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Shall We Dancehall?:JAKEN aka CORN BREADさん(27歳) ダンサー

「レゲエダンサーって言葉は、日本では伝わりやすいから使われていて、世界的にはダンスホールですね。レゲエダンサーじゃなくて、ダンスホールダンサーです」

by VICE Japan; photos by Yohei Miyamoto
23 June 2016, 12:21pm

ドレッド編んだ男の子、メッシュを入れた女の子。道端で良くダンス教室帰りの小学生たちを見かけますね。中学生になったら戻さないといけないねー、和光学園ならともかくねー、なんて思いながらすれ違います。これまでの人生、ダンスとは無縁だったなー。夢中になったのはメロリンQくらいだったなー。ポゴダンスもモッシュダンスも違うしなー。でもたまにテレビとかで見かけるわけです。なんであんなにピコピコ動けるんだろう。なんであんなにキラキラ輝いているんだろう。ほとばしる汗、私も浴びてみたい!!というワケで、「Who Are You? 特別篇:Shall We Dancehall?」スタート。ピコピコ動くスーパー人間のみなさんが登場します。

日々の生活の中で、私たちはたくさんの人たちとすれ違います。でもそんなすれ違った人たちの人生や生活を知る術なんて到底ありません。でも私も、あなたも、すれ違った人たちも、毎日を毎日過ごしています。これまでの毎日、そしてこれからの毎日。なにがあったのかな。なにが起るのかな。なにをしようとしているのかな。…気になりません?そんなすれ違った人たちにお話を聞いて参ります。

JAKEN(じゃけん)aka CORN BREAD(こーんぶれっど)さん (27歳):ダンサー

JAKENさん。…やはり広島のご出身ですか?

ああ、よく言われます(笑)。でも横須賀なんです。

ああ、そうなんですね。勝手に「朝日ソーラーじゃけん」の菅原文太さん流れかと思ってました。すいません。なぜこちらのお名前を?

本名はケンタなんですけど、レゲエを聴き始めた頃に「JAH」を知って。神様の「JAH」です。

なるほど!

ですので、最初は「JAHKEN」だったんですけど、ラスタファリアンと間違えられるかもしれないし、そちら方面のアーティストとか、ドレッドのアーティストで「JAHなんとか」が多かったので、「H」を取りました。それにJAMAICAの「JA」、JAPANの「JA」でも、意味が通りますから。

ウマイですね!そんなJAKENさんはレゲエダンサーさん。

はい。

ただですね、ごめんなさい、いまいち、レゲエダンサーって言われてもわからないんです。レゲエっていうと、あの「ンッチャ、ンッチャ」のイメージがあるじゃないですか。

ボブ・マーリーみたいな?

はいー。いわゆるルーツレゲエの。そこのダンスっていうのが、ちょっと結びつかないんです。

そうですね。でも、そういうルーツロックレゲエとか、スカでステップを踏むのもあるんです。スキャンキングみたいな。

スキャンキング?

ええ、スキャンキングです。踊る人のことを「スキャンカーズ」って呼ぶんです。最近、またそれが流行ってるんですけど。スカで踊る「スキャンカーズ」から。

スカで踊る人はスキャンカーズ?

そうだったんですけど、例えば、俺らがメインにしているダンスホールを踊るにしても、そのチームの名前が、何とかスキャンカーズとかあって、スキャンカーズって言葉が今だに使われてるんです。ボブ・マーリーの曲でもあるじゃないですか。あれもスキャンキング…「EASY SKANKING」っていう曲とか。

へぇ〜。

当時、踊っていたのもスキャンキングなんですけど、ステップを踏むブームが、ジャマイカでも世界でもここ何年かで来てるんです。それで、スキャンカーズとか言われ始めているんですね。「レゲエダンサー」って言葉は、日本では伝わりやすいから使われていて、世界的にはダンスホールですね。レゲエダンサーじゃなくて、ダンスホールダンサーです。

ではJAKENさんもダンスホールダンサーなのですね。

はい。

お仕事と考えてよろしいんでしょうか?

はい。各地のイベントに出演したり、ワークショップに参加したり。あと、月、火、木でスクールもやってます。

あ、ダンススクールの先生?

