ロジャー・ミレットはかく語りき AGNOSTIC FRONT大量失禁初期音源集発売

『ニューヨーク・ハードコア : 1980 – 1990』の著者トニー・レットマンによる新シリーズ「EPITAPH FOR A HEAD」では、トニーがパンク/ハードコア史に残る偉大なバンド・音源・瞬間を徹底検証。記念すべき第一回目は、AGNOSTIC FRONTのヴォーカリストであるロジャー・ミレットのインタビュー。初期音源の貴重なストリーミングもお聞き逃し無く!!

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05 februari 2015, 4:13pm

ニューヨーク・ハードコア・シーンの重鎮AGNOSTIC FRONTの大量失禁初期音源集がいきなりリリース!ランチタイムにロジャー・ミレットはかく語りき。

「今じゃこんなの世に出せないし、出せたとしても売れないと思うぜ」

『ニューヨーク・ハードコア : 1980 – 1990』の著者トニー・レットマンによる新シリーズ「EPITAPH FOR A HEAD」へようこそ。このシリーズでは、トニーがパンク/ハードコア史に残る偉大なバンド・音源・瞬間を徹底検証。記念すべき第一回目は、AGNOSTIC FRONTのヴォーカリストであるロジャー・ミレットのインタビュー。初期音源の貴重なストリーミングもお聞き逃し無く!!

1984年の夏、土曜日の朝、兄の部屋へ忍び込んだらAGNOSTIC FRONTの1st『Victim in Pain』が新品のままベッドの足元に置かれていた。兄は寝ていたので、音を聴くことは出来なかったが、私は見開きのジャケットを展げ、ロック・ホテルのステージを破壊しているバンドの象徴的な写真に我を忘れたことを覚えている。数時間後に兄が起きるやいなや、レコードをターンテーブルにのせた……この瞬間だ。ヴァイナルに刻まれた強烈なイメージと音のカタルシスのコンビネーションは、明らかに私に甚大な影響を与えた。疑う余地は無い。私がNYHCにハマったきっかけは『Victim in Pain』だ。

それから何年も経ち、私たちの腹周りも出てきた今、彼らのデビュー・シングルである『United Blood』や偉大な『Victim in Pain』以前に収録されたデモ音源集『No One Rules』がレコードとなって陽の目を浴びることになった。この作品は、ハードコア歴史学者によるレーベルRADIO RAHEEM RECORDSからリリースされる。そして、同レーベルによる他の作品……THE ABUSED、THE HIGH AND THE MIGHTY、SACRILEGEなどNYHCのレア音源がザックリ……から、想像がつくように本作には未だかつて知る由もなかったAGNOSTIC FRONTの貴重な瞬間が、これでもか、と詰め込まれている。

『No One Rules』リリースのニュースを耳にした時、私は論理的な人間であれば、当然取るであろう行動に出た……ランチに出かけるふりをしてくっだらない仕事から抜け出し、AGNOSTIC FRONTのヴォーカリスト、ロジャー・ミレットに電話をかけた。ロージャーは寛大にも父親としての務めから少し抜け出し、『No One Rules』の制作過程やNYHCのプロデューサーとして名高いドン・フューリー、そしてNYHC黎明期の世に知られていないバンドについて語ってくれた。

――この『No One Rules』プロジェクトは、どうやって実現したのでしょうか?

RADIO RAHEEM RECORDSのリッチが、BRIDGE 9(マサチューセッツ・ピーバディーを拠点とする人気パンク/ハードコア・レーベル)のクリス・レンを通して俺に連絡してきた。リッチは、数年前に出た俺たちのコンピレーションCD『Raw Unleashed』に収録されていた初期音源について質問してきた。彼は本気でその当時の音源をレコードで発売したがってたんだ。それから、RADIO RAHEEMがこれまでにリリースして来た『THE ABUSED LP』などのレコードを送ってくれた。とても情熱的でまともな仕事をしていると思ったし、本当にクールなアイデアだと思ったんだ。

――このレコードに収録されている当時のレコーディングの記憶は残っていますか?

ジーザス!そうだな、俺たちはいつもドン・フューリー・スタジオで練習していたんだけど、2ドル追加で払えばドンがセッションを2トラック・カセットでライヴ録音してくれるんだ。2ドル手に入れたら録音して、その音源をモット・ストリートにあったヴィニー・スティグマ(AGNOSTIC FRONTのギタリスト)の家で聴いてた。それぐらいだな。

――ドン・フューリーとの関係はどうやって始まったんですか?

ドン・フューリーを知らないヤツはいなかったよ。ドン・フューリーは、オールドスクールのニューヨーク・パンクロッカーだったんだ! そしてAGNOSTIC FRONTを愛してくれた。あとBALLSっていうバンドもやってた。ある日彼が「16トラック・マシンを借りる金出してくれたら、お前らの音をタダで録音してやるよ」と言ってきた。俺たちはCBGBでBALLSとのショーをやった後だったから、マシンを借りられるだけの金を持っていた。それがプリンス・ストリートのドンのスタジオに届いた日のことは今でも覚えてる。俺たちはマシンを運ぶのを手伝って、それをスタジオに置いたとき、ドンはすげえ喜んでた。当時、そのテクノロジーは大きな存在だった。俺たちはマシンを全部つなぎ、「やべーよ!」って叫んでから『Victim in Pain』を録音した。あとは歴史の中さ。

――『No One Rules』のレコーディング前にバンドに入ったんですよね?

