母国ブルンジを憂う女性詩人ケティ・ニヴャバンディの想い

「ブルンジの現状は、民主主義をいかに独裁主義に変えるか、といった独裁志望者向けの初心者講習です。これはアフリカ全体にとって危険な傾向です。もちろん、世界全体にとっても」

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13 August 2015, 10:07am

ブルンジが現在の政治的危機に陥る前、ケティ・ニヴャバンディ(Ketty Nivyabandi)は、ブルンジの国民で、詩人で、ライターだった。ピエール・ンクルンジザ大統領が、独自の憲法解釈で三期目も続投に向けて立候補を決めると、市民と野党を中心に、大統領の決定に反対の気勢が高まった。それと同時に、ニヴャバンディは、ブルンジの将来のために闘うべく活動を始めた。

多くの女性たちが外出すらためらうなか、彼女は、首都ブジュンブラで、女性だけの反対運動、デモを率いている。そのうちいくつかは、残忍な形で鎮圧された。

ンクルンジザの政敵、ゴドフロア・ニヨンバレ少将が、5月13日にクーデターを試みたさい、彼女がデモを牽引していたのは周知の事実だ。そのクーデターが未遂に終わった後、警察は、抗議者、とりわけリーダーに捜査の的を絞った。ニヴャバンディは国外逃亡を余儀なくされ、近隣のルワンダに難を逃れた。われわれはキガリでケティと話す機会を得た。

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政治的活動に関して、この2ヶ月、あなたはブルンジでどんな活動をしていたのですか。

私は、これを政治的活動ではなく、ブルンジ活動と呼びます。特定の政党のためではなく、ひとつの国としてのブルンジのために、私は、立ち上がり発言しようと決めたのです。私は、どの政党にも、特定の団体にも属していません。私は、ブルンジを本当に愛しているので、国が崩壊してしまわぬよう、どんなことでもしたいのです。ンクルンジザ大統領の三期目という話が浮上し、公式に候補者として発表されると、大勢のブルンジの人たち同様、私も、そうなったら過去に逆戻りし、また戦争を招くのでは、と不安を覚えました。私は、自らが必要とされている、と実感しました。ブルンジ人として、ブルンジに不幸が起こらないよう出来るだけの努力をするのが自分の責任だ、と感じたのです。それが、私の活動の動機です。

でも、今はルワンダにいます。なぜあなたがここにいるのか、説明していただけますか?

私は、ブルンジの女性たちを組織し、女性による非暴力的デモを先導しました。1回目はうまく行きましたが、2回目は、警察に抑圧されました。それにも関わらず、女性たちはとても勇敢でした。私たちは結束を緩めず、街中にあるインディペンデンス・スクエアに出向きました。象徴的な意味で、そこは、カイロのタヒリール・スクエアに、少し似ています。私たちの独立を表明する場所であり、独立のヒーローの彫像もあります。5月13日のクーデター未遂は、デモの最中に起こりました。クーデターの後、デモをしていた人はみんな、協力者だ、クーデターに加担した、とレッテルを貼られてしまいました。女性であり、クーデターの2時間前に街の動きをストップさせ、クーデターが起こった時もそこにいた私たちは、すぐにそのレッテルを貼られ、ターゲットとなりました。だから私は、予期せぬかたちで国を後にしなければなりませんでした。私は、文字通り、逃亡しなければなりませんでした。そして、安全であろう、ルワンダに逃れてきたんです。

つまりあなたは直接の脅威にさらされていたのですね。活動家、あるいは反対派に関わる人々にとって、ブルンジはどのような状況なのですか?

三期目に反対する人、三期目への反対を公言する人は、みんな、危険にさらされています。これは、政治的活動家に限らず、ブルンジにいるすべての活動家(多くはすでに国を離れていますが)を含みます。人道活動家、弁護士、ブロガー、アーティスト、ミュージシャンなど、ンクルンジザ大統領と異なる意見を持つ人はみんな、逃げるか、隠れるかしなければなりません。見つかったら逮捕されます。三期目に堂々と反対を表明する人たちに対する大量の逮捕状が出されているのです。自らの命を守るために、隠れなければいけません。まだあの場所にいる人たちは、とても厳しい状況に置かれています。毎日のように住むところを変え、親戚ですら、彼らを囲うことに不安を感じています。先ほどもお伝えしましたが、発言する人は、みんなそういった恐怖にさらされています。とても厳しい状況です。

逮捕されるだけではないのですよね。

拷問を受けます。殺されもします。反対派のひとりは、クーデターの後、ブジュンブラの通りで殺されています。拷問を受けた反対派もいました。私と同じく、ただの市民で政治に無関係な人たちを、私は個人的にも知っています。誰に対する反感も公言していないのに、ほかの大勢のブルンジ人同様、安全を求めてルワンダに逃げる途中、警察やSNR(国家諜報機関)に止められ、電話やパソコンを調べられるのです。もし、ブルンジでの反対運動の写真が見つかったら、即座に連行されてしまいます。中にはSNRの支局に連行され、拷問を受けた人もいます。

