Who Are You?:向山豊さん(31歳) レコード会社勤務

「はい、厳しいですね。ライブの導線へのプロモーションと割り切る時代なのかもしれません」

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11 mars 2016, 9:20am

先日、近所の体育大学で卒業式をやってました。いわゆるヒラヒラした女子大生よりも、ジャージやスウェット姿の女子体育大生にビューティーを感じていたので、今回普通に袴着てたみなさんが超残念でした。でも4月になったら、もっと初々しいジャージちゃんたちが現れるし、夏が来たらホットパンツもあるので、まだまだ続いて楽しいですね。

日々の生活の中で、私たちはたくさんの人たちとすれ違います。でもそんなすれ違った人たちの人生や生活を知る術なんて到底ありません。でも私も、あなたも、すれ違った人たちも、毎日を毎日過ごしています。これまでの毎日、そしてこれからの毎日。なにがあったのかな。なにが起るのかな。なにをしようとしているのかな。…気になりません?そんなすれ違った人たちにお話を聞いて参ります。

向山豊(むかいやま ゆたか)さん (31歳):レコード会社勤務

あら、向山さん、レコード会社にお勤めなんですね。それも超老舗の。もう長いのですか?

いえ、まだ4年になります。

ええっとお名刺によると…エーアンドシーホンブセイサンカンリブマーチャンダイズラボリーダーケイエイセンリャクシツジギョウセンリャクチーム プランナー…

実は、もう一枚名刺がありまして…

ビジネスイノベーションプロジェクトリーダーのプロジェクトリーダー……リーダー、盛りだくさんじゃないですか。すいません、何をやってらっしゃるのかさっぱり。

自分でも何をやってるのか、よくわからなくなってきているのですが(笑)、最初の方の名刺は、簡単にいいますと、アーティストの育成とか制作です。それをCDという商品にして流通するのですが、僕がやっているのは、その中でアーティストのマーチャンダイズ、グッズなどを作っているところです。

フムフム。もう一枚の方は?

これは新規事業を進めていく部署です。やはりCDは売れなくなってきているので、新しいことをやっていこうと。

CDは厳しいですか?

はい、厳しいですね。ライブの導線へのプロモーションと割り切る時代なのかもしれません。

ライブ事業もやられているんですか?

はい。制作は別のところにお願いしていますが、企画と運営はやっております。

元々レコード会社に入りたかったんですか?

別にそんなことはなかったのですが、前の仕事がライヴ制作と、それこそアーティストグッズを作る会社にいたんですね。それでもうちょっと音楽そのものに踏み込んだ仕事をしたいなぁ、と思っているときに求人があったので転職したんです。

あらー、でもやっぱり音楽関係。これまで音楽にどっぷりですか?

そうですね、どっぷりですね(笑)。ディスクユニオンにもいましたし。

完璧なMUSIC LIFEですね!では、そのLIFEを。ご出身はどちらですか?

青森県の十和田市です。

すいません、十和田湖っていうイメージしか出ないんですが…

いえいえ、本当に十和田湖しかありませんから。

青森県って、あれでしたっけ?なんか二つに分かれるっていうか…

はい、そうです。津軽地方と南部地方に分かれます。歴史も異なりますし、方言もまったく違います。僕の生まれた十和田は、南部地方になります。

ざっくりですいませんが、雪は多いんですか?

めちゃくちゃ多いです。雪掻きしないと命に関わるくらい。腰の位置とかは普通に積もっていました。

じゃ、スキーとかも当たり前?

そうですね、小学校の授業でも「今日は校庭で500メートル走をします」とかありました。

わー、校庭でスキー出来ちゃう世界なんですね。その頃はどんなことして遊んでましたか?

本当に何もない所でしたので、川へ行ってモリで魚を捕まえたり…。でも冬は雪ですから、青森県民はどこにも出ないんです。家でテレビばかり観ています。

青森のチャンネル事情を教えてください。

こちらでいう日テレとTBSとテレ朝は、普通に観れたのですが、フジとテレ東がガッチャンコしてました。夕方5時から「いいとも」でしたし、「なんでも鑑定団」も午後にやっていました。

でもそちらにお住いのみなさんは、それが当たり前だと思ってらっしゃいますよね?実際「いいとも」がお昼に生でやっていると知ったのはいつでしたか?

小学校のときなんですけど、隣の「岩手めんこいテレビ」の電波が、十和田にも届くようになったんです。それで父親が設定したら、お昼に「いいとも」やってるし、夜にアニメもやっている。それに「いいとも」も2回観れる。ものすごく感動したことを覚えています。

いや、「いいとも」は1日1回でいいでしょ(笑)。増刊号もあったんだし。もうMUSIC LIFEは始まっていたんですか?

