スポーツトラブル:江川卓 空白の1日〈後編〉

スポーツトラブル:江川卓 空白の1日〈後編〉

現在は、名野球解説者、名MCとして活躍し、ワイン好きのちょっと面白い元プロ野球選手として知られる江川卓氏。高校時代から〈怪物〉として恐れられ、現役生活こそ短かったものの、読売ジャイアンツに入団してからも豪腕ピッチャーとして活躍した。しかし、そのジャイアンツへの入団には日本球界を揺るがす大騒動があった。〈空白の1日〉とはなんだったのか?後編。
19.5.17

江川卓:プロ野球(巨人)通算成績 135勝72敗 投球回数1857回1/3 奪三振1366 防御率3.02 最多勝:2回 最優秀防御率:1回 最多奪三振:3回 最高勝率:2回 最優秀選手:1回 最優秀投手:2回 ベストナイン:2回 日本シリーズ優秀選手賞:1回 オールスターゲームMVP:1回

この〈空白の一日〉事件を経て、プロ野球界は大きく変わった。選手が球団を選びやすくなるように、ドラフトに逆指名制度が導入され(2007年に廃止)、選手会側の要望を受けてFA制度も導入された。米国メジャーリーグ入りに伴う新たなルールも生まれた。もちろん、問題点はまだまだ山積みだが、江川騒動がきっかけとなって、現在のプロ野球があるのは、紛れもない事実なのだ。

引退後の江川は、日本テレビの野球解説者に就任。更に、タレント性に恵まれていたようで、『スポーツうるぐす』『THE・サンデー』『Going!Sports&News』など、テレビでも大活躍中だ。相変わらず読売グループにどっぷりであるが、当時の〈悪役〉イメージは完全に消え去った。上田晋也と絡んでいる江川も、ワインのうんちくをたれている江川を観ても、私自身、何も思わなくなった。嫌いでもない。ただやはり、〈桑田・清原問題〉や〈野間口の裏金問題〉で、正力亨オーナーの後を引き継いだ渡邉恒雄(現・読売新聞グループ本社主筆)がチョロチョロ現れるたびに、あの時代の江川、あの時代の巨人を思い出してしまう。大好きだった巨人は、あの騒動を経て何か変わったのだろうか。いや、残念ながらそんなに変わってない。変わったのは、巨人一辺倒だった野球界だ。巨人以外の11球団が魅力的になっただけだ。そんな他球団を面白くしているのは、元巨人の生え抜きトップ選手たち。スーパースター王貞治も巨人を離れ、福岡ダイエーホークスの監督になった。中畑清もDNAベイスターズの監督になった。西武ライオンズの黄金時代を築いた森祇晶も巨人のV9戦士だ。更にいうならば、松井秀喜も巨人を離れてニューヨーク・ヤンキースに移籍。日本におけるメジャーリーグ人気の原動力になったのは間違いない。