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増加する〈テレフォンフォビア〉とその対処法

電話が苦手なひとたちが増えているが、それは克服できる。

by Dana Smith
05 January 2020, 7:00am

Jacquie Boyd/Getty Images

今や携帯電話の着信音によろこぶひとはいない。むしろそれは気まずい時間、不安だらけの会話の始まりを告げる音であり、恐怖のシグナルだ。かつての嫌われ者といえば留守番電話だったが、今や電話を耳につけて、リアルタイムで誰かと会話する、というすべてのプロセスが拷問と化している。それは〈テレフォンフォビア(電話嫌い)〉などと呼ばれ、独立した項目としてウィキペディアページ(英語版)もあるほどだ。

この新種の社交不安(社交恐怖)の原因として、精神科医はテキストでのコミュニケーションの発達を挙げている。誰もが携帯電話をもつようになったが、やり取りはほぼテキストベースだ。考えてみればそれも当然だろう。テキストを編集したり書き直したりして完璧なメッセージを書けるのに、わざわざつらい沈黙に耐えたり、適切な言葉を一生懸命探したり、会話の脱線に付き合ったりしなくてはいけない理由はない。

「電話で話すことに不安を抱くひとは、音声コミュニケーションから、テキスト、メール、SNS上のコメントなど、文字コミュニケーションへと文化が移り変わるなかで増加しています」と説明するのは、ボストン大学の臨床心理士で、『How to Be Yourself』の著者、エレン・ヘンドリクセン(Ellen Hendriksen)博士だ。「文字のタイピングは、音声での会話とまったく異なります。テキストやメールを送信したり、コメントを投稿するときは、考えたり編集したり、内容をブラッシュアップする時間がありますから。いっぽう対面での会話はリアルタイムで、ミスをしてしまったら終わりです」

博士は、あらゆる不安の根源には〈確信のなさ〉があり、電話の着信はその〈確信のなさ〉の極みだという。誰かと対面して会話するときは、表情やボディランゲージなど、非言語の手がかりが得られる。相手が上の空なのか、あるいは自分の話の内容に興味を抱いてくれているのかも察知できる。また、発話の終わりもわかりやすいので、相手の話を遮ることなく返答ができる。さらに、会話が始まる前に相手が何をしていたかも一目瞭然だ。質問のために同僚のところへ行けば、相手が忙しいかどうかも見える。

しかし電話をかける場合、相手が何をしているかはわからない。たとえば営業の電話が突然の訪問営業と同じくらいに無礼だと感じるのはそういうわけだ。いっぽうテキストやメールの場合、基本的にすぐに返信しなくてはいけないわけではないので、相手は自分のペースで返信できる。

ヘンドリクセン博士によると、一般的に、他の社交不安を抱えているひとは電話での会話にもより恐怖を感じやすいというが、テレフォンフォビアは嫌な経験(たとえば電話面接で失敗したり、電話でデートの誘いをして断られたりなど)からも発症するという。そうすると、電話を自分の無能さや恥ずかしさと結びつけてしまい、その感情を避けたい、という思いから電話に出ることを避けるようになる、と博士は説明する。問題は、電話での会話を避ければ避けるほど、電話への恐怖感は増してしまうということだ。

また、電話への恐怖感は、コミュニケーションツールが固定電話だけ、という時代を過ごしていない、すなわち電話で話すという経験が少ない若い世代により顕著だ。電話中、長い沈黙のあと同時に喋り出してしまい「あ、ごめんごめん、お先にどうぞ」と譲り合うあの時間を体験してこなかった世代にとって、それは恐るべきことなのだろう。

若い世代は電話での会話に慣れていないので、より不確定感が強まり、より不安になるのだ、と博士は指摘する。「電話での会話を何百回と重ね、経験を積んでいないと、いったい何が起こるのかを予想するための根拠もない、ということですから」

では、電話への恐怖感に打ち勝つためにはどうすればいいのだろうか。「不安を和らげるためには、恐怖に向き合い、自分が不安を感じる物事を練習するしかありません」と言明するのは、不安障害専門の臨床心理士、デヴィッド・シャンリー(David Shanley)博士だ。「つまり積極的に電話で会話したり、家族や友人たちにテキストではなく電話をかけるようにしてみる。電話でデートにも誘ってみる。誰かと電話で難易度の高い会話をしてみる、などですね」

またシャンリー博士は、「恐怖や不安を感じる状況に入るときは、心と身体をなるべくリラックスさせること」も助けになるという。軽いリラクゼーションや、呼吸法を試してみよう。

さらに自分の抱いている恐怖感にはどんな思考が影響しているのかを見定めることも大事だ、とシャンリー博士はいう。「自分は電話での会話の何を恐れているのか? 言葉に詰まることなのか、相手にバカだと思われることなのか。自分の恐怖感や思考、そして恐怖の対象について、見ないふりをするのではなく話してみることで、それらにアプローチし、受け入れることにつながります」

This article originally appeared on VICE US.

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