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最速レポート!アンドロイドがデーモン・アルバーンのライブを鑑賞?

全英を代表するロック・バンド、ブラーのフロントマン、デーモン・アルバーンが、2体のアンドロイドを招待し、日本科学未来館でパフォーマンスを行った。初のソロアルバム『エヴリデイ・ロボッツ』に収録された曲を含め、全4曲を演奏した。
25.7.14

ジオ・コスモス

デーモン・アルバーンが日本科学未来館にてミニライブ実施

全英を代表するロック・バンド、ゴリラズとブラーのフロントマン、デーモン・アルバーンは今年4月、初のソロアルバム『エヴリデイ・ロボッツ』を発表。日本滞在中の7月24日(木)、限定されたファンと2体のアンドロイドを招待し、日本科学未来館でパフォーマンスが行われた。その背景には今年3月に、アルバーンがプライベートで未来館を訪問したことにある。その時に、未来館の雰囲気を気に入ったアルバーンが、「ロボットに囲まれた場所で演奏したい」と、ファンとアンドロイドを招待した形でのライブを希望したことから、今回のパフォーマンスが実現した。ちなみに、最新アルバムの収録曲「ロンリープレスプレイ」のミュージックビデオには、3月に訪問した時の様子が一部収録されている。

音楽に合わせて揺れるアンドロイド

本イベントには、約50名の関係者と共2体のアンドロイド(※1)が招かれた。成人女性の姿をした「オトナロイド®」(※2)と必要最低限の人間らしさを追求し作られた「テレノイド®」(※3)が前列に腰を掛け、アルバーンの登場を待つ。会場の外では開始の少し前から雷と豪雨で嵐のようになっていた。稲妻が走るたび、建物内で巨大な地球ディスプレイ「ジオ・コスモス(※4)」が青く光り、この状況がより一層、場内の雰囲気を特別な空間へと演出していた。

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19時、ミニライブがスタート。エレクトロピアノの前に座り弾き語るアルバーンは、最新アルバムから「エヴリデイ・ロボッツ」「ホロウ・ポンズ」、そしてブラーのアルバム「アナザースター」に収録された「ストレンジニュース」と「アウト・オブ・タイム」の合計4曲を演奏した。ライブの間、「オトナロイド®」は音に合わせて身体を揺らしていた。歌詞を口ずさんだりまばたきをしたり、また切ないメロディーラインの時とアップテンポな時と、どことなく彼女らの表情が変化するようにも見えた。全曲が終了したところでアルバーンは特別ゲストである「オトナロイド®」のもとへ行き、目を見つめてお辞儀をするパフォーマンスも。特別ゲストである彼女は、アルバーンに対して満足そうにお辞儀を返していた。アンドロイドとはいえ、まるで生きている人間のようなその姿は、見ていてとても興味深いものだった。

アルバーンのライブを楽しむオトナロイド(奥)とテレノイド(前)

テクノロジーは「メランコリックなのかもしれない」

アルバーンは終了後のインタビューで、次のように述べている。

「アンドロイドとの共演は面白かった。近くで見ると確かに人工物なんだけど、遠くから見ると普通の人間に見える。フェイクではあるんだけど、リアルなんだよね。だってそこに、たしかに存在しているから。でもやっぱり、ロボットは絶対的な“他者”であることに変わりないと思う。そういった意味で、テクノロジーはメランコリックなのかもしれない。」

今回、実際に人工知能という機能によって二体のアンドロイドが音楽に反応したかのように思えた。だが、これには特別な仕掛けがあったと、未来館担当者は説明する。「オトナロイド®」は今回のアルバーンとの企画のために組まれたプログラミングにより遠隔操作されており、「テレノイド®」にいたっては、「オトナロイド®」のように口を動かす機能はあるものの今回はそれを使わず、通常モードと呼ばれる待機動作でマイペースに動いていたという。実際確かに、彼女らはライブ終了後も観客が席を立つ間にも小さく揺れ続けていた。感情というところから切り離されていることを耳にすると、やはりロボットとの距離感を感じるものである。ただ、未来館担当者は「アンドロイドと共存する社会」は遠い未来の話ではなく、私たちの社会に密接に関わってくることでもある、そうした未来がすぐ近くまできていることをアンドロイドと過ごす機会に知って欲しいという思惑もあったという。

日本科学未来館で行われたアルバーンのパフォーマンスはまさに「ロボットのいる日常」が当たり前になった未来を予感させるものだった。けれど実際は今を生きる人間にとって、その光景はどうしてもまだシュールに映り、異次元に触れる体験である。だからこそ、こうした空間で奏でたアルバーンの音楽によって、普段わたしたち人間がもっている感覚とテクノロジーが自然にシンクロする瞬間を味わえたのかもしれない。

Photo by Takanori Kuroda

今回のパフォーマンスとインタビュー映像は後日公開予定。

脚注:

(※1)アンドロイド:人間酷似型ロボット。

(※2)オトナロイド®:成人女性の見た目をした遠隔操作型アンドロイド。株式会社国際電気通信基礎技術研究所[ATR]・大阪大学特別教授の石黒浩氏監修で制作。実在の人間から型取り、成形された特殊シリコンと、空気圧アクチュエータによる人工筋肉で動作する。アンドロイドと至近距離での対話が可能。株式会社国際電気通信基礎技術研究所と株式会社電通の登録商標。

(※3)テレノイド®:体型や顔つきといった特定の人物の要素を極力そぎ落としてデザインされた遠隔操作型アンドロイド。ATR・大阪大学特別教授の石黒浩氏が監修で制作。誰にでもなり得る外見を持つものとして作られ、利用する人が好きなように、実在の人の存在感を投影することが出来る。株式会社国際電気通信基礎技術研究所の登録商標。

(※4)ジオ・コスモス:直径6mの地球型ディスプレイ。ディスプレイには、気象衛星が撮影した画像データが毎日反映され、宇宙に輝く地球の姿がリアルに映し出されている。日本科学未来館のシンボル展示。