RED FANGがクール・ポートランドを語る 「まったく縁がない」

ポートランドがクールになる前から、ポートランドで活動してきたRED FANG。ある意味、王道アメリカン・ハードロック・バンドとも言える彼らは、果たして現在のポートランドをどう思っているのか?置いてけぼりにされていないのか?ハンバーガーとビールを嗜みながら熱弁をふるう。

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11 maj 2016, 3:31am

「ポートランドに行ける!」って決まったとき、すぐさま頭に浮かんだのは、クラフトビールでもコーヒーでも自転車でもストリップでもなく、RED FANGでした。RED FANGは、2005年結成、超名門メタル・スラッジ・激コア・レーベル「RELAPSE RECORDS」に所属。これまでに3枚のアルバムをリリースし、2013年の最新作『Whales and Leeches』は、遂にビルボード・チャート200にランクイン(最高位67位)。現在の長髪・髭モジャ・ムサ苦シーンにおいて、確実にチャンピオンベルトを掴みつつあるバンドなのです。

そのサウンドは、古典的ハードロックとヘヴィーなストーナースタイルをブレンドさせながら、瞬発力はハードコア級。グランジから受け継がれる陰鬱したテイストは一切皆無で、髭モジャでありながら、サンサンと輝く太陽及び積まれたビールが良く似合う優れ者チーム。B級ホラー映画、もしくはB級青春映画で観られるようなアメリカ人の馬鹿っぽさと、DIY精神から生まれた芯の強さ&正直さで、バンドのスタンスをどんどんアップデートさせているのです。

そんなRED FANDの魅力を探るなら、彼らのミュージック・ビデオが一番。最高のハードロックと最高のユーモアが溢れていますよ。

ポートランドがクールになる前から、ポートランドで活動してきたRED FANG。ある意味、王道アメリカン・ハードロック・バンドとも言える彼らは、果たして現在のポートランドをどう思っているのか?置いてけぼりにされていないのか?彼らがインタビュー場所に選んだのは、ダウンタウンから30分ほど離れた彼らの地元セント・ジョンズ。おそらく足立区とか荒川区のようなところでしょう。BUZZCOCKSとONLY ONESとUNSERTONESが流れるバー「The Slim’s」のランチタイムに、ビールとハンバーガーを嗜みながら話してくれました。隣のジジイのピンボールがうるさい!

ポートランドには、たくさんのクラフトビールがありますが、みなさんはオールドスクールなビールが好きなんですか?ビデオでもPABST BLUE RIBBONとかサッポロ・ビールなんかが出てきますが。

アーロン・ビーム(Aaron Beam:ヴォーカル/ベース):IPAとかも好きだけど、量を飲むときはこっちがいいね。

ジョン:シャーマン(John Sherman:ドラム):ロトやりながらでいい?

もちろんです(笑)。とにかくビデオではビールが大活躍してますね?

ブライアン・ジャイルズ(Bryan Giles:ギター/ヴォーカル):ああ。ビールの缶で鎧を造ったビデオは俺たちが初めてじゃないかな。

それにしてもRED FANGのビデオは本当に全部最高ですよね。

アーロン:ファンと接するには、映像ってめちゃくちゃ大切だと思うんだ。音楽だけ聴くと、ヘヴィーだし、ちょっと近寄り難いところもあるだろ。ビデオのユーモアを通して、俺たちのバカな部分も知って欲しい。

みなさんは、ポートランドに住んで長いのですか?

アーロン:誰もポートランド出身の人間はいないんだ。俺は1995年から住んでる。

デヴィッド・サリヴァン(David Sullivan:ギター):俺は91年。

ブライアン:2001年。

ジョン:1999年からだね。

私も90年代中盤にポートランドに来たんですが、雰囲気が全然違いました。レコード屋にも行ったんですが、壁には、POISON IDEAのレア盤ばかりでしたし…。

アーロン:ああ、そうだった(笑)。俺はシアトル出身なんだけど、ポートランドに引っ越すって決めたら、すごく親がナーバスになったね。なぜならポートランドは70年代初期くらいから、ものすごく経済が落ち込んで、本当に最悪の状況だったんだ。それが90年代半ばまで続いていた。なんの変化もなかった。危険な場所もいっぱいあったしね。

最近は日本でも、「ポートランドはクール」というイメージが定着しています。この状況については、どう思いますか?

ブライアン:新しくてお洒落なポートランド。そして俺たち。まったく縁がない。

(笑)。

アーロン:興味がない…というか、知らない…というか、ついていけてない(笑)。

アハハ!!

ブライアン:俺たちがポートランドに引っ越してきたのは、オシャレが始まる前。その真逆なところに惹かれたから引っ越してきたんだ。

その「惹かれたもの」ってなんだったんですか?

