世界に広がるパリ同時多発テロの余波 シリア難民の運命

パリの襲撃犯7名全員の身元が明らかになりつつあるが、そのうち、少なくとも1人がシリア出身者であることは調査の早い段階からわかっていた。

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16 november 2015, 8:26am

Photo by Philippe Wojazer/Reuters

金曜の夜、パリを震撼させた計画的なテロ攻撃から3日が経とうとしている。既に、EU各国首脳たちの間で、責任のなすり付け合いが始まっている。難民が庇護を求めてEU諸国を自由に移動できるようにしたEUのオープンボーダー(開かれた国境)政策もなすり付け合いの1つだ。

過去1年間に渡り、迫害や暴力から逃れてきたシリア、イラク、アフガニスタンなどの難民700,000人以上がヨーロッパ各国に難民申請を提出したという。パリの襲撃犯7名全員の身元が明らかになりつつあるが、そのうち、少なくとも1人がシリア出身者であることは調査の早い段階からわかっていた。

パリ検察官フランソワ・モリンスは土曜日、スタッド・ド・フランスで自爆した襲撃犯の遺体近くでシリアのパスポートを発見した、と報告している。ギリシャ市民保護省の発表によると、パスポートの持ち主は10月3日にギリシャのレロス島を経由しEU入りした、とAP通信は報じた。未確認ではあるものの、今回の犯行に関わったとみられる男性2人がギリシャに難民申請を提出していた可能性もある。

ダウラ・アルイスラミーヤ(通称イスラム国、IS)が今回のテロ攻撃の犯行声明を発表し、オランド仏大統領は同グループに対する“容赦ない”対応を誓った。「これはテロリストとジハーディストが仕掛けた戦争行為だ」「この戦争行為は国外で準備・計画され、国内で支援を受けて実行された」と断言した。

ヨーロッパ市民が犯行に関与している、との報告もある。スタッド・ド・フランスで射殺された襲撃犯のうち1人が、パリから約30キロ南に位置するクールクロンヌ出身の30歳のフランス人男性だったと伝えられている。襲撃犯3名が住んでいたであろうベルギーのブリュッセルで、犯行に関与していると思しき容疑者数名を拘束した、と警察当局が発表した。また、11月にバイエルン州で、自動車に大量の爆発物を積載していたため逮捕された男性1名が、今回の犯行に関与してい可能性がある、ドイツ当局は公表した。

しかし、今回の襲撃犯たちの国籍にまつわる噂や憶測は、反移民やイスラム教に偏見を抱く人々の感情をさらに煽ることになった。フランスの極右政党党首マリーヌ・ル・ペンは国境管理の強化と過激派モスクの取り締まりを呼びかけた。

「フランスが直ちに国境の管理を再び取り戻すことが必要だ」と土曜の記者会で気焔を吐いた。

右派系ニュースポータルで、コンラト・シマンスキ欧州問題対応相大臣は、EU難民受入分担制度をポーランド政府はこれ以上受け入れられない、との意を表し、「パリの惨状に直面した今、われわれは難民受入分担制度の実行に政治的可能性が見いだせない」と続けた。

フランスは国境管理を再開し、国家非常事態を宣言した。

アンゲラ・メルケル独首相は、保守派から非難を受けながらも、EUのオープンボーダー政策を熱烈に支持している。政策に関して意見を求められた際、難民受け入れは「正しい政策である」と主張し、ヨーロッパの人道支援活性化を訴えた。

同時多発テロの数日前に開かれた2日間の首脳会談で、EU首脳陣は,マルタで難民の流入を食い止める施策を協議した結果、トルコに30億ユーロ(およそ4,000億円)を提供し、バルカン半島からの難民の流入を防ぎ、シリア国境からの難民を受け入れることを解決策とした。会談中、ドイツ国境を復帰させるのは不本意だ、とメルケル首相は発言した。パリのテロにより、彼女の難民政策はこれから更なる批判の対象となるだろう。

「私のこころは、“明らかなテロ”の犠牲者とその家族、そして、すべてのパリ市民と共にある」と彼女はコメントした。

一方、報道によると、カナダ首相府は、パリでテロが起きたとはいえ、同国のシリア難民25,000人受入計画を中止するつもりはないそうだ。去る9月、アメリカのオバマ大統領は、米英府による完全な身元確認と通関の手続きが間に合えば、10,000人以上のシリア難民を受け入れる、と述べた。 彼の計画も今となっては、テキサス州のテッド・クルーズ上院議員に「狂気の沙汰」と非難されている。

クルーズ上院議員と共和党大統領候補のベン・カールソン、マイク・ハッカビー、リック・サントラムはそれぞれ声明を発表し、シリア難民の合衆国入国を拒否するよう求めた。

「『穢れなき血』に飢えている者がいる」とカールソンはパリのテロ攻撃後の記者会見で、「われわれが200,000人の難民をシリアから受け入れるとしよう。もし、私がグローバル・ジハード活動をオルグするリーダーの1人であれば、私がジハード仲間を難民と共に潜入させないのは、背任行為だろう」と説明した。

米大統領選の共和党予備選候補者で支持率トップのドナルド・トランプは、テキサス州ボーモントでのキャンペーンを行った際、シリア難民とパリのテロ攻撃についての話を中心にスピーチした。

パリのテロは、アメリカがシリア難民を受け入れるべきでないことを証明している、 とドナルド・トランプはテキサスのスピーチで語った。

サウスキャロライナ州のジェフ・ダンカン下院議員も賛同

シリア難民の移住をどう思いますか?
ヨーロッパに流入する大量のシリア難民については?
テロリズムは未だこの世界に根強く生きています。

そんな中、世界中でイスラム教徒がパリ攻撃を非難している。彼らの多くが今後数ヶ月は、同情と節度をもった対応を心がけるよう呼びかけている。

イスラム教にとってのISは、キリスト教にとってのKKK。 「すべてのイスラム教徒」が「IS」なワケではないんです

この36時間以内で
#バグダッド 死者18人
#ベイルート 死者43人
#パリ 死者153人
全員が不信心者とテロリストの犠牲になった

パリのテロ攻撃をシリア難民のせいだと批判している人たちへ。
この襲撃犯たちから避難している人たちこそ、シリア難民だとわからないんですか?

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