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衝撃的なHIV陽性喫煙者の死亡率

米国のHIV陽性者を非陽性者と比較すると、喫煙率が異常に高い。2009年の研究によると50~70%、2016年の研究によると少なくとも40%以上だと報告されている。そんな状況のなか、HIV自体よりも、喫煙による健康被害のほうが大きい、と医師が警告している。

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23 december 2017, 7:47pm

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米国のHIV陽性者を非陽性者と比較すると、喫煙率が異常に高い。2009年の研究によると50~70%、2016年の研究によると少なくとも40%以上だと報告されている。「一般人の倍以上の喫煙率です」と語るのは、ボストンの医師、研究者のクリシュナ・P・レッディ(Krishna P. Reddy)博士、HIV合併症の専門家だ。

現在は医学が進歩し、HIV陽性者の平均余命は、非陽性者とほぼ同水準までに延びた。ただし、喫煙していなければだ。レッディ博士が率いた研究チームが、2017年11月に『JAMA Internal Medicine』誌で発表した研究では、HIV陽性喫煙者の、肺がんによる死亡率を分析している。その結果は衝撃的だ。HIV陽性喫煙者が肺がんで死亡する確率は、その他一般的なエイズ関連疾患での死亡率と比べると、6~13倍にも及ぶのだ。

私自身もHIV陽性者だ。定期健診に行くたびに、担当医にこう注意される。「あなたはHIVよりも、喫煙で死ぬ確率のほうが高いですよ」。それは事実だ。HIV陽性者がどんなに投薬計画を遵守しようと、喫煙していれば意味がない。「抗HIV薬で治療中の感染者にとって、喫煙による健康被害は、HIV自体よりも大きいのです」とレッディ博士。HIV陽性者の死因は、今やウイルスによる合併症以上に、肺がんが多いそうだ。

『JAMA』に掲載された研究によると、毎日喫煙しているHIV陽性者は、肺がんによる死亡率が高い。男性ならば23%、女性でも20.9%だ。しかし、禁煙すれば、死亡率は、男性6.1%、女性は5.2%と劇的に下がる。つまり、今禁煙を始めれば、寿命が数年、もしかしたら、数十年延びる可能性がある。

「現在のHIV治療薬は、病気の進行を遅らせる効果が高いということです」と説明するのはリチャード・ウォリツキ(Richard Wolitski)、米国保健福祉省(Department of Health and Human Services)のHIV・エイズ局(Office for HIV/AIDS)局長だ。「世界初のHIVの症例が報告されて以来、20年程度は、喫煙の影響が明らかになる間もなく患者たちがエイズで亡くなる厳しい状況でした」。ウォリツキは、現在のHIV感染者は、昔よりも長生きできるという。「しかし、医師の処方どおりに抗HIV薬を服用していても、喫煙が健康に重篤な悪影響を及ぼします。HIV陽性者の命を護ろうとすれば、喫煙やその他健康への害と闘わなければなりません」

喫煙歴10年の私も、今年9月頃から無期限の禁煙を試み始めた。喫煙の悪影響を感じたきっかけは、胸のあたりのチクチクとした痛みと動悸。その頻度が増したのを、危険信号と察したからだ。そこから禁煙を誓ったものの、鬱っぽい気分に襲われた。休憩時間や、仲間と集まったときなどにタバコを吸えないのは、本当に気が滅入った。しかし、その鬱期も長くは続かない。結局のところ、ストレス軽減や社会的付き合いに喫煙なんて不要なのだ。HIV陽性者は、非陽性者より強いストレスにさらされるが、それでもタバコは必要ない。

予想どおり、喫煙2日目までは相当キツかった。しかし、それを乗り越えると、特に、タバコを吸いたいと思わなくなった。4時間おきに襲ってきた喫煙欲も、4日おきくらいになった。それでもニコチン依存症から抜け出すのは本当に困難で、禁煙は容易ではない。しかし、私はやると決めたのだ。禁煙の影響で体重が増加したり、生活のなかで、その他様々な調整が必要となったが、それくらいの犠牲を払っても、禁煙する価値はあった。

禁煙1週間が経つ頃には、タバコのことなんて考えなくなっていた。禁煙のおかげで節約できたし、健康にもメリットがあった。寿命が延びると考えると、モチベーションも高まる。3ヶ月間の喫煙に成功した達成感は大きく、どんなハードルも超えていける気がした。喫煙を恥じたり、罪を感じる必要はない。ただ単に、止めればいいのだ。禁煙しよう。自分の寿命がかかっているのだから。

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