日本のクリスマスの風習は、欧米のそれと比べると一風変わっている。キリスト教を信仰している人が少ないのだから、当然なのかもしれないが、もはや日本独自のイベントと化している。そのなかでも特筆すべきは、80年代より習慣化された、クリスマス・イブを恋人同士がともに過ごすといったもの。映画やドラマ、音楽やCMなど、様々な形で刷り込まれたこの風習は、昨今でこそ冷ややかな視線を注いでいる人も多いだろうが、もしかしたら、その視点は正しいのかもしれない。もちろん、どのようにクリスマスを過ごすかは個人の自由だが、そこには、危険が潜んでいることも忘れてはならない。監視カメラやスマートフォン、ドライブレコーダーと街中にはありとあらゆるカメラが氾濫し、常に私たちを監視している。これらのカメラが、シティーホテルやビジネスホテル、ラブホテルでクリスマス・イブを過ごそうと考えているカップルたちに襲いかかるかもしれない。犯罪をおこなう側になって考えると、ネット上に氾濫する盗撮&盗聴を実行するには、この日は最良の1日ともいえる。なにせホテルに泊まる客はカップルばかりだろうし、室内でおこなうことといえば、ひとつしか考えられない、と容易に想像できるからだ。
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そこで、ここでは日頃から盗撮&盗聴案件に携わる総合探偵社スプラッシュ代表の今野裕幸氏に、最新事情を聞いた。
まず盗聴と盗撮の最先端を教えてください。カメラの歴史でいえば、8ミリとか、VHSとかアナログの時代があって、その後はデジタルビデオになって、SDカードへと進化していきました。10年くらい前から、マイクロSDで記録されるのが一般的になり、それに伴い、小型カメラが普及しました。今は小型カメラ自体をポケットwi-fiに繋ぎ、カメラと連動したアプリが入った携帯電話へと飛ばせば、たとえ、海外にていても、盗撮している映像を確認&録画できる時代になったといえます。盗聴でいえば、マイクが拾った音をアナログの電波で飛ばす盗聴機が仕掛けられて、無線機で聴くという手口が主流でしたが、最近は盗聴機が減っています。現在は盗聴より盗撮が主流なのですか?そうでしょうね。単純に音だけよりも映像の方が情報量が多いですし。現在の撮影機材は、これだけ小型のもので、記録性があり、一度設置してしまえば頻繁に交換する必要がない。しかも、性能はそこまで良くなくても、音も同時にとれるし、あとは動体検知も入れられるので。動体検知って、どういうことですか?映像のなかで動いた人や物があれば、その動きを感知して知らせてくれる機能です。起動させておけば、映像内で動いた人、物があれば、こちらはよそ見をしていても、ボケっとしていても、ファンファンファンって音がなって知らせてくれるし自動で撮ってくれるんです。
例えば、渋谷のラブホテルに常時仕掛けられているなんて噂を耳にしたこともあります。どうなんでしょうね。我々はラブホテル側から要請がない限り調べることがないから、もし発見してもどうしようもありません。ただ、探偵なのか、業者なのかわからないですが、ホテルの近くのコインパーキングなどで、長時間エンジンをかけて停まってる車を見かけたら、明らかにおかしいとは思いますよね。では、シティーホテルやビジネスホテルはどうでしょう?ラブホテルより装飾品がないので、仕掛けられていても、シティーホテルは目視しやすいですね。自分が宿泊した経験でいえば、こういう機材をホテル内に出しておいても、清掃スタッフは気づきません。普通に目立つようにテーブルの上において、カメラのテストをしたことがあるんですが、清掃スタッフは、みんなスルーしてました。ラブホテルもシティーホテルもそうですが、今の時代、大体wi-fiがありますよね。ホテルのwi-fiに小型カメラを接続すれば、小型カメラだけで、より簡単に仕掛けられます。ルームタイプもダブルの部屋は、ツインやシングルと比べると危険度は高いでしょうね。なるほど。カップルはツインよりもダブルに泊まるのが一般的ですからね。そういう意味では、クリスマス・イブに恋人同士でホテルに宿泊するといった風習を考えるとより危険性は高くなりますよね。利用しないに越したこしたことはないですね。ちゃんとしたグレードのホテルにいっても電源供給さえできれば、それなりの映像を撮れちゃいますから。家で過ごすのが一番安全なんじゃないでしょうか。盗撮する側からしたら、クリスマス・イブは格好の撮影環境ともいえますよね。また、風俗を経営している友人が、今年に入ってから2度、盗撮の被害にあったといってました。盗撮を発見して捕まえたのが、年に2度ということなので、実際にはバレてない案件も多いと思うし、しかも1店舗で1年に2件、全国に風俗がどれほどの数があるかを想像するとゾッとしますよね。
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そうですね。我々がおこなう盗撮発見調査は企業からの依頼が多いですね。社内の女子更衣室やトイレの映像が、XVIDEOSとかに流れていると、今年だけで6~8件ほど依頼がありました。全国に探偵社が、数千社ほどあるとされるので、それを考えると、かなりの数の犯罪がおこなわれていると想像できます。他にも民泊、シェアハウスなどでの盗撮は、昨今ニュースにもなっています。
カメラの性能はどの程度の画質なのでしょうか?今一回繋げてみましょうか?結構綺麗ですね。HD以上はいきますね。wi-fiで飛ばすことはできないのですが、この上の画像のものは4K並の映像が撮れます。これらはどこで入手できるのですか?可変性のある小型カメラはアマゾンで普通に売っています。また、他のものもネットで買えます。いくらくらいで販売されているのですか?大体5千円以下ですね。じゃ、ここにあるのは全部合わせても2万、3万円くらいで揃うんですね。値段も安いから誰でも手に入るし、やろうと思えば簡単に仕掛けられます。しかも、これを設置して放置しておけば、最悪回収しなくても良いし、身元も特定できません。
このような最新機器を使った犯罪を炙り出すのは、アナログ電波と比べるとより難しくなっている。民放各局で放送される盗聴発見のドキュメンタリーなどは、アナログ電波を発見することを目的としているため、やがてなくなるはずだ。
欧米からみれば一風変わった日本のクリスマス。クリスマスと盗撮が融合したら、そのカップルにとっては、とてつもなく恐ろしいイベントになってしまう。そのような危険から身を守るには、自らの防衛意識を働かせるしか、今のところ解決の手段がない。
欧米からみれば一風変わった日本のクリスマス。クリスマスと盗撮が融合したら、そのカップルにとっては、とてつもなく恐ろしいイベントになってしまう。そのような危険から身を守るには、自らの防衛意識を働かせるしか、今のところ解決の手段がない。