はい、小学校高学年頃からヒップホップを聴いていました。

わ、いきなり?でも失礼ですけど、十和田にヒップホップの情報とか入って来ていたのですか?今みたいにインターネットも普及していない時代ですよね。

地元にCD屋があったんです。それに隣りの三沢市に米軍基地があるので、その影響からか、わりと品揃えが良かったんです。

なんてお店ですか?タワーとかじゃないですよね?

はい、県内で展開している「成田本店」です。

アハハ。あ、すいません、ヒップホップを展開しているとは思えないお名前だったので。

ええ(笑)。まだアンダーグラウンドなものは買っていませんでしたが、キングギドラとかYOU THE ROCKとかSHAKKAZOMBIEとかは、ここで手に入れてました。

お友達にヒップホップ好きな子はいました?

一人だけいました。昔からの親友だったのですが、こっちの道に連れ込みました。中学に入ってから、お互いターンテーブルを買って、DJみたいなことして遊んでました。

DJするにはレコードが必要ですよね?通販とかしてたんですか?

いえ、それも成田本店で。

レコードも置いてたんですか!すごいなぁ〜成田本店!なんのレコードで練習してたんですか?

初めはどうやっていいかもわかりませんでしたし、BPMの合わせ方もわからない。でもとりあえずやりたかったんで、適当に2枚買ったんです。一枚は、ハウスユニットのGTS、でもなぜかもう一枚は、誰なのかまったく覚えていないのですが、ジャパコア系のバンドで、ドローンメタルというかブラックメタルみたいな音をやっていて、とんでもなく遅いBPM、そして遠くの方から叫び声が聞こえるレコードで…

(笑)。中学生の瞬発力って最高ですよね!

ええ(笑)。すごく怖かったんですけど、この2枚しか持っていなかったので、むりやりスクラッチみたいなことしていました。

繋げられるようになったのは?

中三くらいです。やっとちゃんとしたレコードも集まってきたので。

そろそろクラスでも話題になっていたんじゃないですか?「向山ってヒップホップDJらしいぞ」とか。

いえ、まったく。周りはハイスタとかでしたから。

ああー、またもやハイスタ。このコーナーで一番名前が出てきます。本当に人気あったんですねぇ。

はい、本当に凄かったです。でも僕はアンチでしたが(笑)。

ですよね(笑)。糞ハイスタと。

はい、糞ハイスタと。でも山嵐ってバンドがいて、アルバムでラッパ我リヤとコラボレーションしていたんですね。それがカッコ良かった。それでちょっとバンドもの…ミクスチャーっぽいものとかも聞けるようになりまして、じゃハイスタも、って友達に借りたら「おや?」と。これもカッコ良かったんです。「ああ、食わず嫌いはいけないなぁ」とハイスタが教えてくれました。そこからブラフマンとかREACHとかも聴くようになったんです。

DJイベントとかはやっていなかったのですか?

中学時代はさすがにやっていませんでしたが、遊びに行っていました。

お近くにクラブとかあったんですか?

クラブというよりバーみたいな感じなのですが、DJが5人くらい、地元のラッパーも出て。半年に一回くらいしか開催されてませんでしたが。

オールナイトですよね?中学で行ってたんですか?

ええ。夜中に布団から抜け出して、チャリンコで行って、朝また布団に戻って。

もしかして悪かった?ヤンキー?

いえ、ヤンキーではありませんが、タバコもお酒も。カッコつけてたんです。無理してたんです。

女子関係はどうでしたか?

まぁまぁありました。やっぱそこが一番盛り上がる時期ですし。

どんなお付き合いを?

付き合っていたわけではありませんが、周りのヤンキーチームとは仲が良かったんです。それでそのチームにいた女子と中2のときに。

え、もしかして中2でさくらんボーイ卒業ですか!そこまで期待してなかったのに!

(笑)。いえ、あの、青森って娯楽がないんです。寒いですし。ですから、セックスとか…男女二人いたらそうなります。周りも早かったです。

青森県、最強じゃないですか!

でもそれっきりでした。それ以外はありません。エロ本見てたくらいです。

やってる中学生がエロ本見るのと、やってない中学生がエロ本見るのでは、雲泥の差がありますよ!ちゃんと勉強もしてたんですか!!

授業はちゃんと受けてました。

それで高校に行ってやりまくったと!

いえ、高校では一回もありませんでした。

どちらの高校にいったんですか?

