Advertisement
Music

Lee Dorrian帰還 「ただ俺たちがドゥームを信じていただけのことだ」

元ELECTRIC WIZARDのMark Greening、Tim Bagshawと共に、新バンド〈WITH THE DEAD〉をスタート。

by Sarah Kitteringham
30 November 2015, 11:13am

ドゥーム・メタル・ゴッド、Lee Dorrianがシーンに帰還! この日を待ち望んでいた皆さま、本当におめでとうございます。だってばさ、この人ったら、NAPALM DEATH、CATHEDRALのヴォーカリストとして君臨し、レーベル「RISE ABOVE RECORDS」も運営。長年に渡って、ドゥーム・ミュージックを布教してきた男の中の男なんですからねぇ。そんな轟音マスターが、元ELECTRIC WIZARDのMark Greening、Tim Bagshawと共にスタートさせたのがWITH THE DEAD。正にCATHEDRALやELECTRIC WIZARDの初期レコーディング作を彷彿させる、荒々しくも緊張感と悲壮感を帯びた壮大なサウンドを展開させております。全体的にトーンはダーティー。ギターは冷酷に、ドラムは緻密に重音を繰り広げ、そしてLee Dorrianのしわがれ声は、激しくぶつかり合う音魂に、ゾッとするような対位法で絡みつきます。見事シーンに返り咲いたLee Dorrianのインタビュー。レーベル運営のことから、復活までキッチリ答えてくれました。さすがドゥーム紳士!

追記ニュース!:オランダのグレート・フェス、ROADBURN FESTIVAL 2016のキュレイターに、Lee Dorrianが任命されているのですが、な、な、なんと!G.I.S.M.が参戦決定!!!!Dorrian先輩、本当にどデカイ仕事しましたね!!

あなたのレーベル、RISE ABOVE RECORDSのおかげで、ドゥーム・ミュージックはポピュラーな存在になりました。今年は、UNCLE ACID AND THE DEADBEATSやLUCIFER、そしてあなたの新バンドWITH THE DEADのアルバムもリリースされました。やはりCATHEDRALをストップさせたことで、レーベルの動きも活発になったのでしょうか?

いや、他の多くのレーベルと比べると、ウチはまだリリース数が少ない。今まで一番多くても、年間で6、7枚。年に4枚しかリリースしなかったこともある。他のレーベルだったら、一ヶ月でリリースする枚数だ。レーベルの方向性は変わらないが、確かに、昔に比べるとリリース数は多くなっている。以前はランダムに作品を発表する「ファンのためのレーベル」って感じだったんだが、現在はより多くの人に受け入れられるようになった。実際にレーベル運営も軌道に乗っているが、ここまでに27年もかかった。でも結局、本当に自信が持てる作品だけを発表している。RISE ABOVEは、バンドの将来性に期待して、契約をするワケではない。もちろん普通に考えれば、そんなポリシーはマトモなことではないかもしれないが、俺たちにそれは出来ない。そのバンド、音楽スタイルが、そのときの俺たち興味と合致したら契約する。だから軌道に乗せるのは、いつも難しい。

レーベルが「受け入れられるようになった」とのことですが、それはとても意味があることだと思います。なぜなら、ドゥーム・ミュージックの認知度が広がるのと、正に連動している気がするからです。長年ひっそりと活動していたPENTAGRAMみたいなバンドでさえ、今や世界中で持て囃されているわけですから。

その通りだ。CANDLEMASS、TROUBLE、SAINT VITUS、WITCHFINDER GENERAL、THE OBSESSED、PENTAGRAMといった先駆者が活動していたが、それでもレーベルを始めた25年前は、ドゥームなんて誰も知らない言葉だったし、シーンも存在していなかった。そんなの知りたがっている連中なんて、ほんの僅かだった。デモテープを制作したバンドは多かっただろうが、そこからレコード・デビューまで辿り着けたバンドは少ない。まったく知られていないジャンルだったから。つまり俺たちは、音楽業界から「なぜおまえたちは時間を無駄にして、こんな音楽をやっているんだ? まったく必要とされていないのに」って、嘲笑されてきたんだ。 たしかに必要とされていなかったが、そんなのは問題ではなかった。ただ俺たちがドゥームを信じていだけでよかったんだ。

だから俺たちは、そんな嘲笑なんて無視してやってきた。そのうち自然にシーンが形成された。でもドゥームについての理解が得られたというより、ドゥーム・ミュージック自体が、様々な方向に広がってた。サブジャンルが増えたんだ。

俺にとってのドゥーム・ミュージックとは、さっき並べたバンドみたいな、伝統的なドゥームだ。まさかPENTAGRAMがこんなに広く認知されるなんて予想もしていなかった。彼らは、素晴らしい曲を作り続ける、特別な存在だったけれど、今やヨーロッパ中でライヴを行っている。信じられない。本当に素晴らしいことだ。