一ヶ月から二ヶ月前くらいかな。ほんの少しだったよ。俺は82年の秋に参加して、すぐにこの作品のレコーディングをやることになった。俺が最初にやってたバンドTHE PSYCHOSで作った曲を二曲使った。あとの曲はヴィニーが既に持っていたやつだ。

Agnostic Front

――あなたが持ってきたTHE PSYCHOSの二曲というのはどれですか? 「Fight」と「Discriminate Me」ですか?

そう、それで合ってると思う。たぶん君は俺よりもよく知ってるよ。

――この作品はパッケージングも素晴らしいです。RADIO RAHEEM RECORDSのリッチとクリスが、NYHCの貴重音源を熱心に集めているコレクターだということは知っています。でも、付属のブックレットの内、何点かはあなたのコレクションから来ているんじゃないかと思ったのですが。

俺は何の貢献もしてないよ。全部彼らのものだ。俺が貢献したのは、この作品に収められている酷い音楽だけ(笑)。でも彼らはファンタスティックな、想像をはるかに上回る最高の仕事をしてくれたよ。彼らは本当に歴史を守る情熱を持ってる。

Agnostic Front

――他人があなたの全音楽人生に匹敵するコレクションを持っているのを見たら嫉妬しますか?そのコレクションにショックを受けますか?彼らはあなたのゴミを漁っていると考えますか?

(笑)イヤイヤイヤ、俺はそんなやつらがいて嬉しいよ。それを見て「ワオ!」なんて、当時のことを思い出せるからね。彼らは本当に歴史に対して愛情を持っているし、それは良いことだ。でも思うのが、このレコードに収録されているものに関していうと、今じゃこんなの世に出せないし、出せたとしても売れないと思うよ。だろ?んー、俺には分からない。俺が間違っているかもしれない。

――ニューヨーク・ハードコア・シーンは、アメリカにおいてスキンヘッド・アティチュードを実現した最初のハードコア・シーンだったと思います。80年代前半のニューヨークで、他のハードコア・シーンに比べてスキンヘッド・シーンが盛り上がった理由は何だと思いますか?

そうだな、俺たちがのめり込んだのは、アメリカのスキンヘッド・シーンだ。イギリス人のようになろうとは思わなかった。それよりも俺たちが大事にしていたのは、プライド、リスペクト、困ってるヤツを助けてやったり、どうしようもないヤツを世話することだ。後にそれがアメリカ中のヤツらに広がって、よりイギリスっぽくなっていったと思う。俺たちと同じ側にいたバンドは、IRON CROSSやTHE EFFIGIES、後になるとTHE ANTI-HEROESとか。俺たちはSS DECONTROLやMINOR THREATからそのスタイルを学び、アメリカのスキンヘッド・シーンを盛り上げようとしていたんだ。

Agnostic Front

――この作品がレコーディングされた当時、NYHCにおけるAGNOSTIC FRONTの立ち位置はどの辺りだったんですか?

俺たちはまだペーペーだった。例えばバワリーのクラブGREAT GLIDERSLEEVESでのショーの出順はこんな感じだ。AGNOSTIC FRONT、CAUSE FOR ALARM、そしてGBH。でも、そんなの気にするヤツはいなかった。誰かしらがショーを始めなければならないからな。そうだろ? A7 CLUBで行われたショーは、深夜一時にならないと始まらないんだけど、何時になってもみんな演奏するんだ。俺たちはみんなプレイするだけで、誰がいつプレイしようと関係なかった。

――そのあたりの時期にいたバンドで、もっと注目されるべきバンドはいますか?

もちろん!URBAN WASTEは、俺がダウンタウンに行ってバンドをチェックするようなきっかけを与えてくれたバンドだ。当時俺はブリット・パンク寄りだったんだけど、彼らは俺をハードコアの世界に引きずり込んだ。あとMARK TRUTH AND THE LIARSとか。知ってる?

Agnostic Front

――…あまりよく知りません。

嘘だろ、トニー! あんな本書いといて、ヤツらのこと知らないの?彼らは驚異的だった!彼らが演ってた曲の中に「Subway Man」っていうすげえ曲があった。ライブパフォーマンスは超パンクだったよ!

――私をからかってるんじゃないですか? 本当にいたバンドですか?

もちろん本当だ!あとTHE INFLUENCEもそうだな。当時のシーンにいた、全員ブラックのパンク・バンドだ。KILLER INSTINCT も誰も今まで語ってないな。

――では、話を現在に戻しましょう。AGNOSTIC FRONTは新作のレコーディングを終えたばかりですよね? その他何か予定していることはありますか?

新作は4月7日にリリースされる。トニー、いいことを教えてやろう、新作には『Victim in Pain』のヴァイブをもった曲が8曲ぐらいある。4月7日発売だ、忘れるなよ。あと最近、カーク・ハメット(METALLICA)主催のFEAR FEST EVILでプレイしてほしいと頼まれた。4月にカリフォルニアでやるんだけど、彼はほんとにクールだ。

Agnostic Front

――さて最後になりますが、あなたは先ほど『No One Rules』に収録された音楽の重要性を軽視するような発言をしました。「今じゃこんなの出せない…」って。でもこの音楽は重要です。本当に重要です。そのことをわかってください。

わりぃわりぃ。知ってるよ。歴史は常に重要だ。とんでもなく重要だ。もし何かにハマってて、そのことに対して熱意があるなら、そのルーツを知らなければならない。そして今回のレコードは……良くも悪くも……(笑)歴史だ。

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