はい。免許とか必要ないんですけど。

どちらに学校はあるんですか?

月曜日が鶯谷、火曜日が下高井戸、木曜日が横浜の学校です。

各地で教えまくりですね!生徒さんは、おいくつぐらいなんですか?

下は16歳から上は40歳までですね。

どんなことを教えてらっしゃるんですか?EXILEの学校みたいな感じですか?行ったことありませんが。

EXILEとジャンルは違いますが(笑)、やってることは一緒だと思います。ただダンスホールって、今ヨーロッパとかアメリカでは、すごく火が付いているんですけど、日本ではまだ歴史が浅いというか、出来たてというか。

そうなんですか。

俺も何年もジャマイカに通ってるんですけど、ここ最近、ヨーロッパやアメリカの人達がジャマイカに来ることが多くなりました。ジャマイカ人にダンスを習うためなんです。それにジャマイカ人のステップは、特別なんです。

特別?違うんですか?

音のとり方とかグルーヴ感とか色々違うんです。アップダウンとかもそうだし、あと、ジャマイカの人って、カウントが1個前に入ったりとかー。。

んん?

ジャマイカから日本に教えに来ている先生もいるんですが、体にそれが馴染んてじゃってるから、知ってて当たり前のような感じで教えるんですよ。でも日本人は、1個前の音を取るってことが、なかなか出来ない。例えば、「5、6、7、8」と来たら、「8から取れ」ってことなんです。日本だと「5、6、7、8」、そして続く「1」で、ダンスを始めるんですけど。要は1から入るのではなくて、8からがダンスなんです。俺も生でそれを見て覚えたんですけど、それを日本で教えても、最初はなかなか体に染み込まない。そういう所もトリッキーで面白いところです。

私ゃ、頭の中でも踊れません。そんなスーパーJAKENさんになるまでを振り返っていただきます。

はい。

で、ご出身が横須賀。齋藤社長は「やばいところ〜」「学級崩壊〜」「シンナーとかタバコ〜」なんておっしゃってたんですが。

確かにヤンキーは多かったですね。ボンタン履いて、セミタン着て、鬼剃り入れたりとか(笑)。

鬼剃り(笑)!JAKENさんも鬼でしたか?

いえ(笑)。ストレートのそんなに太くないやつと、上はセミタン?ぐらいでした。悪いチームとも真面目チームとも仲良かったんですよ。サッカーもやってたので。

あ、そうなんですか!

ええ。なのでシンナーとかタバコとか出会うこともなく(笑)。

サッカー歴は長かったのですか?

小学校から、高校の途中までやってました。サッカー少年でしたね。

シュッとしてるし、サッカーやってるし、モテたでしょう?

う〜ん。今の方がモテてるかもしれないです(笑)。

でしょうねぇ〜(笑)。その頃から、音楽に興味があったんですか?初めて買ったCDとか…

「だんご3兄弟」でした。多分小4か5年生。黄色くて、ちっちゃいCD。

キャワイイですね(笑)。お母さんに頼んで買ってもらったんですか?

自分の小遣いで。鬼リピートしてました。

どんなんでしたっけ?

♫ 串に刺さってだんご〜、しょうゆたらして〜 ♫…みたいな。

(笑)そうだ。だんごでタンゴ。タンゴ調でしたねぇ。

おお〜。それはちょっと今気付いたっすね。

でも「だんご3兄弟」から、レゲエとかダンスホールへの道のりは遠いですね。

まあ、いろいろ寄り道して。

どこに寄ったか教えてください。

まず、兄貴にそそのかされて、TOKIOのCD買いました。

おお〜、「AMBITIOUS JAPAN!」かな!

兄貴はその頃音楽全般が好きで。あと、中学の入学式後に、早速先輩の家に遊びに行ったんです。サッカーで繋がってたやんちゃな先輩たちがいたので。そこで初めてZeebraとかRIP SLYMEとかを知りました。「格好いいなあ」と思いましたね。

レゲエもその頃?

