私が入る墓などない。アパラチアが育む信仰とコミュニティー

ケンタッキー州 パイン・マウンテン

この作品を制作している間、信仰に基づいたコミュニティーを形成し暮らすアパラチアの人たちの雰囲気を写真に収めることに、違和感を抱えていた。彼らがシンプルで素朴な生活を営んでいると捉えてきた都会の人たちに、信仰を持つことの価値や宗教の力をどう伝えればいいか、わからなかったからだ。

アパラチアの中心部で、教会は誰かのケアや愛、支援を必要としている人たちに対し、手を差し伸べる場所となっている。魂の救済といったファンタジーやスペクタクルに心酔するだけではない。コミュニティーの人たちが集い、この土地の資源を分かち合い、お互いを労わるための場所でもある。さらに、地域が困難に見舞われたときには、地域の人々のために迅速な対応ができる役割を担っている。アパラチアでは、これまで1世紀近くの間、地方自治体や連邦政府が災害基金を流用し地域のために使ってこなかったからこそ、教会にこの役割が期待されてきた。

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アパラチア山脈に囲まれ、小さな教会しかないような土地で暮らす住民たちが、石炭産業に依存した経済が衰退していくなか、どのように、その現実と向き合ってきたのだろうという、ひとつの疑問が湧いてきた。私は、この土地の人が持つ信仰心に違和感を覚える第三者ながら、住民たちと接することで、彼らが抱える地域の繁栄と衰退について同じ問題を共有することができた。そして、薬物の蔓延によって命を落とす人が急増している現状に対し、私は住民たちと共に祈りを捧げた。

私はこの土地で暮らす人々と知り合い、信仰心やコミュニティーの大切さに気づいた。神の救済や復活を信じているわけではないが、それでも、見知らぬ私を抱きしめ、手を握り、自宅での食事に招いてくれる彼らとの交流は、私の人生を豊かにしてくれた。相手を慈しみ受容する姿勢が、内に潜む孤独感や鬱屈した気持ちを解放してくれた。自分自身の奥底に潜む残虐性や葛藤、過去の過ちも含めて、心から私を受け入れ、気にかけてくれた。これを読んでいるあなたのことも、今何をしていようと、どんな過去があろうとも、きっと彼らは受け入れくれる。キリストを信仰したとしても救われるとは思わないが、信仰が人に与える力や、仲間を慈しむ尊厳が、私を大きく変えた。

オハイオ州 ポメロイ

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ケンタッキー州 マーティン

ケンタッキー州 パイクビル

ケンタッキー州 マーティン

VICE MAGAZINE 「THE PHOTO ISSUE 2015」記事より

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