RISE ABOVEの近況といえば、BLOOD CEREMONYがロンドンのトー・ラグ・スタジオで新作のレコーディングをしている。そして新たに日本のCHURCH OF MISERYと契約した。彼らもレコーディングを終えるところだ。そして80年代後半から活動していたアメリカのDREAM DEATHの作品もリリースすることが決まっている。彼らは、伝統的なアンダーグラウンド・ドゥーム・バンドだ。

さて、あなたの新バンドWITH THE DEADSですが、ELECTRIC WIZARDにゴタゴタがあったからこそ生まれたというのは、なんとも不思議ですね。

MarkはELECTRIC WIZARDから再び解雇された。それで本当に久々にTimとセッションを始めたんだ。もし二人がELECTRIC WIZARDをクビにならなかったら、WITH THE DEADも始まっていなかったワケだ。俺は最初からこのバンドのメンバーではなかった。しばらくしてから誘われたんだ。まぁ、俺もバンド時代を懐かしむこともあったし、実際に20年もの間、CATHEDRALが支えになっていたのは事実なんだ。俺は、すべてを出し切る場所を失った。ときには喪失感もあったし、ストレスも感じていたのさ。WITH THE DEADは、それを解消してくれる完璧な手段だった。俺を笑っていたヤツらに中指を立てる機会を与えてくれたんだ。

WITH THE DEADに加入した経緯を教えてください。

バンドに誘われたとき、俺は正直不安だった。一番の理由は、レーベル業務によって、バンドがうまく機能しないのではないか、ということだ。実際、たくさんの時間をレーベルに費やしている。以前、業務を人任せにして、台無しにされたことがあった。二度とあんなことを起こしてはならないから、あらゆる決定事項に対して構えていなくてはならない。CATHEDRALを辞めたことで、業務に集中する時間も出来た。だから再びバンドをやる気もなかったし、別のバンドに入る気なんてサラサラ無かったんだ。でも、MarcとTimは俺を誘った。もちろん最初は躊躇した。でも彼らは真剣に、ストレートに、そして誠意を持って話してくれた。そしてその言葉は、俺の心に大きく響いたんだ。そして数回のセッションで、俺は心の中をぶちまけた。すぐに俺たちはひとつになった。今はみんな集中してやっている。

アルバムについて教えて下さい。この作品は、ドゥーム・メタルの焼き直しではなく、スローなテンポと暴力的・破壊的なエッセンスが見事にマッチしていると思います。そしてあなたのヴォーカルは、とてもクリーンですよね。この点は、GATES OF SLUMBERにもかなり似た印象を受けました。あなたはこの作品で何を生み出したかったのですか?

俺はバンドに参加すると同意したとき、メンバーに一つだけ条件を提示した。それは目一杯強烈な演奏をすること、そして破壊的で重量感のあるヘヴィーなアルバムにすることだ。それを目標にして、ことが上手く運んだんだ。シンプルでポジティヴな目標さ。「こんな感じの曲があるんだ。メロウなパートがここだろ、ジャズっぽいパートがここで…」なんてやっていたら混乱してしまう。このシンプルな目標のおかげで、ものすごく明確なサウンドになった。沸き起こる憎悪のサウンドだ。

君が言ったように、このアルバムはドゥームの焼き直しとは違う。でもそれは問題じゃない。 Timのリフは控えめなんだけど、物凄く新鮮なものに聞こえた。それで俺は深く考えることを止めた。歌い方や、歌詞について、じっくり考えていたんだが、あのリフを聞いてからは、書いたり、考えたりする時間を取らなくなったんだ。俺たちは、ありのままの緊張感を維持しようとしている。強烈な音を生み出したいんだ。 完璧で整然とした、ピッタリと息の合ったバンド・サウンドにはしたくなかった。

最後にもう一度レーベルの話に戻りますが、RISE ABOVEの作品は、それぞれ低価格に設定されていますよね。ファンにとっては嬉しいことです。

流通会社を通さないことで、値段は安くできる。みんなに喜んでもらいたい。これまでアメリカでは、METAL BLADEとライセンス契約していたんだが、だんだん俺たちのアイデンディティが失われている気がした。別のレーベル傘下にいると、プロモーションひとつにしても、俺たちの考えと完璧に合うことはない。だから俺たちは独立し、自分たちのオリジナリティーを取り戻すべきだと確信した。

俺たちは、ヨーロッパでレコードをプレスしている。まさかレコードが復活するとは。だからプレス工場は悪夢のように稼働しまくっている。独立してわかったのが、圧倒的にプレス工場が足りないということだ。最近事業を開始した新しい工場もいくつかあるが、多くの人はプレス工場に投資することを恐れているようだ。なぜならレコードなんてものは、一時的なブームだと考えている。 あと4、5年でレコードは終わるだと? 誰がそんな先のことわかるのか。ヤツらはそんな風にしか考えていない。その程度のモンだ。