隣の三沢市なんですが、近くに12インチを置いているレコード屋があったんです。

成田本店では物足りなくなったと。

いえ、まぁ。それでそのレコード屋に行きたかったので、三沢高校へ。

三沢高校って、なかなかの名門高ではないのですか?レコードのために勉強したと?

いえ、僕が入ったのは英語科だったんです。元々英語だけはなぜか得意でしたので、それで入れたんです。

3年間行ったら喋れるようになるんですか?

ちゃんとやったら喋れるようになります。留学とかしたヤツも多かったですし。ただ僕はちゃんとやらなかったので。

じゃ、女の子にも目もくれず、レコード屋に行っていたと。なんてお店ですか?

デムズ・レコードというブラックミュージックの専門店です。ほぼ毎日行っていました。

でもレコード買うにはお金が必要ですよね?バイトしてたんですか?

いえ、バイトは禁止だったんです。でも毎日お昼ご飯代で500円貰っていたので、水とかコーラ飲んで我慢する。で、当時12インチって980円くらいだったんですね。なので2日食べなければ一枚買えるので、どんどんレコードは増えました。

いわゆる元ネタ・レコードも買ってたんですか?

それは東京に来てからです。中古盤は充実してなかったので。

イベントとかはやりました?

いえ、1、2回しかやってません。どちらかというとスクラッチとか、ビート作ったりとか、バトル系をやってましたので。

じゃ、高校時代はノー・セックス。レコード擦って、下半身も擦っていたんですね!!

はい。

卒業後はどうしたんですか?

上京しまして、東邦学園という専門学校に行きました。

何を勉強されたんですか?

音響です。レコーディングエンジニアになろうと思ったので。でもほとんど学校に行きませんでした。

あら?お決まりの中退クンですか?

いえ、ギリギリ卒業できるようには通ってました。

なんで行かなくなったのですか?やっぱ擦ってるだけじゃ物足りなくなった?

まぁ(笑)。クラブ行って、レコ屋行って、バイトして。要するに遊んでいたんです。

アルバイトは何をしていたんですか?

あのうー、出●い系のサ●ラです。

うお!前回の栗林さんに続いてまた!やっぱ流行ってたんだなぁ〜。

(カメラマン:宮本さん)あのうー、実は僕もやってました…。

え?宮本さんまで!みんな酷いヤツだなぁ。じゃ、向山さんも宮本さんも、女子のフリして、キャラ作っていたと。

(カメラマン:宮本さん)でも僕は、自責の念にかられて3ヶ月でやめました。

やっぱ辛くなったんですか?

(カメラマン:宮本さん)なんか交通事故に遭って、お身体の弱い方とやりとりしたんです。それでさすがに…

…そうですか。

僕も辛くなって半年でやめました。

…そうですね。大正解だと思います。栗林さんなんて「股間で打ってまーす」って笑ってました。…もうこの話はやめましょう。じゃ、次のバイトは何をしたんですか?

はい、アダルトグッズショップです。

…んん。最高に楽しそうな話ですが、この流れでの正解ではないですね。アダルトビデオ??

…も、置いてましたが、グッズも。

何をしてたんですか?店番 ?

はい。あとお客様への接客です。

アダルトショップの接客って、どんなのですか ?

道具に関する質問とか、あとコンドームも置いていたので、薄さとか、ブツブツはどれくらい気持ちいいのか、とか。最初はさすがにわからなかったので、「めっちゃ、気持ちイイっすよー」って、適当に答えていました。

売り上げ1位を教えてください。

やっぱりオナホールですね。

おおー。

本当にすごい商品がありまして、貫通型のオナホールなんですが、シリコンの。お客様に触っていただく用にサンプルを出すんです。そのとき僕も初めて触ったんですが、本当にソレ触ってるような感じで。入り口の部分。

おおー、おおー。向山さんも試しました?

はい。

社割とかあるんですか?

いいえ、普通に購入しました。本当に感動しましたよ!

そのときはまだTENGAとかは出ていなかった時代ですか?

はい、まだ出ていませんでした。

TENGAは使ったことあります?

はい、あります。TENGAエッグですけど。

どっちが気持ち良かったですか?

やっぱTENGAですね。あれはさすが過ぎます。

バイブとかローターとかは?

あんまり売れないんです。相手ありきの物なので。

ああ、そっかー。

コンドームも結構売れてました。一回女性が来られて、3カートンくらいお買い上げされて。密かに興奮してました。

マジで楽しそう(笑)!ちなみにアダルトビデオでは?

誰だったかなぁ。及川奈央とかがギリで…あと名前なんだっけ…森下、森下…

(カメラマン:宮本さん)森下くるみじゃないですか?あとはモンブランとか人気ありませんでした?