そうですね。でも何が違うとかよくわかってなかった。これが「レゲエかぁ〜」みたいな。PUSHIMさんとか、MIGHTY JAM ROCK、大阪のRYO the SKYWALKER、MINMI、HAN-KUNとか、RUDEBWOYくんとか。

そんなん聴きながらサッカーなんて イケてまくりの中学生じゃないですか。

いや、いや、普通です(笑)。サッカー、ブラックミュージック、あと、釣り…そんな生活です。

お、釣りも!充実してますねぇ。しょっちゅう釣ってたんですか?

はい、親父と。密漁とか好きで。

え?

密漁です。

どういうことですか、密漁って(笑)。

葉山の海とか行って、銛で魚を突いたりとか。アワビを採ったりして、持って帰って食うとか。

(笑)。お父さんが素潜りして?本当はやっちゃいけないんですよね?

場所によってはダメっすよ。漁師が稚魚とかを放して育てたりするから、結構怒られるんですけど。親父は警察に1回捕まりました。

アハハ!

隣のおじさんが、うちの親父が捕ったアワビとかサザエを持ってたんです。「ちゃんと隠さないと、ダメだよ!」って、うちの親父はいってたんだけど、そこでバレて。

(笑)。じゃあ、隣のおじさんも一緒に逮捕?

いえ、アワビとか捕ってたのがうちの親父だったので。

あら〜。お父さん現行犯ですか?

はい。俺も一緒にいたんですけど、「オマエは先に帰ってろ」って。何が起こったのかわかりませんでしたが、その晩親父は帰ってきませんでした。

(笑)。お父さんは、結構男気系ですか?

そのときはガス屋だったんですけど、実家の九州の方では家系が結構…

ハードな家系ですか?

ええ。ハードな家系で。

(笑)。

俺が生まれる前に、おじいちゃんは死んじゃったんですけど、その人がものすごい人だったらしくて。うちの親父もその血を継いじゃってるので、血の気が多いというか(笑)。叔父さん、指2本ないみたいな。

素敵な家系ですね(笑)。じゃあ、お父さんも厳しかったと。

そうでしたね。でも今は犬飼って、こんなに人って丸くなるんだ、と思うくらい優しくなりました。

犬!お父さんは何を飼ってるんですか?

チワワです。

アハハ!!

相当可愛がってます。

満喫した中学時代を経て、高校に突入ですね。

はい。地元の田舎の高校に行きました。サッカーの部の監督の推薦で入ったんですけど。

おおー。

でも、あんまり監督と合わなくて。楽しいだけのサッカーじゃなくなるじゃないですか?戦術が入ってきたりとか。走ったり、基礎練もそうだし。しんどいなー、とか思いながらやってて。試合で点を取っても「今のはパスだろ!」なんて言われたり。その頃からレゲエを本格的に聴いていて、クラブとかもに出入りしていた頃だったので、「サッカーをやめて、レゲエをやって行こうかな」と。高校2年の頃でしたね。

「サッカー辞めて、レゲエやろう」って、クールですね!

そこから近所に「いっしー」っていう親友が住んでたので、そいつとバイトしたお金でレコード買って、ターンテーブル買って。7インチのB面って、「バージョン」というインストゥルメンタル・バージョンが入っているので、それで歌うことも覚えたり。

なるほど!「バージョン」って、そんな使い方できるんだ!

最初はヒップホップのオケでやってたんです。地元の後輩のラッパーと一緒に歌ってみたり。そのときは「けんけん」って呼ばれてたんですけど、「レゲエもやってみれば?」なんて周りから勧められて。それでレコードを集めて聴いてるうちに、ハマりました。そこからですね、ジャマイカ人のレゲエに目覚めたのは。

横須賀にレコード屋さんはあったんですか?

たまたま家の近所に、IRIE YARDっていうWEBレコードショップがあったんで、直接行ってました。タニオクさんという方がやってたんですけど、すごいよくしてもらって、いろいろ教えてもらって。何百枚とレコードを買いました。

なんでそんなにレゲエに魅力を感じたんでしょう?

ヒップホップも聴いてましたが、大きかったのは、レゲエのイベントに行くようになったことです。そのときに出会ったのが、窪塚洋介くんの弟のRUEEDって言うんですけど、RUEEDは同じ年で、中学の時のサッカーの対戦相手だったんです。

それはたまたまですか?

はい。普通にサッカーの予選で戦ったりしてたんです。

サッカー時代からお知り合いだったんですか?

