お気に入りだったコンビニの女の子、最近見かけなくなりました。辞めちゃったのかなァァ。ちょっと残念だったのですが、それと入れ替わるように、前からいた女の子が髪の毛を切りました。すげえ似合ってて可愛い。前の子より可愛い。このコンビニは、そんな回転がずっと続く店だと思う。そういう顔の店長だから。
日々の生活の中で、私たちはたくさんの人たちとすれ違います。でもそんなすれ違った人たちの人生や生活を知る術なんて到底ありません。でも私も、あなたも、すれ違った人たちも、毎日を毎日過ごしています。これまでの毎日、そしてこれからの毎日。なにがあったのかな。なにが起るのかな。なにをしようとしているのかな。…気になりません?そんなすれ違った人たちにお話を聞いて参ります。
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坂本明子(さかもと あきこ)さん(23歳):大学生
坂本さんは、ウチの翻訳スタッフのOさんの後輩さんなんですよね。
はい、のんちゃんの後輩です。
え! Oさん、のんちゃんって呼ばれているんですか!?
はい。
のんちゃんですか!「non」? それとも「ノン」? 改名したあの子は「のん」ですよね?
それは知らないです。
じゃあ「ノン」にさせてください。で、前回の 高屋さん に続いて、坂本さんもICUの学生さん。多いですねぇ。
多いですね。
和光学園並みになってきましたが、帰国されたばかりとも聞いています。
はい。2週間前にオランダから帰ってきました。
オランダのどちらですか?
マーストリヒトです。
マスタリスタ?マストリスト?
マーストリヒト。マーストリヒト条約のところです。
その条約ってなんですか?
EUの創設を定めた条約で、EUの発祥の地みたいなところです。
じゃあ、ここんとこ賑やかだったんじゃないですか?
火中でしたね(笑)。私が帰国する前日の朝にイギリスが離脱するって決まって。その前の日の夜まで、ネットとか見ながら、「これは離脱しないな」って思っていたので、朝起きたらひっくり返っていてビックリしました。
マーストリヒトの街もえらい騒ぎになっていたんですか?
別にそんなに変わりませんでしたよ。パリのアタックのときもそうでしたし。駅とかに警官が増えたりはしていますけど、生活はそんなに変わりません。
オランダへは留学だったんですか?
はい。
マーストリヒトって街はデカイんですか?
いえいえ、超小さくて。でも必要なものは全部揃ってるので、その中で全部済んじゃいますね。
なんで留学先としてそこを選んだんですか?
う〜ん。なんか直感っていうか(笑)。まずヨーロッパが良くて、留学のパンフレットを見てたら、マーストリヒトが目に入ったんです。調べたら、オランダの人は9割くらいが英語を喋れるんですよ。英語が喋れる人がいっぱいいて、英語は第二言語としてやりたかったから、「オランダでいいんじゃないかな?」って。まぁ、あの辺りの地域の美術史に興味があるとか、英語を喋れる人が多いとか、後付けでいってるんですけど(笑)。結構直感で選びました。
現在、大学何年生ですか?
4年です。向こうは9月で学年が変わるので、変わった気がしないまま帰ってきたら、勝手に4年になってたみたいな。
就職活動とかされているんですか?
いや。大学院に1年行くつもりなんです。でも親に「来年どうせ就活するんだから、今年もやっておいたら」って。「空気がわかるから、なんちゃってでもいいから就活しろ」みたいな。ですので就活もしています。
ご出身はどちらですか?
東京です。練馬です。
練馬のどちら?
石神井公園です。
お!ワニね!! ワニ事件の頃は小学生でした?
知らないですけど、伝説は…
え? 知らないんですか? ワニが出たんですよ、池から。ワイドショーでも持ちきりだったんですよ!
出たらしいよ、みたいな話は知っています。
当時私は、上石神井の子とつき合ってましてね。見に行きましたよ。もちろん見れませんでしたけどね。そうかー、ワニ知らないかー。
石神井公園にはよく遊びに行ってましたけど…。あ、今も行ってますね。
今も石神井公園に住んでるんですか?
はい。
じゃあ、遊ぶのは昔からあの近辺?
そうですね。ずっと吉祥寺で遊んでました。
小学校の頃は?
友達とゲームキューブとか。
私、まったくゲーム知らないんですが、その中でもまったく知らないヤツです。ゲームキューブって何ですか?
