暴飲・器物破損を止めても ザック・ワイルドはビンビン

ブラック・レーベル・ソサイアティのフロントマン、ザック・ワイルドが止まらない。ランディ・ローズ、ジミー・ペイジ、エディ・ヴァン・ヘイレンに引けを取らないディストーションペダルの名手であり、この世界におけるトップクラスの速弾きギタリストであり……

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sep 1 2015, 8:54am

トム・アラヤ(スレイヤー)のインタビューは、とっても考えさせられる内容でした。ホント、お父さん頑張って!!ってね。そしてここにもギターを抱えたお父さんがまた一人。ただこちらのお父さんはポジティヴであります。オジー・オズボーン・バンドのギタリストとしてシーンに登場し、現在はブラック・レーベル・ソサイアティを率いているザック・ワイルド。ビールが大好き…特にサッポロ黒ラベルにゾッコンで、そこからブラック・レーベル・ソサイアティなんて名前を付けたほど。一般的なロッキン・ギタリストのイメージにピッタリで、これまでもたくさんの武勇伝が残っております。しかし病気もあって、ここんとこは静かにしているようでしたが、いやいや、このおしゃべりマスター、まだまだシーンを楽しませてくれそうですね。一度トム・アラヤと酌み交わしたらイイと思う。あ、もう飲んじゃいけないのか。じゃ家族でキャンプとかどうかしら。

ブラック・レーベル・ソサイアティ(BLACK LABEL SOCIETY)のフロントマン、ザック・ワイルド(ZAKK WYLDE)が止まらない。ランディ・ローズ、ジミー・ペイジ、エディ・ヴァン・ヘイレンに引けを取らないディストーションペダルの名手であり、この世界におけるトップクラスの速弾きギタリストであり、商標登録したも同様のスクウィール、スケール、ソロパターンをいくつも持っている最強の男。以前、若手スラッシュバンドにインタビューで「ワイルド・フロンティア(WYLDE FRONTIER)」という酒飲みゲームを教えてくれた。ブラック・レーベル・ソサイアティのアルバムをかけ、ピッキング・ハーモニクス(ピックで弦を弾くと同時に指で弦に触れて出す、強烈な倍音)が聴こえる度に、酒を飲まなければいけない、といゲームだ。「2曲目か3曲目になるころには、みんな酔っぱらってしまうのが問題なんだけどね」と、彼らは語っていた。

ザック・ワイルドは、ギターの達人でありながら、優れたソングライターでもある。ブラック・レーベル・ソサイアティの作品のほか、別プロジェクトであるプライド&グローリー、ソロアルバム、オジー・オズボーンのギタリストととして、「Mama I’m Coming Home」「I Don’t Wanna Change the World」「No More Tears」など、いくつもの大ヒット曲を共作している。

当然、ワイルドとブラック・レーベル・ソサイアティは、聴衆を最初の一音で魅了することのできる、素晴らしいライヴ・バンドだ。

そしてザック・ワイルドは話も面白い。彼はウィットに富み、25年以上にもわたるツアーやスタジオでの思い出、ロック界の裏ネタをいくらでも持っている。そんな彼が唯一スローダウンした時期があった。2009年の8月、血栓症になり、死の淵に立ったとき。さすがにそのときはマッドヴェインとスタティック-Xとのツアーをキャンセルした。退院後はクラッチ、コーン、チルドレン・オブ・ボトムなどとツアーを行ったが、2010年9月、再び脚にやっかいな血栓が見つかる。それでも、この逞しいマスターはツアーをキャンセルしなかった。男の中の男である。

あなたは血栓という大きな病気をされましたが、今もスナック菓子を食べて、ビールを飲んでいるのでしょうか?

ノー。酒の日々はもう終わりだ。オレは三たび肺塞栓になった。だから今は抗凝血薬を飲んでいる。その薬を飲むなら酒は飲んではならない。

酒が飲めないのはやはりキツイですか?