そのときは窪塚の弟ってことくらいしか知らなかったですけど、あいつは横校って言う高校に通ってて。「横校にもRUEEDっていうレゲエやってるやついるよ」「へー」みたいな。そしたら窪塚君の弟で。

あいつじゃん!みたいな。

で、連絡先を交換して、RUEEDが歌っているイベントに行ったんですね。「カッケー!」と思って。それもきっかけの一つですね。

じゃあ、JAKENさんもまず歌い始めた?

はい。その頃は兄貴もやっぱりレゲエとか聴いてて、RYO the SKYWALKERとか。その兄貴の友達、5個上の先輩とかともいつも遊んでたので、いろんなことを教えてくれるし、いろんなところに連れてってくれたんですよ。その人たちとの出会いも大きくて、その人がブランニュー太くんって言うんですけど、ブランニュー太くんの連れがポジティブって言うんですよ。ポジティブの「ブ」が部活の「部」なんですけど。

はい(笑)。

そしたらポジティ部くんはダンサーだったんです。

おお〜、出会ったんですね。

はい。その当時、本当にダンサーいなかったので。その2人とよくダンスに行って、踊ることを覚えて。最初は歌をやりながら、セレクターもやっていたんですが、この時期に踊る楽しさを知りました。

先輩たちは悪いことも教えてくれました?

はい。でも10代でしたので、その部分はちょっと内緒で(笑)。

はい(笑)。女の子はどうでした?クラブとか行き始めたら…ねぇ。ルックスもいいし〜。

まあ(笑)。でもその辺りでワイニーを覚えました。ワイニーって知ってます?

知らないです。どんなオイニーなのですか?

ワイニーって言うのは、女の子が腰を振ってるところに、男が後ろに来てお尻に…

ああ!女の子のお尻がピコピコ動いてるところに!!

リアーナとドレイクの「ワーク」みたいな。

あんなエッチなことを高校でやってたんですか!私もやったことないですよ。

損してますよ、人生。

え?損してる?私、人生損してますか?

損してますよ。だって女の子が腰振ってくれるんですよ。

あの時チンチンは当たってるんですか?

当たってます。

チンチン当たってるんすか!

ちっちゃい人は当たらないかもしれないですけど。

アハハ!高校時代、当たりまくっていたんですね!スゲー。

それもレゲエなので(笑)。

やっぱり女の子の腰使いはすごいんですか?

それに関しては人に寄りますね。相性もあるし。

素敵な世界だなぁ〜。

場所がクラブっていうのもありますよね。電車で座ってて、超綺麗なお尻の形のいい女の子が入ってきても、ワイニー出来ないじゃないですか?捕まっちゃうじゃないですか?

当たり前ですよ(笑)。

でもレゲエの現場ではダンスの表現なら許されます。

ムフーッ!!

むしろペシン!ってケツ叩くようなアクションとかも踊りでやったりします(笑)。

ムーン!!確かに損してますね、こりゃ。例えば私がクラブでワイニーしたらどうなるんですか?

全然、大丈夫です。

だけど断られることは…

全然、あります(笑)。

ですよね。

ちょっと恥ずかしそうに、ぎこちない感じでやると、すぐ…

いなくなっちゃう?

いなくなっちゃうか、やめてって言われたり、無視されてどっか行っちゃうとか。

簡単にはできないんですね。

はい。ワイニーの上手い、下手もありますので。

逆に「教えてあげる」みたいな感じはないんですか?

あるっすよ。エドゥケートスタイル。

なんですか、エドゥケートスタイルって?

教育スタイルっす(笑)。

おお〜教育されたいなァァ!JAKENさんは教育係の方ですよね?

んー、どうでしょう(笑)。相手に教育が必要なら。

よっ、男前!!

まぁ、ダンサーですので(笑)。

さすがハード家系ですね!

あと、女の子はベノーバって体勢があって。

なんですか?ジェラート?

ベノーバ。ベンドオーバーです。要は時計の3時半みたいな体制を女の子がとって…言い方悪くしたら立ちバックみたいな体勢で、ワイニーをするんですけど…。今度クラブに来てください。それで俺がワイニーしてるのを見つけたら、横に来てください。

横に?