任天堂の四角いやつです。
ルービックキューブ?
テレビに繋ぐやつです。
ああ、持ち運びするやつじゃなくて。
テレビに繋いでやるやつ。
ファミコンみたいな?
ファミコンみたいなやつです。
へえ〜。カセット?
ディスクですね。
ああー、全然、人気がなかったやつですよね?
えっ!? みんなやってましたよ!
そうなんですか? いやいや、どうせ狭間のゲーム機とかなんでしょう?
そんなことありませんよ(笑)。絶対に誰かしらのお家にはありましたから。
でも持ってない子もいますよね?
いますけど、キューブを誰かが持ってれば、コントローラーで4人同時に遊べます。
ってことは、その子の家に行くときに、コントローラーを持って向かうんですか?
それか、その子の家に4つあるか(笑)。
あるもんなんですね。なんていうゲームがあるんですか?
マリオです、マリオ。マリパとか。
マリパってなんですか?
マリオパーティですよ。
お外では遊ばなかったんですか?
遊んでましたよ。それこそ石神井公園とかでも。
何をして遊んでたんですか?
ファンタとかをめっちゃ振って、バーッとやったりとか(笑)。
それ超楽しいやつですね! スポーツとかはやってなかったんですか?
スポーツ嫌いなので。
あら。じゃあファンタを振るか、ゲームキューブをやるか。
まあそうじゃないですけど、そうですね(笑)。
中学校も練馬ですか?
はい。普通の公立です。石神井公園の真横にあります。
真横にありましたっけ? 何中学校ですか?
石神井中学校(笑)。
はい(笑)。石神井中学校は荒れてなかったですか?
練馬なので、ぼちぼち荒れてましたよ(笑)。
具体的な荒れ具合を教えてください。
私の代に、島から転校生が来たんです(笑)。
島(笑)!! どこの島ですか?
忘れてしまいましたが、その子のせいで男の子がみんな感化されて、荒れちゃって。
え? 普通、転校生っていったら、逆にいじめられちゃう気がするんですが。
強いのが来たんですよ。
ほう!
X JAPAN神みたいな人。
X JAPAN神(笑)!!
学年の男の子がX JAPANにはまっちゃって。
名前とか覚えてます?
覚えてないです。でも池袋にいそうな髪型の子でした。
池袋にいそうな髪型って(笑)。おっ立ってる感じですか?
おっ立ってる感じです(笑)。
どんな悪いことをしていました?
保健室のガラスを割ったり、かんしゃく玉投げたり。
アハハハ!
「島、強え」って、思ってました。
ギャハハ!!島、今何をしてるか気になりますね。坂本さんは、何をしてたんですか? 部活とかは?
ブラスバンドです。
何の楽器をやってましたか?
ホルンです。
丸いやつですね。どんな音楽をやっていたんでしょう?
ガチガチの吹奏楽部がやる曲みたいなやつと、ポップなやつ…嵐とかやってましたね。人気投票で決めるんですよ。大体、嵐になるんです。あと何があったかなあ…スピッツとか。
でも、嵐とかスピッツの楽譜を用意しないといけませんよね?
あるんですよ。「ミュージックエイト」っていう会社があって、ポップスを吹奏楽版にアレンジして出してるんです。
へえー!「ミュージックエイト」ですか。知りませんでした。でも嵐とかスピッツとか、どこで披露するんですか?
文化祭とか。あと、それこそ石神井公園のお祭りとか(笑)。
やはり石神井公園中心の生活なんですね! 初恋の話も訊かせてください。この頃ですか?
う〜ん、多分気になってた子はいたけど、そんなに。
じゃ、好きな芸能人とかは?
アイドルも別にいなくて…。小学校から宇多田ヒカルが好きで、男の人はあんまり。
真面目だったんですか?
そうですね、中学時代は。
あら。じゃあ、高校デビューする感じ?
いえ、別にデビューってほどではありませんでしたが、親から、都立高校に受かったら好きにしていいっていわれていたので、受かるまでは普通にしていました。
高校はどちらの高校ですか?
浜田山にある豊多摩高校です。
すいません、豊多摩高校、知りませんでした。
宮崎駿と谷川俊太郎の出身校なんですよ。誇りに思ってます(笑)。
受験、難しそうな学校ですね?
自校作成じゃない高校では上の方みたいな。
ん? 自校作成ってなんですか?
