品切れが続くNintendo Switchを自作した男性

「ネットの転売業者を駆逐する」べく、友人のために部品からNintendo Switchを作ることにした。​
品切れが続くNintendo Switchを自作した男性
Image: Brennen Johnston

Nintendo Switchはパンデミックの完璧なお供だ。そのことを知らないひとはいないらしい。あらゆる場所で品切れが続出し、eBayやAmazonでは定価に数万円を上乗せした価格で転売されている。

とはいえ、この人気ゲーム機を手に入れる方法がないわけではない。ブレナン・ジョンストンは、「ネットの転売業者を駆逐する」べく、友人のために部品からNintendo Switchを作ることにした。

ジョンストンは画像共有サイト〈Imgur〉で制作手順とパーツのリストを公開した。もちろん、制作にはかなり時間がかかるうえ、Nintendo Switchの全てのパーツを用意しなければいけない。

「『あつまれ どうぶつの森』をプレイして友人たちにおすすめしたら、みんなSwitchを欲しがった」と彼はImgurに投稿した。「1週間毎日いろんな店を探し回ったけど、誰も見つけられなかった。次の入荷日がいつかもわからない。だからCraigslist、OfferUp、eBayなどのサイトで探してみた」

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Image: Brennen Johnston

「僕がこれを作った背景には、いろんな理由があります」とジョンストンはメールで説明した。「できるだけ多くのパーツをリサイクルするから環境に優しいし、この体験によって仕事に役立つ知識も得ることができました。家族の一時解雇によって、家計が苦しくなっている友人も多い。でも、いちばん大きな理由は、トイレットペーパーを買い占めた客の返品を店側が断っている、というニュースがあったから。ゲーム機の転売ヤーたちも報いを受けるべきだと思ったんです」

ジョンストンの投稿によると、中古のNintendo Switchの値段は「シアトル一帯では450〜600ドル(約4万8000〜6万4000円)」にのぼるという。

「こういう計画では、粘り強さが肝心です」とジョンストンはいう。「制作には1ヶ月かかりました。それからパーツを競り落としたり、安く売ってくれるひとを探したり、中国からの荷物を待つ時間も。それでも作った甲斐はありました。自宅待機の期間中、あまりお金をかけずに楽しく時間をつぶせたので」

ジョンストンと以前VICEが取材したNintendo Switchのハッカーによれば、Switchのソフトウェアはロジックボードに搭載されているという。特に難しいのが、質の良いロジックボードを入手することだ。「eBayの出品者と連絡を取って、ちゃんとソフトウェアが搭載されたロジックボードかどうかを確かめました。その前に〈現品限り〉や〈パーツとして〉と書かれた3つのロジックボードで、同じ問題にぶつかったので」とジョンストンはいう。「ハードウェアの問題はなんとか解決できたんですが、ソフトウェアの損傷がひどくて僕の力ではどうにもなりませんでした」

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Image: Brennen Johnston

これらのパーツ自体は、eBayや中国のサプライヤーサイトなどで売られている。ほとんどのパーツはネットで入手可能だ。

従来のロジックボードには、適切にキャリブレーション(※機器の色再現性を調整すること)された液晶ディスプレイとバッテリーが付属する。ジョンストンはロジックボード、液晶ディスプレイ、バッテリーを個別に購入したが、カリブレーションに問題はなかったという。「eBayとバッテリーで大変な思いをしたので、ちゃんとSwitchの中古バッテリーを持っていると確証のある売り手から買うことにしました」とジョンストンは打ち明ける。「偽造品を買って計画を台なしにするリスクは冒したくありませんでした。デジタイザーがうまく作動しなくて苦労したんですが、それは僕が注文したパーツに欠陥があったか、偽物だったからかもしれません。だから、今回作ったものにタッチスクリーン機能はありません。そのうち交換するつもりですが」

ジョンストンはImgurではジョイコンについて詳しく明かさなかったが、写真には自家製コントローラーが写っている。「ジョイコンはSwitch本体の前に完成させました。Craigslistで故障したジョイコンを買って欠陥のあるパーツを直しただけなので、本体とは作り方が違います。ジョイコンの片方はスティックが不安定になっていて、もうひとつはバッテリーに不具合があったので、作業としてはそこまで楽しくありませんでした。店で買ったジョイコンでも、このSwitchといっしょに使えます」

最も難しかったのは、制作コストを予算内に収めることだったという。「ロジックボードを提供してもらえたおかげで、なんとか完成できました。もちろん、これを作った目的はお金の節約だけじゃありません。僕は実際に手を使って学んだり、ハードウェアのデザインを改善するのが好きなんです。今回の計画はいろんな知識を得る絶好のチャンスでした。もう一度作るとしたら、もっと性能の良い放熱板をデザインしてみたいです。個人的に興味があるので」

パーツにかかった費用は合計で199ドル(約2万100円)。Switch本体の希望小売価格より100ドルも安く、もちろん転売サイトの提示価格よりはるかにおトクだ。

This article originally appeared on VICE US.