はい。そしたらタイミングの良いときにスッと入れ替わってください。

おお〜!私のチンチンが!

そこで実力が出ますよ。すぐにバレたら、やっぱりダメだったなって。そこで10秒、20秒行ったらハイタッチしましょう。

ヤベエ!超楽しそうですね!

「Enjoy yourself」っていうか、誰が一番楽しめるか、みたいな。それをやっぱり伝えないといけないって、ジャマイカ行って思ったので。

そのジャマイカ行きの話なのですが、高校からジャマイカに行こうと決めていたんですか?ハードお父さんは大丈夫でしたか?

はい、決めていました。親父も「ダンスで飯なんて食えない。安定した仕事をしろ」って言ってましたが、高校を卒業して、バイトしてお金を貯めて、19歳の夏にニューヨークに行き、その冬にジャマイカに渡りました。

まぁ、お父さん的にはそうでしょうね。

でも21歳のときにダンスで日本一になって。そのトロフィーを見せたら、「おお、そうか」みたいに、ちょっとずつ認めてくれるようになりました。逆に最近はうるさいですけどね(笑)。

うるさい?

一緒に外で飯食ってたら、隣に女の子とかいるじゃないですか。そしたら「こいつスゲエんだよ」とか言って、俺をダシに使ってナンパしたり。

チワワだけじゃ我慢できないと(笑)。

親父は今、タクシーの運転手をやってるんですけど、俺と同い年くらいのヤツが乗ってくると、すぐに俺の話とかをしてるそうです。喜んでくれてるので、やりやすくなりました。いつも両親には感謝してます。

やっぱ「チワワより、我が息子」ですね!そして念願のジャマイカ。いかがでしたか?

もう衝撃でしたね。今まで映像で観ていた場所が、3Dになってるんですから。空港着いたときのモワンとした空気…カリブ海からの空気だけで高まっちゃって。「やべえ、ジャマイカ!」みたいな。タクシーに乗って。海沿いを走ってキングストンの町まで行くのに、2、30分掛かるんですけど、走ってる最中も舞い上がっちゃって。運転手も「ウェルカム、ジャマイカ!」とか。「イエー!」って。

どんな国でしたか?豊かではないんですよね?

豊かじゃないですね。本当に貧富の差が激しくて、アップタウンの人間はすげえ幸せそうだけど、ゲトーの人間はみんな苦しい中で生活しますよね。

その辺も肌で感じられましたか?

ええ。先輩と一緒に住んでいたんですけど、そこで強盗に遭いました。その先輩が帰る前日に強盗が3人くらい来て、いろいろ荷物がなくなって。さらに俺もそこに住めなくなったんです。でもシービューって場所があって、そこにチェホンっていうアーティストとナチュラルウエポンっていう日本のアーティストたちが家を作りながら住んでるんですけど、そこの家のオーナーに話をして住めるようになりました。そのときは3ヶ月だったのですが、なんかある度に「CORNBREAD、100円くれ」とか「ジュース買ってくれ」とか周りのジャマイカ人にたかられるんです。そういうの「ベグ」っていうんですけど、ベグはゲトーでは普通なんです。ギブアンドテイクなので、あげた分、何かしてもらったりとか。人間関係ですね。そういうこともすごく学んだし、言葉もそこで学んだし。喋れなくて、嫌な気持ちにもなりました。ゲトーの人間なので、口も荒いし、すぐに喧嘩とかになるし。でもそいつらと絆も生まれたり、沢山の事を学べました。そのゲトーでの3ヶ月はデカかったですね。

なんでもジャマイカではJAKENさんではないと?

はい。ジャマイカではコーン・ブレッド(Corn Bread)って呼ばれてるんですよ。

それはまたなんで?

初めてジャマイカに行ったときの相方が、バグジュースっていうチューペットみたいな10円のジュースばっかり飲んでて…

チューペット!懐かしいですね!!チューチューするヤツですよね!

