ロンドンのアンダーグラウンド・テクノシーンを切り取る煌びやかな写真

ロンドンのナイトライフに飛び込み、クラブ客をカメラに収め続けるスペイン人フォトグラファー、キエフ・ローにインタビュー。
26.6.20
ロンドンのアンダーグラウンド・テクノシーンを切り取る煌びやかな写真
Metaraph. All photos by Kiev Ro

2012年、28歳のスペイン人フォトグラファー、キエフ・ローは、英語をひと言も話せないまま、スーツケースひとつで英国に降り立った。彼の出身地はスペイン北部のマヨルカ島。吐瀉物に塗れたマガルフの繁華街から遠く離れた場所で育った彼は、クラブカルチャーに惹かれたことはなかったという。しかし、ロンドンでテクノ/トランスシーンに出会い、彼は変わった。

ロンドンのElectrowerkzのイベント〈KAOS〉やDirty Dianaなどのクラブで開催されるゲイパーティで、キエフは気の合う仲間に出会い、彼らが写真のインスピレーション源となった。彼は7年にわたって、この街の深夜のレイバーたちのポートレートをとらえることに情熱を注ぎ続けている。

まずは、あなた自身のバックグラウンドについて教えてください。どうしてロンドンに移住したんですか?
マヨルカ島からここへ来たのは2011年のとき。最初はあまり外出しませんでした。ロンドンについたときは、スペインでも他のどんな都市でも見ないくらい大勢の人といろんなモノに溢れているように感じて。ここでは、何もかもがマヨルカ島のような小さな島よりも鮮明に見えます。それからいろんなひとに出会い、よく出かけるようになりました。スペインで仕事を探していたんですが見つからなくて…。それでここに来て、ロンドンが大好きになったんです。もうどこにも行かない、と決めました。

Kiev Ro photography of London techno clubs

そもそもロンドンに来ようと思ったきっかけは?
それまでは1度も来たことがありませんでした。スーツケースを掴んで飛行機のチケットを取って、ここに来たんです。何も残さずに。英語はまったく話せませんでした。いちばん最初に思い浮かんだのがここだったんです。スペインにはあまり選択肢がなかったから、もう国に残るつもりはなかった。マドリードやバルセロナは大好きだから住んでもいいと思うけれど、ロンドンが本当に気に入ったんです。引っ越したあとのことはまったくわかりませんでしたが。今はここロンドンが私の居場所です。

写真を始めたのは英国に来る前ですか?
そうです。でもロンドンに来てから、テーマや被写体は変わりました。ここはまったくの別世界です。僕は自分が見たものを撮るようになりました。クィアのひとびとが集まる場所に出かけるようになり、マヨルカ島にはなかった世界に触れて視野が広がったんです。それこそが僕が写真を撮る理由です。自分が目にしたあらゆる情報を捉え、記録しておきたかった。そのために写真を撮り始めたんです。

Kiev Ro photography of London techno clubs

エレーナ.

London College of Contemporary Artsで学んでいるそうですね。授業からはどんな影響を受けました?
昨年から通い始めたんですが、学校で学ぶことは、僕が興味のある写真とはかけ離れています。僕はあまり技術を重視してはいないので。僕のスタイルは社会的リアリズムですが、大学やアートスクールで学ぶような、完璧を追い求めるものじゃない。

Voltのようなロンドンのテクノパーティの仕事を受けるようになったきっかけは?
(Voltの)オーガナイザーのひとりであるポランスキーやアントニオは、もともと知り合いでした。写真を撮る前から彼とパーティに出かけていたので。よくいっしょに出かけて、そのシーンのいろんなひとに出会いました。あらゆるタイプのひとが入り混じっている感じでしたね。

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今はそこまで出かけませんし、だいぶ落ち着きました。でもロンドンに来た当初は、思い切り遊ぶぞ、と自分に言い聞かせて、いろんなひとに会うようにしていました。できるだけ多くのものを見て、自分のなかに取り入れたくて。

Kiev Ro photography of London techno clubs

クラブで写真を撮っていると、どんな反応をされますか?
ときどき思うんです。顔に向かってフラッシュを焚いて、みんな僕のことを煙たがってるんじゃないかって…。でも、たいていは良い反応が返ってきますよ。大事なのは立ち回りかたです。クールな感じで少し踊って、まあ踊らなくてもいいけど、見せかけるだけじゃなく仲間だと認識してもらう。そうすればすべてうまくいきます。みんなが僕を部外者とみなしたり、ただ写真を撮りたいだけだと思ったら、不快に感じるでしょう。でも、僕はいつも騒いで踊って夜を思い切り楽しんでるので、そう思われたことはありません。

最高のパーティは? どこへ行けば面白いひとたちに出会えますか?
どのパーティでもお客さんは同じような感じです。僕が好きなのはFoldですね。めちゃくちゃクールで。日曜のUnfoldも好きです。それからCornerも。最近はElectrowerkzの〈KAOS〉にも行くようになりました。オーガナイザーの知り合いもいます。あとは〈INFERNO〉というイベントも好き。ロンドンにはいろんなクラブやイベントがありますね。〈Papa Loko〉も最高です。

Kiev Ro photography of London techno clubs

ジャック.

ヨーロッパの他の場所でダンスミュージックシーンを体験したことはありますか?
つい最近ギリシャに行ってきました。アテネのKouklesというクラブでは、1980年代や90年代のような昔ながらのドラァグショーをやっていて、すごくクールです。でもそれ以外の国はあまり行っていません。ここロンドンは街の様子もシーンも強烈で、出会うひとたちのルックスもすごくパワフル。他の場所に行っても、ロンドンで写真を撮るときほど心に響かないんです。

ブレグジット以来、この街は閉鎖的になったと思いますか?
僕は移民として永住権を持っていますが、これからどうなるかはわかりません。先のことはあまり考えたくないですね…。ロンドンは(ブレグジットに)振り回されるべき場所じゃない。ここには、アートやクリエイティブな方法を通して街に利益をもたらしているひとが大勢います。大したお金にはならなくても、ロンドンや英国に注目が集まり、観光業が活気づくきっかけにはなるはずです。

Kiev Ro techno clubber

ジュリア.

写真があなたの主な収入源ですか?
今は学生なので、週に一度小さなカフェでバイトしています。それから単発の仕事も。昨日はクラブのドアマンでした。

作品はポートレートが多いようですが、どうしてですか?
僕が好きなのは、小さな物事に違いを見出すこと。僕にとってはそういう些細な違いが美しく感じられるんです。それを変だと思ったことはないですね…。僕が撮るのは知り合いばかりなので。ほとんどは友達やパーティ知り合ったひとたちです。彼らが変わってるとは思わない。だって僕も彼らの仲間ですから!

Kiev Ro photography of London techno clubs
Kiev Ro photography of London techno clubs

@alupicabr

This article originally appeared on VICE UK.