みんな、普通の市民です。政治活動家ではありません。こんなことが一般市民に起こるのであれば、政府に対する反感を公言する人は、どうなると思いますか。繰り返しますが、私たちは、そんな恐怖にさらされて生きているのです。あまりにも恐ろしい状態にあるので、関わりのない人たちまでが国を離れようとする状態です。

逃亡している人たちは、ブルンジで最も弱い立場の人たちです。必ずしも、ルワンダで生活する手だてを持っているとは限りません。難民キャンプに身を寄せている人たちもいます。持ち物全部を頭の上に乗せて、あるいは背中に背負って逃げているのです。

そういった女性たちは、5、6人、あるいは7人の子供を連れて逃げています。自分たちが行けないとわかっていれば、子供たちだけを国境に送り込む人もいます。靴を履いていなかったり、着替えが一着しかない場合もあります。家を捨てわずかばかりの所有物を持ち、死ぬのを恐れて母国から逃げるなんて、ブルンジ国民が、どれだけの恐怖にさらされているかわかるでしょう。

今回のような混乱は、初めてではありませんよね。もちろん、今回は選挙が関係していますが、活動家や反対派の人物への攻撃は、これまでもあったのでは。

10年ほど前から、そういう状況が続いていました。とりわけ、ここ5年、攻撃は激化していました。とくにこの大統領の二期目は、反対派のリーダーがたびたび刑務所に送られたり、裁判所に召喚されたりしています。殺された人もいます。とくに人権活動家です。

優れた人権活動家で、70歳に近いピエール・クラベール・ムボニンパは、3人のイタリア人修道女殺害を非難したのに加え、ほかの件で、何ヶ月も刑務所での生活を強いられました。最大聴衆者数を誇る公共ラジオのディレクターも、何週間も刑務所に閉じ込められています。過去2年の間に、反対派の政党は解体させられてしまいました。

与党政権は、野党の数人、少人数のグループを買収し、党をふたつに分裂させたりもしました。その中の一部が、党内で別派閥を立ち上げ、与党政権の完全な支持を後ろ盾に正当な政党になります。別の派閥、つまり、もともとの反対派は正当性を失い、党外に追いやられてしまうのです。

FNL(Force Nationale Libération、フツ反政府勢力、主な反対派政党)でも、それが起こったのですよね?

FNLはその目に遭いました。ほかの反対派政党にも、同じことが起きています。多くの政党に対して、裏工作で嵌められています。アメリカの政治に例えるならば、例えば、共和党が、民主党の候補者や議員にお金を渡して、彼らこそ真の民主党だ、と宣言させるようなものです。ほかの人たちはみんな、正当ではない、とされてしまいます。ここ5年ほどで、そういった裏工作が功を奏してしまいました。だから、今日、公式に反対を謳う人たち、今の選挙で大統領のライバルにある人たちは、本当の反対派ではないのです。反対派政党とは双子みたいなものです。幽霊、あるいは双子。

反対派の力を弱めるために、政府はここ5年、こういった施策を実践してきました。アーティスト、ミュージシャン、活動家、人権擁護者など、本当の反対派たちを確実に弱めるために。みんな力を失ってなってしまいましたから、与党政権は三期続投がかのうなのです。

アーティストやミュージシャンが亡命してしまったのは、お話しました通りです。そのうちの何人かは、最近、残酷な暴力にさらされ、クーデターに加担した、と自白を強いられ、国を出ていかなければなりませんでした。これは、現在、しばしば目にする傾向です。世界も、ブルンジをその視点で観なければなりません。独裁政権が国政を司る国では、そういった蛮行がまかり通るのです。

2015年、世界の注目が集まるなか、民主主義が独裁主義に変わろうとしています。私たちが常にツイート、リツイートを繰り返し、スカイプやホワッツアップも利用し、リアルタイムでブルンジの現状を世界に伝えたにもかかわらず、国際コミュニティと私たちがこんなことを許してしまったのは、人間として失敗をおかしてしまった、とも云えるでしょう。現状に反対を表明し、打破する行動を取るためにあるこんにちのテクノロジーを使いこなせなかったのです。世界と国際コミュニティは、ブルンジで起こっていることに強い反対の意思表示をし、あらゆる警告も出してくれましたが、結局のところ、政府は自らの思い通りに振る舞い続けています。今のところ、誰も政権を止められません。

政府は気にしていないのでしょうか?

