オーガニックとフェアトレードとは 調味料のこと?

チョコレートがフェアトレードか、あるいはりんごジュースがオーガニックか否かは、栄養、品質、味の優劣には全く関係ない。しかし、より倫理的正しさをアピールするラベルを貼ることで、美味しさにたいする消費者の期待が高まる、と研究は伝えている。

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08 October 2015, 12:06pm

まっとうな待遇で働く従業員が、オーガニック素材でつくるダークな板チョコほど美味しいものはない。時代が求める倫理的正しさにかなった食品が美味しいに決まっている。

果たしてそれは本当なのか?

食に纏わるあらゆる研究を網羅する『Appetite』が興味深い調査結果を発表した。「フェアトレード」「オーガニック」など、製造方法の倫理的正しさを約束するラベルが貼られている食品は、そうではない食品より美味しく感じるそうだ。たとえそのラベルが虚偽だったとしても…

その結果を実証すべく、アバーテイ大学ダンディー・ビジネススクールのボイカ・ブラタノヴァ博士と共同研究者たちは、アップル・ジュース、朝食用ビスケット、チョコレートをそれぞれ複数個用意し、倫理的に正しい食品か否かを無作為にラベル付けした。その後、調査対象にテイスティングと評価を求めた。結果、ブランタノヴァ博士は「道徳的食品を購入し消費する、ということに精神的充足を得て、結果、それをより美味しく感じる消費者がいる」と発見した。

博士は、消費者が道徳的食品に価値を見出していなければ、精神的充足と味覚効果はもたらされない、とも指摘する。「フェアトレード、オーガニック、といったことに価値を見出さない消費者は、精神的充足を得ることはない」そうだ。彼女はまた「その人が、人道的に動物が飼育されているか、あるいは、その農場がオーガニックであるか否かを気にするならば、倫理的に真っ当な食品をより楽しめるはずだ」とも指摘する。

チョコレートがフェアトレードか、あるいはりんごジュースがオーガニックか否かは、栄養、品質、味の優劣には全く関係ない。しかし、より倫理的正しさをアピールするラベルを貼ることで、美味しさにたいする消費者の期待が高まる、と研究は伝えている。

その期待は、実際に商品を口にすると、よりすばらしい味覚体験につながることが多い。この事実は、食品マーケティング担当者にとって重要だ。

モントリオールの食品マーケティング専門家、ナイーム・アダムは、「消費者動向が示すように、消費者は、自らが口にする食品に関してより詳しく知りたいようです。ラベルは、食品がどのような生産過程を経ているか、その背景を語ります。生産過程が倫理的に正しいのであれば、その事実をアピールすべきでしょう。その結果、それをより美味しいものとするか否かは、消費者の判断に委ねるしかありません。その価値判断は、世相、個人的信条に左右されて然るべきものだからです。だとしたら、そんな努力に意味はあるのか、と問われるでしょうが、もちろん意味はあります。それが売り上げにつながるのか、と問われれば、当然つながります」

過去10年の消費者動向調査によると、環境への取り組みのなかでも、消費者は、道徳的食品の消費を、リサイクル、慈善活動への寄付などの様々な取り組みよりも重視するようだ。調査結果は、道徳的的食品を選択すると、ふたつのご褒美があることを暗示している。美食、社会貢献への参画、このふたつだ。

「道徳的食品を購入、消費することで、自らが理想とする世界観の実現に貢献している、という精神的充足を得ているのではないでしょうか」と研究者たちは説明する。

「食品は、栄養や美食体験を与えてくれるだけでなく、社会貢献の象徴でもあるようです」。美味しいものを食べながら、自らをヒジリである、と確信するために、消費者は道徳的食品により高い対価を払い続ける。

「その行為が美味しさをより強調し、消費者は、それまで以上に道徳的食品を求める。そのためには出し惜しみません」とブラタノヴァ博士。

食行動の神経科学を専門とする研究家でライターのステファン・J・グゥイエネット博士によると、食べ物の味を脳がいかに判断するかについて理解するためには、より広範囲に視野を向ける必要があるそうだ。「ベジタリアンとビーガンのコミュニティでは、肉への愛着を断ち切るために、苦悶する動物の写真を見せたり、寄生虫、サルモネラ、排泄物など、肉食にまつわる否定的な要素を強調する傾向がある」と彼は説明する。「ベジタリアンとビーガンは、肉食を嫌悪しています。動物の苦しみ、環境への悪影響、慢性病のリスクと肉食を結びつけているからです」

悪徳、という理由で、ビーガンとベジタリアンが肉を嫌いになれるなら、同じように、美徳、という理由で消費者が道徳的食品を好きになることもありえるわけだ。「認知機能を担う脳のいち部が、味覚に影響を与えている可能性があります」

美徳を愛する大食漢にとって、とある食品が美味しい上に、それを口にすることが社会への貢献である、となれば、その食品が実際に優れているか否かなどどうでもよい。しかし、製造者にとっては重要な問題だ。ここで取り上げた類いの調査、研究は、飲食品生産の将来に大きな影響を与えるだろう。