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基地とともに生きる街 FUSSA

第二次世界大戦後、米国空軍基地である横田基地が設置された東京都福生市。赤線をはじめ、基地があることで生まれる問題とともに、アメ車やアメカジ、反戦音楽など、アメリカにまつわる文化が根付く街である。同時に、ベトナム戦争などにより殺伐とする反面、経済的な効果を生み出すというジレンマを抱える街でもある。現在、停滞するこの街は、今後どのように歩んでいくのか。

新宿から電車で約1時間。吉祥寺、立川を越え、東京の西に位置する福生。第二次世界大戦以降、米空軍基地、横田基地がある。国道16号を挟んで基地に隣接する福生の街は、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、あるいは9.11のようなテロが起こるたび、物々しい雰囲気に包まれてきた。軍人が街を闊歩し、喧嘩やドラッグ、性犯罪、あるいはテロなど、他の日本の地区とは異なる脅威にさらされている。騒音や飛行機事故も然りである。

福生の街の成り立ちも基地ありき。例えば、戦後、米軍人の性の吐け口として売春が認められた地区、赤線があった。1956年に売春防止法が施行され、売春が禁止されてもなお、赤線という名は、今も、この地に存在する。

そんな福生で、人々はどのように暮らしているのだろう。赤線で商売を営む者。基地に隣接する国道16号沿いで商売を営む者。基地があるからこそ発展したアメ車文化、反戦音楽、アメカジ関係者。福生から始まり、全国津々浦々に400店舗(紅虎餃子房や万豚記、DEMODEなど)を経営する際コーポレーション社長。彼らにインタビューを敢行した。

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基地問題、かつて赤線で働いていた女帝の逸話、軍人同士の喧嘩、基地内でのドラッグレース、反戦を歌うミュージシャン、基地から放出された品々、戦争についてなど、話を聞いた。

基地があるからこそ、アメリカン・カルチャーが根付き、発展し、かつては米国に最も近い街として脚光を浴びることさえあった福生も、現在、再び寂れている。

ベトナム戦争の終結とともに米国は徴兵制を廃止。冷戦の終結とともに横田に駐屯する軍人が減少。沖縄をはじめ、多発する軍人による犯罪を防ぐための外出禁止令。海外旅行、インターネットの発達による、アメリカン・カルチャーへのアクセス簡易化。アメリカン・カルチャーそのものの停滞。様々な要因が挙げられる。

福生は横田基地、そして米国があって、はじめて活気が出る街である。もっといえば、戦争が始まれば商売的には儲かり、文化も発展する。もちろん、戦争に賛成する者は少ないだろう。それは福生で暮らす人々も同様である。基地とともに生きる街、福生は、複雑なジレンマを抱え、今後どのように歩んでいくのだろうか。