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児童に性的虐待を加えるのが 小児性愛者であるとは限らないらしい

小児性愛者は欲望を抑えられない、と信じる専門家がますます多くなっている。児童への性的虐待について、また、小児性愛は本当に性的指向なのかについて理解するべく、デイビッド・フィンケラー教授に見解を求めた。

by Diana Tourjée
07 November 2016, 1:18am

性的指向の多様性は、自由主義者から支持され、社会的公正の実現を目指す政治活動でも議題に上るが、私たちは性的指向の多様性を病理学と関連づけようとしているのではない。しかし、思春期以前の児童に性的魅力を感じる小児性愛者は衝動を抑えられない、と信じて疑わない専門家がますます多くなっている。Redditにこの問題について見解を投稿した犯罪心理学者によると、「異性愛者の女性が男性に対して抱く欲望、ある同性愛者が同性に対して抱く欲望と同様に、小児性愛者もその指向に基づく欲望を抱く」らしい。

先述したRedditへの投稿者ではないが、社会学者であり、ニューハンプシャー大学の「子供に対する犯罪研究センター(Crimes Against Children Research Center)」所長を務めるデイビッド・フィンケラー(David Finkelhor)教授によると、小児性愛を性的指向と認める概念は、精神医療専門家たちの間で「広く受け入れられている」らしく、「アメリカ精神医学界(American Psychiatric Association)による『精神疾患の分類と診断の手引(Diagnostic and Statistical Manual)』でも、暗黙の了解として、そう定義されている」そうだ。

昨今、性的指向は明確な思考であり普遍的で生来のアイデンティティである、としばしば定義される。しかし、「小児性愛は性的指向である、との見解に対して世間は不快感を示す。最近、世間は性的指向に対して寛容であり、病理学的見地から取り扱おうとはしていない」と教授。さらに、小児性愛を性的指向として概念化してしまうと、児童への性的虐待の非犯罪化に繋がるのではないかと懸念する向きもある、と教授は付け加えた。

Photo by Raymond Forbes LLC via Stocksy

それでは、性的虐待や児童に対する性的いたずらは、何を暗示しているのか。「加害者のほとんどは小児性愛者ではない、と世間が理解しなくてはならない」と教授は電話越しに語った。「小児性愛者は児童に対して普遍的で不変の性的関心を抱いている。小児性愛者の話題になると、彼らはいかなる状況下でいかに管理しても危険だ、との印象を世間は抱く。しかし、それは間違いだ」と教授は断言し、小児性愛者は、性的虐待者や児童に性的いたずらを働く加害者のなかでも少数派に過ぎない、と言及した。

つまり、小児性愛者とは、主に思春期前の児童に性的な魅力を覚えるが、性的虐待者の大多数が小児性愛者なわけではない。では、なぜ彼らは児童に対して性的虐待を加えるのだろう? フィンケラー教授によると、その理由は多岐にわたる。「成人と性的な関係を持てないのが主な理由だ。さもなくば、児童のほうが御し易いからだろう。家族に対する性的虐待がその例だ」と教授は語り、基本的には成人に性的魅力を感じる個人による性的虐待も頻発している、と付け加えた。教授によると、性的虐待者の年齢を考慮するのも重要らしい。本質的に、他の児童に対して性的虐待を加える児童のほとんどは小児性愛者ではない。しかし、彼らは、児童に対する性的虐待者全体の1/3から半数を占める。

また、フィンケラー教授は、小児性愛の性的虐待者による被害者数は、それ以外の性的虐待者による被害者数より多い、と指摘する。もちろん、小児性愛者の全員が衝動的に行動するわけではない。「小児性愛者は、性的指向に基づいて行動するわけでなく、自身の性的指向に愕然としているわけでもない。しかも、自身の性的指向に基づいて行動するのは有害であるのを理解している」小児性愛者がいるのを、私たちは理解しなければならない、と教授はいうものの、それを裏付けるデータはほとんどない、とも付け加えた。

小児性愛者が欲望を抑える方法について教授に質問すると、彼は、児童に性的魅力を覚えることに対する「とてつもなく不名誉な烙印」が小児性愛者の治療を妨げている、と答えた。「そういった衝動を持つ個人の多くは自ら治療を受けないが、中には治療を受ける者もいる」。そして、「不名誉な烙印」だけが治療を妨げる要因ではない。「アメリカには報告義務があり、過ちを犯した者を知る臨床医は、それを報告しなければならない」

小児性愛を性的指向であると定義し、その治療について断定的に議論するのは「時期尚早だ」と教授は明言する。私たちは、性的指向の起源、特に小児性愛の条件について十分に理解していないからだ。「幼少時代のトラウマがある程度関係している可能性を示す兆候もあるが、それは、判断を下すための必要条件でも十分条件でもないだろう」。教授によると、幼児期のトラウマがなくても小児性愛の指向を持つ個人がいるし、幼児期のトラウマがあっても小児性愛の指向がない個人もいるそうだ。「幼児期のトラウマ以外にも、何かしらの要因があるに違いない」

「小児性愛について、さらなる理解が必要だ」とフィンケラー教授は強調した。例えば、仮に自身の衝動を抑えられる大勢の小児性愛者がいるならば、小児性愛を治療する可能性がなくもないらしい。「しかし、ご察の通り、小児性愛者が自身の性的指向を認めるのはそう簡単ではない」と教授は懸念した。