストに話を聞いた。