都立高校の入試って、みんなが同じ問題を受けるんですが、頭のよろしい学校はそれだと不満らしく、自校で入試問題をつくるんですよ。富士高校とか。うちは自校作成ではないので、みんなと同じ問題でしたが、その中では上の高校なんです。
高校は私服でしたか?
そうですね。
毎日服を決めなきゃならないでしょ?自分なりのファッションコンセプトとかありました
古着がずっと好きでしたから。吉祥寺の古着屋さんとかで集めてましたね。着たいもの着れるぞ、みたいな(笑)。
ブラスバンドも続けたんですか?
軽音部に入りました。あとファッションクリエイト部っていう、ファッションショーをする部活にも。
なんですか、それ?
うちの学校から結構、文化服装学院に行くんです。
え?どういうことですか?
服をつくるのが好きな子が多いんです。
豊多摩高校に?
ええ。
服飾科みたいなのがあるんですか?
ないんですけど、ただ、好きな子が本当に多くて。
それで文化に行っちゃうんですか?
多いです。あと、美大も。多摩美と武蔵美と日藝と。
そういうのに特化した高校ではないんですよね?
まぁ、好きにできるっていう校風なので(笑)。
で、そのファッションなんちゃら…
クリエイト部。
ええ。そこでファッションショーをしたり…
服もつくります。
ドドドドって自分で?
はい。モデルを選んで、音楽も選んで、ランウェイをつくってショーを。
ファッションショーはどこでやるんですか?
視聴覚室か体育館(笑)。
どんな服をつくってたんですか? 奇抜なやつ? メタル風とか?
私は割と可愛いめの。モデルが可愛い子が多かったので。
モデルはどこから引っ張ってくるんですか?
クラスとかで可愛い子を見つけて、「モデルやらない?」って聞いて。
男の子も?
できますけど、スカートとかの方がつくるのが簡単じゃないですか。私は女の子しかやりませんでした。
音楽は何をかけて?
マリリン・モンローのサントラとかから。
モンローさん! なんでまた?
そのときオードリー・ヘップバーンとかマリリン・モンローにハマってたんです。すごくいい曲があって。この服だったら、これかな? みたいな。
じゃ、軽音は?
バンドでベースをやってました。
どんな音楽を? モンローさんじゃないですよね?
チャットモンチーとかのコピーです(笑)。
いいじゃないですか! モンチーさんね。
あとは、ビートルズとか。ジェットとか。
ライブハウスに出たりとかは?
やってましたね。部活が企画するライブがあって、吉祥寺とか西荻とかで。warpとかプラネットK とか。
でも会場費を払わなきゃいけないんですよね? もしくはノルマとか!
みんなバイトしていましたし。お客さんもチケットを買ってくれていたので大丈夫でしたよ。
バイトは何をしていたんですか?
飲食系が多かったです。地元のお蕎麦屋さんとかレストランとか。
バイトして、バンドして、古着を買って…
服つくって。
充実してましたね! 遊ぶのはもっぱら吉祥寺でしたか?
そうですね。でも高円寺とかも好きで。
中央線どっぷりな感じ?
そうですね(笑)。中央線どっぷりですね。
大槻ケンヂ世代ですね! 渋谷とかは行かなかったんですか?
1回ネタで、みんなでJKの格好して行ったことがありました(笑)。制服着て。JK向けの雑誌を買って勉強して行ったんですよ。そしたらギャルサーに声を掛けられて。「入りませんか?」って。よっしゃー!みたいな(笑)。でも、高3だったんですけど、学年伝えたら「受験生はちょっと入れないんで」って。
あらー、そういうものなんですか?ギャルサーって。
私たちも知らなかったんですけど、でも「ギャルに認められたぜ、イエーイ!」って喜んでました(笑)。
そろそろ、お付き合いとかは?
高校のときはそういうのはあんまりなかったですね。
好きな子もいなかったんですか?
友達と遊んでるのが楽しかったですね。
で、文化とか美大に行く人が多い豊多摩高校で、なんでICUに? 勉強はしっかりしてたんですか?
いえ、ICUは一浪して入りました。
でも受験勉強はしたんですよね?