気にしていません。それは態度で示しています。政権は選挙を実施しました。国連、アフリカ連合、その他多くの団体から、止めろ、と忠告されたにも関わらずです。それらの団体は、ブルンジには自由で平等な選挙を実施する土壌がない、と判断しました。それでも、政権は実施したのです。

ブルンジのような国に対して何もできないのは、ある意味、国際コミュニティの無能さを示しているのではないでしょうか。

このような状況に対して国際コミュニティは、どう挑むべきかを真摯に考えなければなりません。この事態が世界の見守る中で起き、今のところ何ら対策が講じられていないのですから、国際コミュニティの平和維持に対する意識について考え直すべきだ、という現実を直視しなければなりません。私たちは、真剣に話し合いをする必要があります。ブルンジのように小さく、天然資源もほとんどない、国際コミュニティの興味を惹き付ける特徴もない国ですら、こんなことが起きるのですから、もっと大きな国であれば、同じような混乱が起きるでしょう。そうなったら、おそらくダメージも大きいはずです。

私も、そのことに触れたかったのです。ブルンジを軽視するわけではありませんが、エジプトも独裁主義になりつつあり、恐るべき事態が進行しています。西洋社会にとって、エジプトは、方策上の重要性があります。テロとの戦い、イスラエルとの同盟、いろいろな問題がありますから、どうして世界がエジプトに何もできないのか、わからなくはありません。エジプトの振る舞いを認めるわけではありませんが、なぜ、国際コミュニティがエジプトにその余地を与えているのかは、理解できなくもありません。しかし、あなたもおっしゃったように、ブルンジには、国際社会に与える影響も、自然資源もほとんどないのに、何ら対策が講じられていません。国際コミュニティの無能ぶりを顕している気がします。

そのとおりです。だから、私は、大規模かつ、高いレベルでの話し合いがなされるべきだ、と考えます。国際コミュニティが、こういった状況への対処法を大胆に変えるか、あるいは、私たちにもはや平和維持は不可能だ、と認め、自国の問題は自国で解決するよう促すか、どちらかです。これは、ブルンジだけにとどまらない問題です。

もちろん、これはブルンジの人たちにとって大問題です。しかし、何よりもまず、アフリカにとって大きな問題なのです。今年、アフリカでは、選挙がたくさん実施されます。アフリカ諸国の大統領たちはみんなこの状況に注目し、何かヒントを得ようとしているはずです。ブルンジの現状は、民主主義をいかに独裁主義に変えるか、といった独裁志望者向けの初心者講習です。これはアフリカ全体にとって危険な傾向です。もちろん、世界全体にとっても。この事態をその視点からも見つめ、これはブルンジだけの問題でない、と認識すべきです。

私たちは、今、民主主義が独裁主義に変革していく様子を目撃しているのですか。

すでに、独裁主義への移行は完了しています。独立したメディアが自由な取材を許されず、人権活動家が虐待を世界に報告もできません。2日前にムタクラ(首都内の地区)で起きたように、警察が反乱分子を探し、市民の虐殺、という人権侵害が白昼堂々繰り広げられるのです。子供たちまでも殺されたのです。そういうことが起きても、処罰されないのです。

司法が独立しておらず、機能しないのであれば、それは民主主義と呼べません。民主主義とは、選挙権があるかどうかではないのです。選挙の問題ではありません。民主主義とは、すべての市民が自分の意見を、そしてどのような方向に進みたいのか、自由に表現できる状態をいうのです。今、選択肢はありません。世界の市民としての私たちには、これを続けさせないようにする責任があります。できるだけ早く、これを止めなければいけません。今すぐに。私たちは、今すぐ行動しなければならないのです。

外にいる人たちは、ブルンジやアフリカのこの地区の過去20年の状況を見て、しっかりと事情を探らず、これらの紛争には民族間の要素があると思うかもしれません。それは正しいのでしょうか。

正しくありません。ちゃんと調べれば、そうでないのがわかるはずです。こんにち、ンクルンジザを非難する反対派のリーダーのほとんどは、彼と同じ民族です。

彼の党内で反対した政治家たち、たとえば、副大統領は彼と同じ民族です。国民議会の議長も。最も優勢な反対派であるFNLのリーダーも、彼と同じフツ族です。私たちの優れた人権活動家もフツです。彼の三度目の統治に堂々と反意を示してきた人々もみんなフツです。つまり、これは民族の問題ではまったくないのです。抗議している人たち、ずっと抗議してきた人たちには、フツとツチ両方がいます。

ンクルンジザ政権の危険なところは、権力を持ち続けるために、これを民族の問題と位置づけようとするところなのです。街で抗議をしている人たちはツチ族の住むエリアから来ている、と彼らは主張しますが、それは間違っています。まったく事実と異なります。多くの人に民族対立と思わせるよう、彼らは画策したのです。

しかし、それはうまくいっていません。今のところ、成功していません。人は賢いから、その奥を見ることができるのです。正直なところ、過去5年か10年の間に、ンクルンジザ政権に最も苦しまされたのはフツ族でしょう。彼らはこの国の大多数を占めるので、最も苦しむ羽目になったのです。

人を味方につけるために、宗教、民族、派閥を利用するのは、どんな扇動政治家も使ってきた、典型的な権力争いの手段ですね。

そのとおりです。そこにもまた、私たちのリーダーがどんな人なのかが表れています。この政権は、権力が欲しくてたまらず、国を分裂させたり、焼き尽くしてしまうような魔力を我が物にしようとします。彼らが政権にとどまる限り、ブルンジの人々ではなく、権力そのものが重視されるのです。でも、今、すべての面で人々は結束しています。