ペニスのサイズは男性の健康に影響する?

ペニスのサイズ。それはすべての男性が気にするトピックだ。

自分のペニスはそれなりに大きいのか? それとも小さいのか? 〈それなりに〉って何だ? ポルノで観るくらいのサイズか? 待てよ、あれが〈普通の〉サイズ?!

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大きなペニスは、2018年に話題になった〈巨根パワー(Big Dick Energy)〉という言葉で世間の集合的意識の中に再び浮上してきた感がある(それまでは消え去っていた、というわけではないが)。多くのひとが指摘している通り、強いパワーを行使するためにデカいペニスを有する必要はない(そもそもペニス自体が必要ない)。しかしただのペニスではなく、〈巨根〉の場合、何らかのパワーをもたらすようなのだ。

自信たっぷりに道を歩く男たちとそのペニスのサイズのあいだに相関関係はある、という仮説を証明しようとしたアカデミックな研究もある。2018年6月、ミズーリ州立大学(Missouri State University)のアリシア・ウォーカー博士は、数千ものペニスを収めた写真と数百以上のインタビューをもとに、ペニスのサイズと男の自信とのあいだの相関関係を見出す研究を行なった。

今回、ウォーカー博士を取材し、その研究について、そしてペニスサイズについて判明していることについて話を聞いた。

──研究について具体的に教えてください。
ウォーカー博士:本研究は、ペニスのサイズと自己肯定感、恋愛への積極性、コンドームの使用、自己の性的能力をどう捉えているか、などといった要素とのあいだに相関関係があるのかを探ることが目的です。それらを研究し、男性が生活を営むうえでそれらがどう影響しているか、ということです。

──この研究で実現したいことは?

このテーマについての会話、議論を活発化させたいですね。世の中には、身体醜形障害に苦しむ男性が多くいます。また、実際はそんなことないのに、自分のペニスは小さい、あるいは平均以下だと考える男性も多いです。サイズが平均以下だということが、彼らと世界との関わりかたに影響している場合も多々あるんです。

例えば、私が話したひとのなかで、10年以上、身体的な問題で医者にかかっていない、というひとがいました。医者の前で裸になりたくないから、と。また、ペニスのサイズのせいで誰も自分に関心を持ってくれないだろう、と思い込み、恋愛的なアプローチをしたことがない男性もいました。サイズについて気に病んで、自殺を図った男性もいます。

これはかなり深刻な意味を持ちます。こういう話を聞くとみんな笑って「ウケる〜!」という反応をしますが、実際はウケる話じゃないんです。かなり深刻です。なぜなら、自分や自分の身体をどう認識しているかが自分の選択に影響するんですから。すごく重要な問題です。

──社会的に、ペニスのサイズはどう認識されているのでしょう。
私たちはサイズをすごく気にします。サイズに関するジョークはいたるところで耳にするし、大きければ大きいほど崇拝されます。例えばポルノでも、重要なモチーフになっていますよね。ポルノ男優のペニスのサイズは一般人よりもずっと大きい。つい最近も、〈巨根パワー〉という言葉が話題になり、ハッシュタグがトレンド入りしたほどです。そして、巨根の男性は優れており、自信に満ち溢れている、という言説がまかり通っています。社会的に、「大きければ大きいほどいい」とされ、小さいペニスの男性は劣っているとされるんです。

──その言説に戦いを挑んでいるわけですか?
そうできたら、と思っています。

──この研究の具体的な段取りを教えてください。どういう手続きを踏むのでしょうか。
本研究は、大きくふたつのパートに分かれます。被験者にはどちらか、あるいは両方に参加してもらいます。ひとつめはインタビューのパートです。そこでは写真が撮られることはありません。私との会話のなかで、彼らの経験や感情、そしてペニスのサイズが自己認識の仕方や自分のとる行動/とらない行動に影響を与えたか、などについて答えてもらいます。

もうひとつのパートでは、写真を撮影してもらいます。目的以外の用途では使いません。ペニスのサイズを測定するときはいわゆる〈ボーンプレス(Bone-Press)〉という測定法(=定規を恥骨にしっかり当てる方法)を採用しています。全員に同じ測定法を実施してもらっています。そうやって測定したことがわかるようにペニスの写真を送ってもらえば、それが正しいとわかります。こちらで測定法が正しいことを確認したら、その写真は処分します。参加者は22歳以上の男性のみです。

──研究の進み具合はどうですか?
現在、2000人以上が参加してくれていて、作業が完了した人数はちょっと今ははっきりとはわからないんですが…。インタビューは30人終わりましたが、まだこれからのひともいます。

──インタビューには、大きいペニスのひとのほうが答えてくれやすいのでは?

実際は逆なんです。興味深いです。男性はみんな同じことをいうんですよ。「平均以上のひとのサンプルしか集まらないんじゃ?」って。実際は違います。平均以上のひとのほうが少ないです。平均かそれ以下のひとよりもずっと。

──現時点で予備調査結果として何か判明していることはありますか?
先ほど話した恋愛関係について、自殺未遂についての問題ですね。医師とも話をしました。例えば、自分のペニスが小さすぎてサイズが合わないだろうから、とコンドームを買ったこともないひとが複数人いました。ひとつのパターンですね。サイズが彼らの行動の原因になっているので、ここにサイズが影響していると考え始めていますが、残念ながら平均以上のサイズの男性の数が足りず、まだ結論を出すには至っていません。

──そもそもこのプロジェクトを始めたきっかけは?
この研究は6年前から構想していました。もともと、自分の男性のパートナーについて、「アレが大きいひとがいい」という女性の多さに気づいたことがきっかけです。それで興味を抱いたんです。彼女たちは何を求めているんだろう、と疑問に思って。実際、彼女たちの望みに共通していたのは、自己肯定感と自信をもった男性を求めていた、ということだけでした。彼女たち全員がパートナーに求めていた性質は、それだけだったんです。

This article originally appeared on VICE CA.