いやぁ〜高3の初めに「今のままじゃダメ」っていわれまして(笑)。すごい馬鹿だったんです。勉強してなくて(笑)。本当にクラスで下から3番目とか。今のままじゃ大学に行けない。行きたい専門学校もない。そしたら知り合いの人に「ICUが向いてるんじゃない?」っていわれたんです。それで、ICUの予備校を見つけて、そこの先生と仲良くなり、浪人して入ろうって決めたんです。
あ、そうなんですね。じゃあ高3のときには大学受験してないと?
いえ、ICUだけは受けました。試しで。
なんちゃって受験ですね! それにしても、そんなにICUは魅力的だったんですか?
受験の問題が面白かったんです。
というと?
考えたら答えられる問題が多いんです。暗記物とかが少ない。私、年号とか覚えられなくて。試験問題が面白そうだから、これだったらいけるかなって。
聞けば聞くほど…和光学園ですね。で、入ってみてどうでしたか、ICUは?
最初は友達ができなくて。
あらー。帰国子女がすごく多いんですよね?
そうですね。日本で育った人は英語のコースを受けるので、結果的に帰国子女の学生とはあんまり触れ合う機会ないんですけど。
そうなんですねー。サークルとかには入らなかったんですか?
入りました。ノンちゃんがいました(笑)。服の交換会をやるサークルでして。
はぁ? これまた予想がつかないサークルですね。ノンちゃん、なにやってんだ。
「着なくなった服をどうしよう。でも捨てるのは嫌。思い入れがあるから。じゃあ交換しませんか?」そんなのを企画するサークルをノンちゃんの代が立ち上げたんです。
ノンちゃん、レッド・ツェッペリンが好きなんですよ。なのに、そんなの立ち上げたんですか。
割と中心的存在で…
ノンちゃんが!? 事務所ではお淑やかですよ!
ええ、割と中心的存在だったと思います。
ノンちゃん、大きい声も出せるんですか?
まぁ(笑)。でもノンちゃんは、演劇とかもやるんですよ。
ノンちゃんが!? 演じる!?
私は観てないですけど、結構声出るらしいですよ。あと歌が上手いらしいです。
ノンちゃんは何を歌ってるんですか!?
知らないです。でも上手いらしいです。
ノンちゃんの脱いだ服の交換会ってどこでやってたんですか?
大学です(笑)。
ゴザか何か敷いて?
いや、もうちょっとお洒落に。会場の装飾とかも考えて。DJを入れたりもしてました。ポスターとかもつくって。
で、自分たちの持ってきた服を並べて。お客さんも服を持ってくるんですか?
はい。どういう思い入れがあるかを書いてもらって、値札の変わりにタグにするんです。1エピソードで新しい服…みたいなポイント制にして、交換するんです。
エピソードは、誰がジャッジするんですか?「そんな糞エピソードじゃ、この服とは替えられない」みたいな。
最初に品質だけ軽くチェックして、どうしてもアウトなやつはすいませんって。あとは基本的に全部入れて。ポイントで交換してもらうみたいな(笑)。
ごめんなさい、まったくわかりません。…じゃあ私がシャツを持っていきます。このシャツにエピソードを付ける。「5年前に彼女がくれた服です。捨てられません」とか書くわけですよね?で?
そうすると、スタンプ一個。ポイントカードがあって、別の服と交換できる。
じゃ、「そのエピソード、素敵!」だったら、3ポイントになるんですか?
いいえ。最初は服の種類ごとにポイントを決めていたんですけど、途中でなくなりました。結局物の価値で判断してるよね、みたいな議論になり…
議論(笑)。
ええ、すごく議論するんですよ。それにエピソードだけではジャッジできないから、単に1エピソードを1ポイントにしようって。それで固定みたいな。
うーん。一枚のシャツでも3エピソードあったら、3ポイント?
1つの服につき、1つのエピソードで完結です(笑)。3枚の服を持ってきて、3エピソードあれば3ポイントもらえます。
要するに服の数×1ポイントって考えていいんですか?
そうですね。
なーんだ。
でもアクセサリーも可ですよ。
楽しそうですね。
楽しいですよ。
大学時代、彼氏は? 彼氏?
彼氏は…ノーコメントで(笑)。
ノンちゃんに彼氏はいるんですか?
いや、知らないです(笑)。
今日は肝心なこと聞けませんね。さてオランダ編いきましょう! どうでした? なんでしたっけ、マント…
マーストリヒトです。
どうでしたか?
楽しかったです。超、楽しかった。
日々、何をしてたんですか?