おかしなことに、みんな「一歩一歩、毎日少しずつ進んでいけばいいんだ」とか声をかけてくれる。オレは「いや、全然そうじゃない」と答えている。オレが酒をやめたのは、医者に「抗凝血薬を飲むんだから、もう酒はダメですよ。そうじゃないと、尿に血液が混じったり、お尻の穴から血が出たりしますよ」と宣告されたからだ。オレは「フム、それは世界のブラック・レーベル・ソサイアティに似つかわしくない」と応えた。彼も「そうですね」と相槌をうった。「心得た」とね。だからオレは毎日奮闘なんぞしていない。鏡に映った自分に「飲んではならない」と言い聞かせたり、片脚立ちをしたり、ベビーオイルを全身に塗ったり、お腹をさすったり、1日に60回もマントラを唱えたりする必要はない。酒さえ飲まなければ。酒を飲んだら血を吐いて死ぬのだ。だからジョッキは閉まった。それからは、すべて順調だ。薬を一日に二錠飲まなくてはならないが、それだけだ。

死の恐怖にさらされたワケですが、他人から何か言われましたか?

あるバカな記者が、「アルバム『The Order of the Black』は最高ですね。これは、あなたの最高作のひとつだと思います。やはり死ぬんだから、最高のアルバムを創らなければ…と思ったのでしょうか?」と聞いてきた。オレは「否。貴様のようなバカどもと金輪際、言葉を交わさずに済むよう、グレートなレコードを創ったのだ」と答えた。「これまでのアルバムは全部酷く、カチ割ってやりたいようなシロモノばかりだったから、聴くに値するアルバムを創りたかったのだ」とも教えてやった。オレは自らに与えられた全てに感謝している。毎日起きるたびに息をしていることを神にも感謝している。臨死経験などせずとも、人生の貴重さなど痛いほど承知している。そんな経験をしないと、大切なことがわからないようなヤツは、相当なバカたれだ。

今でもツアーに出るのは、夜遊びをしまくっていた頃と同じくらい楽しいですか?

勿論、今でも楽しい。ブラック・レーベル・ソサイアティのツアー・バスは、以前に比べれば退屈なハズだ。もしオレたちのドキュメント番組でも作ろうものなら、ヤラセでも仕込まなければ成り立たんだろうな。かつてオレたちが暴飲していた頃は、毎晩がコメディのようだった。我を忘れてバカ騒ぎし、笑い転げ、本当に狂っていた。でも今じゃ、ショーの後はバスに乗るだけだ。太らないよう、チキンとサラダを食う。そして抗凝血薬を飲み、少しだけ仲間と会話する。それが終われば寝る。翌朝、オレは誰よりも先に起き、仲間のためにヴァルハラ・ジャヴァ・コーヒー(ザックのオリジナル・コーヒー)を煎れる。そして次のライヴの準備だ。危ないバーやゲイバーにも乗り込むことも止めたから、何も起こらない。そういうのは、酒にまみれていた頃の話だ。

ヴァルハラ・ジャヴァ・コーヒーのCM

ゲイバーでのおもしろいエピソードがあったら聞かせてください。

映画『ロック・スター』を制作していた頃、ジェイソン・ボーナムと、サンセット・ブルバードのキャット&フィドル・パブに通っていた。ある晩、「ジャス、たまには違うバーに行こうぜ」とオレは誘った。ジェイソンは坊主頭に耳ピアス、オレはパッチを3つとチェーンウォレットを付けまるでヴィレッジ・ピープルのような出で立ちで、あるバーに入ったんだ。そこにいる客を見て、オレは危険なバーなのか、もしくはバイカーが集まるバーなのか、まったくわからなかった。喧嘩に巻き込まれる準備をしながら、バーカウンターに向かって歩いていたら、ジャスが「トイレ行ってくるから、俺の酒も頼んどいてくれ。いつもどおりジャック・ダニエルのコーラ割りとハイネケンな」と言い残して去った。オレがバーカウンターで酒が出るのを待っていると、60歳前後の男がオレにすり寄り、『奥さまは魔女』のポール・リンドのような声で「あのぉ~」と声をかけて来た。「アナタ、オジー・オズボーンと一緒に演奏してたでしょぉ~~?」なんて聞かれるのかと思いきや、ソイツは、「あからさまなことはしたくないんだけど…キミにお酒を奢りたいのぉ~」と誘って来たんだ。オレは気付き、「オレの彼氏に聞いてくれ。今トイレに行っているから。オレが他の男といると怒るんだ」って返したんだ。そしたら今度はジェイソンがトイレから戻って、笑いながら「あそこにいる男たちが、『あのブロンドの男、イイぃ~』とか騒いでる。これを飲んだら行こう」そう焦り出したんだ。オレは、「いや、もうちょっといよう。面白いから」と留めたんだ。あれはマジカルな体験だった。バーを出て振り返ったら、ドアに大きなレインボーがかかっていた。この二人の愚か者は、入って行くときに、それに気づかなかったというわけだ。こういうバカげたことは、しょっちゅうあったね」

photo via wikimedia commons

音楽に関してなのですが、あなたは最近ソフトなものも出していますよね。アコースティックの『The Song Remains Not the Same』、そしてセミアコースティック・ライヴの『Unblackened』も。年を取るにつれて、ソフトになってきているのでしょうか?あなたのiPodには、ジョン・メイヤーやマムフォード&サンズが入っていたりするのですか?