「バグジュース&JAKEN」じゃ変だから、名前を与えよう、ってなって、リコシャバっていうセレクターがブレッドって付けたんです。バグジュース&ブレッドだって。「ブレッド?パン?ああ、パンかぁ」って。でも「マイネーム・イズ・ブレッド」とか言っても「え?」みたいになっちゃうんですよ。銃の弾を「バレット」って言うので、伝わんないこともあったし。でも、ジャマイカってパンがすごい美味しいんですよ。パンがいっぱいあるんですよ。特にコーン・ブレッドが美味しい。黄色いトウモロコシのパン。それで俺は肌が黄色いし、コーンブレッドでいいかな、って改名しました。そしたらみんな気に入ってくれて。「バグジュースとコーン・ブレッドだって?お前らやばいな」みたいな。「俺らのソウルフードをレペゼンするのか」みたいな(笑)。そこからジャマイカではコーン・ブレッドです。

なんか可愛いいキャラクターみたいですね!トウモロコシパンさんは、どれくらいの頻度でジャマイカには行ってるんですか?

ほぼ毎年行っています。

ジャマイカのこと、どんどん好きになってますか?

そうですね、慣れちゃった部分もあるんですけど、毎年挑戦することがあるし、得るものもあります。ダンスホールってナマモノなんです。常に進化していますし、その瞬間にジャマイカで聴いたダンスホールが本物ですし。日本で同じ曲を聴いても全然、感覚も、感じ方も違うんです。曲に背景を感じますし、例えばゲトーの背景もそうだし。本物を吸収して帰ってこないと、本物を伝えることができない。それが俺の使命だと思っていますし、生き甲斐でもあるんです。あいつらと同じような感覚でレゲエのダンスホールは自分の人生のライフスタイルです。ダンスをやめるとか、そういうことじゃないんですよ。人生なので、やめるとかじゃないんです。

本場のダンスホールってどんな感じなのですか?日本とまったく違うのですか?

違いますね。まず外なんですよ。車がバンバン通る道路の脇。そこにたくさん人がいて、サウンドシステムがバンッと設置してある。夜中なのに超デカイ音で、本当にぶっ飛んでます(笑)。みんなガンジャ吸って、酒飲んで。たまに銃とかパンッとか鳴らすし。アブねーみたいな(笑)。楽しいですね。ワクワクする。

銃って(笑)。ダンスのテクニックもすごいんですか?

ダンスのテクニックっていうか…ここはよく話をするんですけど、そもそもハートで踊ってるんですよ。振りがあって、振りを踊るけど、そこに感情がしっかりあるから、その曲を聴いて、ジャマイカ人の感情のフィルターみたいのを通ってダンスが生まれるんです。普通に「ダンスつくりました」っていうのと、中身が違う。重みが違うんです。しかも、そのダンスで飯を食おうとしてるから、本気なんですよね。だからダンサーの生命力も半端ないし、溢れ出ちゃってる。オーラみたいなのも緊張感も半端ない。そんなトップダンサーがいっぱいいる中に、自分が入って行くのは相当度胸がいるんです。わかっちゃえば、わかっちゃうほど。でも、今年も行ったんですが、今回はかなり攻めることができたし、いろんなダンサーから「お前の踊ってるダンスやばいよ。教えてくれ」って、逆に俺がジャマイカ人にダンスを教えることもあったんです。それも自分の中では大きな成果だったんですね。俺のダンスが好きだと。グルーヴがあると。今、流行りのステップパキパキのヤツじゃなくて、ダンスホールはグルーヴだから、そのグルーヴをお前は持ってるって言われたんです。

スゴイですね!でもお父さんが心配していた通り、ダンス一本ではなかなかゴハン食べられないですよね。

ええ、もちろん。その頃はバイトしてました。日本食の板前の手伝いとか。

だんだんダンスのお仕事が入ってくるようになる?

そうですね。北海道から沖縄まで、日本中のプロモーターの方から話をもらって、ショーをやるようになりました。ワークショップって地方のスクールみたいなのも増えてきたので、最近やっとカタチになってきたかな。

日本チャンピオンになったのは、何ていう大会なんですか?

SPICY CHOCOLATE主催の「DANCEHALL KING」っていう、レゲエダンサーの一番を決める大会です。

それで一気に状況は変わりました?