遊んでました(笑)。
どんな遊び?
パーティーもしてたし…
どんなパーティー? 破廉恥なやつでしょ? 各国から集まって。
いわゆるパーティーです(笑)。クラブみたいなところに行って、飲んで、ウェーイ!みたいな。学生街なのでパブに行ったりとか。
英語はもう喋れていたんですか?
そうですね。授業もありましたし、高2のときにも、イギリスに語学留学に行ってましたので。
ああ、そうなんですか。どんなきっかけでイギリスに?
親に「英語だけはできるようにしろ」っていわれていたんです。
イギリスとオランダ、どっちの方が好きでしたか?
オランダですね。
オランダでは何を食べてたんですか?
オランダ人って比較的食に関心がないらしく、オランダといえば!みたいな食べものってあんまりなくて…チーズばっかり食べてました(笑)。
日本食とか恋しくならなかったんですか?
すし酢とかも売ってるんですよ。めんつゆとかも。ああ、パーティーしました、手巻き寿司パーティー。
お! 手巻き寿司、いいじゃないすか!
ていうか海苔巻きですね(笑)。マジで友達が100人位できますよ。海苔巻きがつくれたら。大人気。
そうなんですか?
マーストリヒトにも8件くらい寿司レストランがあるんですけど、高いし、そんなに美味しくない。でもみんな寿司が好きなんです。
フムフム。
だから、まずジャパニーズっていうと「寿司つくれる?」とか訊かれるんです。だから「つくれるよー!」って。
坂本さん、つくれるんですか? 握れるんですか?
「巻き」ですから。「マジで? じゃパーティーやるしかない!!」ってなって、20人分くらい何回かつくりました。
でも「巻き」でしょう? みんなは「握り」を期待してるのでは…
いや、そう思ってないんですよ。「巻き」が寿司だと思ってて。
それってオランダ人だけ?
いや、みんな。
そうなんですか?
寿司屋に行っても、握りは出ないですよ。
ええ! マジで!!
本当に。あんまりチガイが分かってないんです。でもそれが面白かった。みんなそれでOKでしたし。
何を巻いていたんですか?
サーモンとか。ツナとか。アボカドとか。超ウケますよ!
美味しいって? みんな?
レストランよりいいっていわれました。みんなでつくったりもしたんですけど、酢飯はうちわで仰ぐじゃないですか? なのにポルトガル人の友達に「ドライヤーでいい?」とかいわれて(笑)。
確かに楽チンそう!
(カメラマン:宮本さん)乾燥しますよ、それ。
そう、そう、そう、乾燥しちゃいますよね。用途が違うんだよ、みたいな(笑)。冷ますためだから! みたいな(笑)。でもそれで友達めっちゃできました。ちょっとお金も儲けたし(笑)。
え?
ひとり5ユーロとかくれるので(笑)。
抜いたなコノヤロウ(笑)。ちなみに一番仲が良かった子はどちらの国の方でしたか?
フレンチとコソボですね。
あら、コソボからも?
イギリス生まれの人なんですけど、ご両親がコソボの人で。
なるほどね。いろんな国から、いろんな人種の方々がいたと思うのですが、日本人として、なにか実感したことなどありましたか?
そうですね。みんな、なんだかんだお国柄が出ていました。フレンチは政治の話が好きとか、イタリアンは女好きとか、そういうのは割と結構感じましたね。
イタリア人、やっぱそうなんだ(笑)。
でも、友達でいる分には個人としての個性の方が全面に出るので、そんなに意識してなかったですね。日本にも県民性の話とかあるじゃないですか?
『カミングアウトバラエティ!! 秘密のケンミンSHOW』ですね!
ええ(笑)。あれくらいな感じですね。あれくらいの感じでみんなネタにしてます。「フレンチなので英語できないの。許して!」みたいな。
「日本人だから許して!」みたいなのもありました?
許して…じゃないですけど、言葉使いが、スラングが、あんまり日本人はいえないみたいな。フレンチとかはスラングが多くて。
フランスは汚い言葉が多い?
日常的に使ってますね。「日本語だと何ていうの?」とか訊かれるんですけど、それに相当する言葉はあんまり無いっていったら、文化が違うねと(笑)。ちょっとぶつけただけで、「オーシット!」とかないですからね。
確かに。
「日本語って、綺麗な言語なのね」とか。そういう問題じゃないと思ってましたが(笑)。
なるほどー。外に出て気付くことも多いんですね。ちなみにオランダでは恋に落ちなかったんですか? 恋?