バカにしているのか(笑)。オレはオズボーンと「Mama I’m Coming Home」のようなメロウな曲も書いた。今でも、14歳でオジーと活動を始めた頃のような音楽も聴く。オレはメタル一筋なワケではない。エルトン・ジョンも、バッド・カンパニーも、レイナード・スキナードも、オールマン・ブラザースも聴く。

あなたが聴くもので、ファンが驚きそうなものは。

サラ・マクラクランとミニストリーを聴く。クラウデッド・ハウス、パンテラ。気分によりけりだ。モータウンも好きだし。オジーと始めた頃も、家の前で酒を飲みながら、イーグルスやフリートウッド・マック、ニール・ヤングを聴いたものだ。一晩中、騒々しい音楽を演奏した後、ソフトな音楽を聴くと落ち着く。ブラック・レーベルのメンバーは、ジャスティン・ビーバーだって聴くし、ベスト・オブ・バーニーみたいなキッズ向けの音楽も聴く。あれらは素晴らしい。冗談はさておき、わかってくれただろうか? でも「ジャスティン・ビーバー、最低だよな」なんて発言を聞くと、オレは茶化して「ジャスティン・ビーバーの曲を一曲でも知っているのか?」と返す。勿論、オレは知らない。一曲も知らない。知っているのは、彼がスタジアムでライヴをすること、彼のギタリストとミュージック・ディレクターがオレの友人というだけだ。レディ・ガガの曲は、「Bad Romance」しか知らない。あれはすごく良い歌だ。でも、そういう音楽に対して不安や苛立を感じることはない。そもそも、聴かないモノに、腹を立てる必要はないんだ。デューク大学のラクロスチームでもいい。あるいは男性のフィギュアスケートとか、水泳チームでもいい。オレは全然興味がないから、どうでもいいんだ。

あなたには20代のお子さんがふたりいらっしゃいますね。ちなみにブラック・レーベルのファンですか?

オレのやることを尊敬してくれてはいるが、彼らは主にミューズとブラック・キーズを聴く。残念ながらロック・ギターが必要ない音楽だ。アーノルド・シュワルツェネッガーの子供に、「君もボディビルディングを熱心にやっているの?」と聞いたら、「いや、オレは興味ないよ。それはオレのパパがやったことだ」と応えるだろう。

親が嫌いそうな音楽をあえて聴いているんじゃないですか?

どうだろう、それは定かでない。少なくともオレはそうではなかったがな。オレの両親はフランク・シナトラが好きだった。オヤジは第二次大戦に参戦した。オレがジミ・ヘンドリックスのアメリカ国歌を聴いていると、オヤジは「それ、ひとりで演奏しているのか?」と不思議がったので、「そうだ」と教えた。オヤジはそれをすごくクールに感じたようだ。「なんて酷いものを聴いているんだ!」なんて憤ったことはなかった。「お前はランディ・ローズとかいう奴が好きなのか?なかなかいいんじゃないか」という具合だ。親は子供が興味を持つことを支えるべきだ。

ワイルド家には4人目が誕生しましたね。サバス・ペイジ・ウェイルランド・ワイルド君。3人では足りなかったのですか?

そのことを考えると、「ああ、オレは4人も食わせないとならないのか」と考えたりもする。だから今は、前より長くツアーに出るようになった。だが、おかげでもう一人分、税金の扶養控除を受けられるわけだから、そう悪くもない(笑)。冗談抜きに、子供を持つのは素晴らしい。そのために自分自身を犠牲にする必要はない。
娘のレイは今、21歳。ガキが5歳になったとき、レイが彼を連れ歩いたら、人はきっと彼女に「あなたのお子さんですか?」と聞くだろう。ムカついた娘は、「ママ、パパ、あなたたちのせいよ!」と怒るだろう。

出産の様子をビデオ撮影しましたか?