やっぱ少しだけ変わりましたね。ハクがついたっていうか。自分に更に自信ついたし、タイトルってやっぱり必要だなーと。その辺りから自分もジャマイカ人の感情というか、ダンスの表現の仕方も変わったんです。今まではダンスを覚えて、それをハメていただけなんですけど、歌詞に「銃でぶっ放す」とかあったら、そういう振りとか、「セクシーな女の子が俺の上に乗るんだ」だったら、そんなスタイルにしたり。その方がみんなに伝わりやすいって気付いたのがその辺りだったんです。それが俺なりの表現だって。最初俺がジャマイカ行ってた頃は、あんまりそういうスタイルは見ませんでしたが、最近さらに流行ってきている気がします。やっぱり歌ってることを理解して、表現してるというのがデカいですね。

日本にJAKENさんみたいなレゲエダンサーは何人くらいいるんですか?

50人くらいじゃないですか?そんなにはいないです、男は特に。大阪の方が多いですね。大阪はレゲエのメッカです。アメ村周辺に固まっているので。東京は渋谷があって新宿があって、六本木があってとか。場所が離れてるじゃないですか。だからまとまらないんですよね。ジャンルもオールジャンルなので。大阪はレゲエのクラブとかもまとまった場所にあって。人が集まりやすそうで良いです。

今はダンスホールを広めるのが使命ですか?

そうですね。野望としては、ダンススクールのクラスにヒップホップ、ジャズ、R&Bとかと一緒に「レゲエダンスホール科」ができるくらいに。

あー、今はないんですね。

それくらい出来たらいいなって。最近は、リアーナの「ワーク」もそうだし、ジャスティン・ビーバーの「ソーリー」も、そしてドレイクのアルバムとか、世界的にダンスホール化してきてるんです。ですので、日本もそんな状況になって欲しいと思っています。

なるほどねぇ〜。さて、先ほど、すごいオモテになるっておっしゃってましたけど、どんくらいモテるんですか?

う〜ん(笑)。どうなんだろう?

相当ですよねえ〜。

でもたぶん、女も男もモテないとダメなんだと思うんですよね。ジャマイカのダンサーはみんなモテてます。ダンサーがダンスホールのシーンをつくってるんです。この曲ではこう踊るとか、ダンサーがやらないとお客さんはわからなかったりするし、俺たちダンサーはトレンドなんです。特にダンスホールのダンサーは。それに気付いていない人もまだいっぱいいるんです。日本では、フロアで踊っているダンサーは、ブースを見て踊る人が多いんですが、ダンサーがブースの方を見て踊ること自体、俺は間違いだと思っています。

はい。

逆なんです。ブースに背を向けて、お客さんに、みんなにダンスを見せてあげないといけない。そもそもお客さんも含めて、ダンスホールでブースを見るっていう習慣がジャマイカにはあまりないです。フロアにいるみんなと顔合わせるんです。けどこのスタンスがまだ日本にはあまり浸透してない。それもやっぱり強要出来ないんですが、伝えていくことで、自然にそういう風になって欲しいんです。本当にみんなの協力があって出来るんですよ、ダンスホールって。ジャマイカも、モロそうなんです。アーティストが曲をつくって、それをサウンドがかけて、ダンサーがそれを踊って、囃すみたいな。その三角形ができているから、ビジネスも成り立っているんです。

私、勘違いしてました。安室奈美恵のバックで踊っているダンサーと同じくらいの意識でした。まったく違うんですね。本当にごめんなさい。

もちろん自分が踊ることを愛してるからダンス踊るんですけど、みんなに見てもらわなきゃ伝わらないし、ダンスホールのグルーヴをつくりたいし、みんなに更に楽しんでもらうために踊ってるんです。初めてジャマイカ行って、自分がレゲエダンサーって名乗ってたことが恥ずかしいと思いました。全然、違うじゃんみたいな。こいつら命張ってる。本当に本気なんです。ハートが半端ないっす。そういう部分も含めて、もっと教えていきたいっていうか。1個踊れたら、もっと楽しくなる。もっと最高に楽しくなるんですよ、ダンスホールは。

「Who Are You?」では、インタビューを受けて下さる方を募集しています。自薦、他薦、構いません。お名前、ご年齢、性別、お住まい、ご職業、応募の動機を明記の上、こちらまでお問い合わせください。(Shall We Dancehallでの募集はしておりません)