米国の男女カップルの4割は、インターネットで出会っている

もう「知り合いの紹介で…」と濁す必要はない!
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translated by Ai Nakayama
Tokyo, JP
米国の男女カップルの4割は、インターネットで出会っている

2019年7月に発表されたデータ分析によると、2017年、米国の男女カップルの39%が、出会いはインターネットだった、と回答した。いっぽう、職場、学校、友人からの紹介で出会うカップルは減っている。今や、カップルの仲介役は、家族や友人ではなくインターネットなのだ。

スタンフォード大学の研究者2名とニューメキシコ大学の研究者1名が行なった本研究では、2009年以来定期的にアップデートされてきたデータセットを使用(なお著者によると、同性カップルやノンバイナリーカップルがパートナーをインターネットで探す確率は以前から高く、2009年と比較して大きく変化していないことから、本研究の対象には含まれていない)。1995年、インターネットを介して出会ったカップルは2%にすぎなかったが、2000年は5%、2010年になると20%に跳ね上がり、以来急上昇を続けている。米国のシンクタンク、ピュー研究所も、ここ数年でインターネットでの出会いが増加していると指摘する。

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いっぽう、友人の紹介で出会った男女カップルは、1995年の33%(1950年代から2010年頃までは常に30%以上だった)から、2017年には20%に減少。家族の紹介は、15%から7%、職場恋愛のカップルも19%から11%、と軒並み減少している。近所のひとの紹介、大学や高校での出会い、もしくは教会での出会いも、もともと少ない割合ではあったが、さらに減少。1995年以来増加しているのは、バーやレストランでの出会いと、TinderやBumbleなどマッチングアプリを通した出会いだけだ。

本研究では、「インターネットでの出会いは、かつて家族や友人が担っていた、新しい人間関係の形成における主要な仲介者としての役割を奪っている。〈脱仲介〉、すなわちふたつの集団の仲介役としての人間の排除や軽視は、インターネットが社会にもたらした本質的な変化だといえる」と指摘されている。ただ、著者による調査対象者へのさらなる質問で、バーやレストランで出会ったカップルのなかにも、最初はインターネットでつながった、というカップルがいることが判明しており、インターネットの影響は、この統計データが示す以上に強いようだ。

パートナーとの出会いの場が、現実の社会生活や人間関係からインターネットへと大きく移った背景には、4つの原因があると筆者たちは考えている。まず、候補者が圧倒的に多くなること。ふたつめは、家族や友人が関与しないため、彼らに自らの嗜好や言動を批判されずに済むこと。3つめは、相手についての最新情報を得られること。そして4つめが、たとえばOKCupidの相性診断や、eHarmonyの長大な性格診断のように、アンケートの回答や趣味嗜好から適合度が算出されること(もちろん、マッチングアプリが謳う〈科学〉は眉唾ものとする主張もあるが)。とにかくインターネットを介した出会いのほうが、あらゆる面でより簡単なのだ。

しかし〈簡単〉だとはいえ、皮肉な面もある。インターネットでより多くの出会いが生まれているいっぽう、それがひとびとのストレス源にもなっているのだ。マッチングアプリについてさまざまなミームや批判記事が出回っているし、それを裏付ける調査もある。それは2018年、英国人を対象に実施された調査で、回答者の45%が、現在または過去にマッチングアプリを利用したことがあると答え、同時に、新しいパートナーと出会う手段としていちばん使いたくないのはマッチングアプリ、と答えた回答者は37%にも及んだのだ。

また、インターネットでの出会いはすべてが良い結果につながるわけではない。ただ、それでも多くのひとにとって魅力的のようだ。2018年の研究で、私たちはインターネットでパートナー候補を探すさい、自分よりも25%以上レベルの高い相手を追う傾向にあることが明らかになっている。自分には手が届きそうにない高嶺の花への肥大化した幻想が、マッチングアプリの成功を支えているといえるだろう。