していない。ガキが出て来てすぐ、オレはベッドに飛び乗って、ワイフと激しいセックスをした。どうせ彼女も興奮しまくっているだろうと思ったからだ(笑)。まぁ、そんときオレはずっとワイフの頭の方に立っていた。男たちにとって、自分の子供が生まれる様子を見るのはすばらしい体験だそうだ。でも、オレは、「サンタクロースも、イースターのウサギも取り上げられてしまった。でもオレが失わない夢というのもきっとある」と思っている。そこで何が起きているのか、見る必要はない。オレは夢を見続ける。誰もオレからそれを取り上げることはできない。下に行って何が起こっているかを見たりはしない。オレはワイフの枕元で、彼女の手を握り、さすっていた。そこで何が起きているのか、知りたいとは思わなかった。そんなことをしたら、すべてが台無しになってしまう。夢が壊れる。もしそれを見たら、マスターベーションも出来なくなりそうだ。

子供の頃のことで覚えていることはありますか?

そうだな。両親が初めて学校まで送ってくれた日のことは覚えている。オレは置き去りにされる気がした。すごく怖くて、オレは泣きわめいた。

あなたはオジーの共演者としてシーンに登場し、何年も彼と一緒に曲を書きました。戻ってきて欲しい、もっと曲を書いて欲しい、と彼に頼まれたらどうします?

オズボーンのバンドは、オレにとってもう一つの家みたいなものだ。あそこで育った。彼らのことは大好きだ。オジーにはいつも、「電話一本くれればいいから」と伝えてある。でも、オレはガス(オジーの現在のギタリスト)とも友達だ。ガスは素晴らしいギタリストで、あそこにふさわしい人間だ。もしガスのワイフが妊娠し、ガスに「ザック、俺は家にいたいんだ。代わりをやってくれないかな」と頼まれたら、「もちろん。セットリストを送ってくれ。あとオレが何を練習するべきかも教えてくれ」と返事をするだろう。

オジーのバンドを離れたことに、あなたが嫌な感情をまったく持っていないのは、素晴らしいことですね。別の人に取って替わられたことを恨みに思うミュージシャンもたくさんいるハズなのに。

なんで恨みを持つ必要があるんだ。オジーがいなければ、オレがブラック・レーベルや他のことをやるチャンスは訪れなかった。それが真実だ。オレは一生、感謝の念を禁じ得ない。

今も1日何時間も練習するのですか?

好きだから、練習する。ビデオゲームが好きな男に、「毎日ゲームをするのですか?」と聞くのと同じだ。ギターは難しすぎる、という子供たちに、オレはそれを伝えようとしている。例えば、ビデオゲームをやって、あるレベルに達したが、どうしてもクリア出来ないポイントがあり、『あそこでいつも死んじゃうんだよな』と悩むとする。「Heartbreaker」や「Stairway to Heaven 」のソロを練習するのも、それと同じだ。繰り返すことが肝心なんだ。何度も、何度も、何度でもやるんだ。そうしたら、いつかできるようになる。オレは、練習を練習と捉えたことがない。繰返すが、ビデオゲームが好きなガキと同じだ。オレはギターが好きだから弾いている。練習という言葉には、仕事じみた響きがある。オレはギターを弾くすべての瞬間を楽しんでいる。ヤンキースの試合を観ていても、ギターを手に、スケールをなぞったり、パターンを弾いたりする。酒を飲んでいた頃でも、そうやって、「こういうの、最高だよな」と悦に入っていたものだ。

次のBLACK LABEL SOCIETYのアルバムには、いつ取りかかりますか?

アイデアはたくさんある。ヘビーなものになる。ブラック・レーベルの良いところが全部詰め込むつもりだ。しかし、しばらくは、これまでのCDとかDVDの宣伝をしなくてはならない。アルバムが売れたらバイアグラ、DVDが売れたらシアリスをオレは買う。つまり、君が両方購入してくれたら、オレのワイフをすごく喜ばせることになる。何を謂わんとしているかわかっているだろうな!

あなたのデビュー当初は、アルバムが大量に売れた時代です。現在、人がファイルシェアリングという形で音楽を聴くようになったことに、あなたは不満を感じていますか?

最終的には、自分が好きな音楽を好きなように演奏して生計を立てられているのなら、成功している。耐えられないような無意味な仕事でなく、音楽が生活の糧だ。それが人生の真実だ。自分が情熱を感じ、愛することが生業になるのなら、オレは幸せだ。

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