恋愛話好きですね(笑)。
もちろん大好きですよ。
まあ、ちょっとだけありましたけど。まあそこは。
どこの国の人かだけ教えてください。
ヨーロピアンです。
いけず。国も教えてくださいよ。じゃ、クイズ。オランダ人でしょ?
違います。
(アシスタント: K)イギリス人。
イギリス人じゃないです。
(カメラマン:宮本さん)僕ですか? じゃ、スウェーデン。
違います。
もう1周だけいいですか? イタリアだ。
違います。
(アシスタント: K)フランス人。
残念でした。
(カメラマン:宮本さん)スペイン。
終わりー(笑)。
そんなにヨーロッパってありましたっけ? 名前だけでも教えてくださいよ。
嫌ですよ。
やっぱいけずですね。でも今のコーナー好きでしたよ!「終わりー」って(笑)。可愛かった。
(笑)。
オランダ、本当に素敵な日々だったようですね。じゃ、日本に帰ってくるの辛かったでしょう?
帰った次の日泣きましたね。帰ったその日に戻りたいとか(笑)。逆ホームシックみたいな。
帰国してたった2週間だから、まだまだ日本に慣れてないと?
いや、慣れてます。20年以上住んでるので(笑)。
まあそうですよね(笑)。でも9月までお休みでしょ? 今年の夏は何をするんですか?
いや、何もしないです(笑)。
何の予定もないんですか?ノンちゃんとどこかに行くとか。
もうたっぷり1年遊びましたし(笑)。
ちなみに訊くの忘れてましたが、オランダで何を勉強してたんですか?
芸術史みたいなやつなんですけど。おもしろかったのは、結構権威のある美術評論家の人が、アートワールドって概念を提唱してて。「アートか? アートじゃないか?」の線引きって、批評家とか、ギャラリーの人とか、アーティストとかそういうアートに携わってる人たちによって形成されている限られた世界の中でなされる、みたいな。その小さなアートワールドの中で、アートかアートじゃないかってことや、それらの作品への評価とかがなされてるから、その世界の外の人たちからすると分けわからなくなってる、みたいな。私の理解だとそんな感じで、その状態が面白いなと。
それが面白い?
はい。
その世界を批判するということではなく?
特にアジアとかだと、社会に向けてメッセージを出したくてやってるんだろうなって感じるアーティストが多いのに、割とその中で完結しちゃっていて。美術館も、小さい世界の中にまだあるから、多分届けたい対象が外側にいて、アーティストの人は頑張ってるんだけど、断絶が大き過ぎて、上手くいってない。ポップカルチャーとかサブカルチャーの方が割とみんなに伝わりやすかったりするじゃないですか。例えば「ワンピース」とか。それが面白いと思っているんです。
へぇ〜、そこに憤りを感じるとかではないんですね? そこを解明してるんですか? 調べてるんですか?
理解することは面白いです。こんなに小さい世界でやってるから、こっちが分からなくても気にしないんだみたいな。伝えたくてやっているはずなのに、なんでこんなにみんなが分からない物が評価されてるのかな? と思っていましたけど、小さい世界で完結していて、ここでお金も回ってる。この世界の人たちは満足してるから、こういう状態なんだろーなーって今は考えてます。
そんな世界って壊れたりするんでしょうか?
壊そうと頑張ってる人たちもいるみたいですけど。美術館のあり方を考え直すとか。色々議論はあるんですけど。まだ道半ばって印象ですね〜。
やっぱ将来は、そっちの分野に進みたいんですか?
美術とか芸術とか、ものをつくる人が好きなんです。高校くらいのときからずっと。服をつくる子とか。
あなたは、寿司をつくる人ね。
そう(笑)。でも自分がつくるっていうよりは、そういう人たちのコネクションをつくったり、なんらかの形で携わりたいと思っています。あんまり具体的に考えてないですけど、文化的なことがやりたいなぁ(笑)。
ノンちゃんと何かしたら?
ノンちゃんをインタビューしたらいいんじゃないですか?
※「Who Are You?」では、インタビューを受けて下さる方を募集しています。自薦、他薦、構いません。お名前、ご年齢、性別、お住まい、ご職業、応募の動機を明記の上、こちらまでお問い合わせください。