フライング・ロータス来日間近!見る者の度肝を抜く『Hyper Cube』セットの舞台裏

12月5日(金)に日本公演を控えたFlying Lotus。一足先にUSで開始したツアーで披露されたステージセットが話題に。制作を務めたDavid WexlerとJohn Kingに話を聞いた。

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17 November 2014, 3:27am

キャリア史上もっとも「ジャズ」へと接近した5thアルバム『You’re Dead!』をリリースしたFlying Lotus。アルバムには、大御所Herbie HancockやSnoop Dogg、Kendrick Lamarら実力派のアーティスト/プレイヤーが多数顔を揃え、世界各国で自己最高の初動セールスをたたき出しているのだとか。12月5日(金)品川プリンスステラボールにて一夜限りの来日公演も控えているFlying Lotusだが、一足先にUSで始まったツアーでは、最先端のテクノロジーを結集した巨大なステージセット「Hyper Cube」に観客の目が釘付けになった。

まず登場したThundercat、その背後で静かに佇む超立方体。Thundercatの繊細なベースが観客を盛り上げる中、おそらく誰もが気になっていたが、それがどう使われるのか想像もつかなかった。すると次々に複雑な図形が現れ、その内側にゆっくりとFlying LotusことSteven Ellisonのシルエットが浮かび上がる。目元に光るアビエイター型サングラスですぐに彼だと分かった。

セットの構造
Image courtesy of Timeboy
Layer 3の中で光るFlying Lotsの目元
Photo by Glenjamin Han

「Hyper Cube」のシステム、通称"Layer 3(正式名称はLayerCubed)"を手掛けたのは、メディアクリエイター、David Wexler。Wexlerはこれまでも、Starngeloopの名前でTimeboyとして知られるビジュアル・アーティスト、John Kingと共に、2012年のツアーでプロジェクションを用いたセットを手掛けてきたが、今回は数段進化した仕掛けがある。

「2つのプロジェクションを使ってるんだ。背景と正面から、それぞれ投射してる。三次元に見えるのは、正面からのプロジェクションが効いてるんだ。パフォーマンスはその中央で行われる」

WexlerとKingは、これまでも視覚的な3Dのイメージを作ってきたが、立体的な3Dを作るのは初めてだ。

ステージデザイン
Via Timeboy

暗くなった会場にキックドラムの音が鳴り響く。その振動に合わせてライトが光ると、Layer3の内部にいるFlying Lotusのシルエットを照らしていく。セットから伸びた光が矢印になって彼を指し示すと、一瞬ライトが消え、ついにスティーヴン・エリソンが登場。

「みんな来てくれてありがとう。来てくれたのに申し訳ないけど『You're dead(君はもう死んでる)』」

彼の言葉をきっかけにステージが赤と青の光で満ち、ベースを打つ音に同期してスクリーンに映し出されたアニメーションが動き出した。

ショーが始まる前 観客は巨大なステージセットに何が起こるのか待ちきれない様子
Photo by Glenjamin Han

綿密なプランに基づいて進められているのかと思いきや、このステージすべて即興だ。 「全部ライブで即興でやることにしたんだ。だからFlying Lotusが突然、僕たちが聞いた事もないような、あるいはすごく抽象的なものをやることだってあり得る」 そんな緊張感の中、WexlerとKingのビジュアルとFlying Lotusのサウンドは見事に同期していた。お互いの鋭い直感が絶妙なシンクロニシティを生み出していたのだ。

「まるでテレパシーみたいだった」とKingは語っている。それは、Layer3の構想から2年を経た現在、彼らがたどり着いた境地だ。 「あらかじめ決めてやるんじゃない、タイムコードだってないんだ。フローの中に、シンクロする瞬間に、毎回新しいものを発見するよ。」

Image by Strangeloop
Image by Strangeloop

今回のLayer3では、ビジュアル制作をWexlerが、そしてKingがフィジカルデザインの指揮を執った。冒頭には、アルバムのアートワークも務めた漫画家・駕籠真太郎の不気味な死体のイラストが登場。死体がうようよわき出すアニメーションは圧巻だ。

さらに、Skrillexのツアーでビジュアルを務めたScott Paganoや、Kill Your CoworkersのアニメーターBeeple、さらにUnc.というロシアのフラクタルアーティストらも協力し、これまで制作されたFlying LotusのMVの世界観が凝縮されたステージになった。

Flying Lotus – You’re Dead! From Warp Records on Vimeo

Amon Tobinのパフォーマンスに言及しながら、ISAMを観て意識が変わったと語っている。エレクトロニックミュージシャンなら誰もが凝ったステージセットやプロジェクションの演出を手掛ける時代に、差別化を図るための策を、そしてISAMを超えるような何かを模索せざるを得なかったのだ。

Layer 3 Photo by Glenjamin Han with projected imaged by Strangeloop

WexlerとKingも、度肝を抜いたISAMのステージを認めてはいたが、セットがショーの中心になってしまい、演奏するパフォーマーの存在感が薄まってしまっていると感じていた。そこで彼らが目指したのは、パフォーマーの力を"見せる"ことだ。

「Flying Lotusの動きやパフォーマンスやエネルギーが、すべてのイメージを生み出している、そんな風に感じてほしかったんだ」

「パフォーマーの背後で展開される壮大なスペクタクルを見てほしいわけじゃないんだ。パフォーマーから生まれてくるエネルギーを見せたかった」

Photo by Glenjamin Han with visuals by Strangeloop
Visuals from Flying Lotus’s Layer3 ステージセット
Photo by Glenjamin Han with visuals by Strangeloop

超立方体のLayer3、正面には半透明のスクリーンが貼られているのだが、背景のスクリーンが発光するたびに、間にいる彼の体を、光がぼんやりと包み込む。なんとも幻想的なその景色が現れる度、観客がステージに引き込まれていった。パフォーマンスの中盤、Flying Lotusの代表曲の一つでありMVも話題となった『Zodiac Shit』を演奏した。その冒頭「I’m back in New York(ニューヨークに戻って来たぞ!)」と叫ぶと、観客のヴォルテージは最高潮に達した。

まもなくチケットがソールドアウトすると言われている日本公演にも、この『Hyper Cube』セットが持ち込まれる予定だ。そして、Flying Lotusの盟友=Dorian Conceptの参加も急遽決定。五感をフル動員して、音と映像とテクノロジーの贅沢な競演に酔いしれたい。

公演詳細はこちら>>> http://www.beatink.com/Events/Flying-Lotus-2014/