ブライアン:公共バスとか。物価も安かったし、自転車で移動するにも便利だった。あとはやはり、音楽シーンが賑わっていたんだ。俺はサンディエゴ出身なんだけど、サンディエゴですら、UNSANEとか観に行くと、客が3人くらいしかいなかった。でもポートランドは、人口も少ないのに、UNSANEはソールドアウトになってたね(笑)。大学を卒業してから、ニューヨークとかシカゴあたりも考えたけど、高すぎるし、デカすぎる。俺にとっては、ポートランドがちょうど良かったんだ。

ジョン:俺も同じ。音楽をやりたい人にとっては、とても住みやすかったんだ。友達数人と一軒家をまるまる借りて、地下室をスタジオにしてね。裏庭もちゃんとあるしな。そんな生活が割と安くできたんだ。でも今はそんなに楽じゃない。現在のアメリカの中で、1番人口が増えている都市なんだからね。

昔と比べて、音楽活動はやりにくくなっていますか?

アーロン:俺たちがなぜ中心部ではなく、セント・ジョンズに住んでいるかっていうと、とにかく中心部は家賃が高騰しているからだ。以前中心部に住んでいたんだけど、そのときのシェアハウスがひと月50ドル(約5400円)。今では考えられない。若いミュージシャンにとっては、厳しくなってるはずだ。

デヴィッド:ライヴとかは昔より盛り上がってるかもしれない。でも唯一問題なのは、いい感じのライヴハウスがどんどん無くなっていることだ。この店もライヴができるんだけど、こういう感じの店が本当に少なくなった。街中に近づけば近づくほど、家賃が高くなる。6ドル、7ドルのハンバーガーじゃやっていけない。だから演奏する場所もかなり少なくなっているんだ。

インタビュー場所のSlim’s店内.夜はライヴも行っている.

ブライアン:俺の記憶では、「Doug Fir」ができてかなり変わったね。ポートランド初のデザインされたライヴハウスさ。元々あそこは中華レストランだった。コンビニでも、ビールケースに鍵がかかっているような地域だったんだ。確かに音もいいし、最高のライヴハウスだけど、あんまり小綺麗でピカピカし過ぎててもね。失われた部分もあると思うんだ。

ジョン:「Doug Fir」が出来たとき、ポートランドにもロサンジェルスっぽい店が建つようになったんだなって気がした。

街が変わってきたと感じたのは、いつ頃ですか?

アーロン:2000年くらいからそのプロセスが始まった。シアトルの人間が、自ら好んでポートランドに引越してきてるって気付いたときだ。それまでは、シアトルの方が断然クールで、ポートランドは「ダサい弟」みたいな感じだったんだから。

みなさんもお洒落スポットには行くんですか?

一同:まぁ、たまにはね(笑)。

居心地はどうですか?

アーロン:この変化は自然なものだからね。そこまで嫌ってないよ。

RED FANGは、すごくツアーをしているから、現在のアメリカの都市の状況をご存知でしょう。今、活気がある街、これからイイ感じになりそうな街を教えてください。

ブライアン:デトロイトかな。

そうなんですか?イメージだと、不況でビルの窓ガラスが全部割れていて…

ブライアン:ああ、そうなんだけど、でも、そういう所の方が可能性はある。今はめちゃくちゃだけど、友達同士で盛り上げようと頑張ってる雰囲気がある。とにかく、家賃が高いと可能性は少なくなるね。

ジョン:あとはピッツバーグとかね。90年代後半のポートランドに似ている。労働者の街で寂れているんだけど、自然も豊かだからね。山とか川とか、近くにあるのはとても大事だ。

では、みなさんオススメのポートランド・スポットを教えてください。日本のメタル狂への観光ガイドです。

ブライアン:すぐそこにデカイ橋がある。セント・ジョンズ橋だ。すげえ怖いけど、あとで行くから。

ジョン:俺はバーしか知らないな(笑)。「Kenton Club」、「The B side Tavern」、「Sizzle Pie」、あと「Tom’s Restaurant」っていうスポーツバーがあって、そこのピザが最高なんだけど、クールで本格的なピザ屋がどんどんオープンしただろ。実はあんまり美味くなかったってことがわかったよ。

アハハハ(笑)。クール・ポートランド、最高ですね。

アーロン:でも日本はもっとクールだろ?「ジャパニーズオイシイ。ニホンゴハ ハナセマセン。シモキタザワ。シナガワユウビンキョク マデ イッテクダサイ」郵便局の近くの友達んちに泊まってたんだ。

日本に来たことあるんですか?

アーロン:ああ、観光でね。俺は日本に行ったら、周りより身長が高いだろうな、と思ってたけど、そうでもなかったな(笑)。

ブライアン:日本に行きたいよ。ツアー組んでくれよ。まぁ、俺たちが行く前に、君たちが来てくれたから、これから演奏してやる。俺たちのスタジオに行くぞ。

ジョン:ああ、怖い橋に寄ってからな。

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