モ、モンブラン?…ってか、ちょっと、宮本さん詳しい!

(カメラマン:宮本さん)僕はレンタルビデオでバイトしてたんです。AV担当で。ちなみに、「紋舞らん」です。

向山さんとこはレンタルじゃなくて、セルビデオですよね?やっぱコレクターがいらっしゃるんですか?

はい、いらっしゃいます。で、なぜかみなさん礼儀正しいんです。スタッフの間では「AV紳士」って呼んでました。

アハハ!!

店って本当に狭いんです。肩がぶつかるぐらい。でもAV紳士の方々は、お互いの世界を守る。他の方の吟味が終わるまで、興味の無い棚の前で静かに待っている。すれ違うときもすごく自然なんですよ。本当にアダルトビデオを愛してらっしゃる方々なんです。

向山さんのレコード集めと同じですね。さて、そのレコード集まりました?ネタ盤にも手を出したってことは、散財したんじゃないですか?高かったですよね?

そうですね、オリジナル盤は1、2万円当たり前でしたし。

どの辺を攻めていたんですか?

レコファン、ディスクユニオンとかです。

本格的にDJ活動も始めたんですか?

どっぷりではありませんが、六本木でマンスリーでやったり。

DJ名は?

「ヤマ」って名前だったんですが、渋谷に有名な同名DJ の方がいたんです。それでそのあと「チョコ」になりました。

なんで「チョコ」?

AV男優のチョコボール向井の本名が、僕と同姓同名だったんです。

アハハ!なんか、やっぱそっちに寄りますね。でもご自身で付けないでしょ?

ちょうど六本木のイベント後、朝帰ってテレビ付けたら「チョコボール向井こと、向山ユタカ容疑者が、六本木のハプニングバーで逮捕」ってニュースをやってたんです。結構そのニュース、繰り返されてまして、友達からもひやかしメールがバンバン届いたり。それで誰かが「これを機会にチョコだな」って。決まりました。

そして、専門学校卒業後にディスクユニオンですか?

はい、稲田堤店に。

でもディスクユニオンのスタッフさんって、確かユニオンで中古レコード買っちゃいけないんですよね?今までDIGってたのに辛くなかったですか?

そこはちょっと友達に頼んだり…。あ、でも買取値段の不正とかはしませんでしたよ!

デイスクユニオンではどれくらい働いていたのですか?

約4年です。でも稲田堤店が閉店しまして、それを機に最初に行ったライヴ制作の会社に入りました。

今もまだDJはやられているんですか?

いえ、やっていません。レコードもほとんど売ってしまいました。

ええっ!!ドローンメタル・レコードから築き上げた歴史なのに!!なんで、また?

28のときに結婚しまして…

奥さんが「売れ!」って?

いえいえ(笑)。彼女もクラブで知り合った音楽好きだったので、理解のある子だったんですが、やっぱ部屋は狭くなるし、機材も場所も取るし、ちょっと邪魔になってきたんです。もちろん思い入れもあったんですが、聴く時間もあまりなくなってきたし、子供もできたので、もう売っちゃおうと…それでユニオンに(笑)。

帰るべき場所に帰ったと(笑)。でもご自身で査定されてたから、大体の値段わかってましたよね?当たりました?

予想より低かったですね。ちょっと下落してたかなぁ。タイミング悪かったかなぁ。株と一緒ですよね。

さて、じゃあ、お部屋も広くなって、住みやすくなって、お子さんもスクスクと。レコードが無いと、ハッピーになりますね!それでいてレコード会社員ってのも面白いですが、お仕事は楽しいですか?

はい、楽しいです。新規事業の方だと、CDから離れてしまうんですが、他業種の方々からいろんなお話聞けますし、勉強になることも多いので。

でも失礼ですけど、CDが売れない時代になって、会社の雰囲気が「どよーん」って重くなったりしてません?

そうならなきゃいけないとも思うんですが、いい意味でみんな変わってません(笑)。変な人も多いですし、会社に泊まってるような人もいます。相変わらずレコード会社って感じがします。

夢とか目標はあります?レコードを取り返すとか?

ああ、それも夢ですね(笑)。売ったレコードをCDで買い直す作業は始めているんです。それをコンプリートするのも夢。でも社内ベンチャーでもいいのですが、いずれ会社をやりたいですね。

おおー、どんな?

権利ビジネスを。

おおー、なんか悪そうですね。横に流してガッポガッポするヤツですよね?

ええ、持ってると、一生強いですよ〜。フフフ。

さすが!出●い系のサ●ラの出身ですね!!

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