世にも珍しい〈ペニス植物〉が25年ぶりに開花

その名もアモルフォファルス・デクス・シルバエ(名は体を表すとはこのこと)。専門家によると、この植物がヨーロッパで開花したのは3例目だそうだ。
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translated by Ai Nakayama
Tokyo, JP
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写真:LEX VAN LIESHOUT/ANP/AFP VIA GETTY IMAGES

オランダの古都ライデンの植物園で、珍しい〈ペニス植物〉が約25年ぶりに開花した。

その名もアモルフォファルス・デクス・シルバエ(Amorphophallus decus-silvae)。専門家によると、ヨーロッパでの開花は3例目だそうだ。ライデン大学植物園のウェブサイトによると、この植物は温暖な気候と適度な湿気を必要とし、栽培が難しいことで知られている。

アモルフォファルス・デクス・シルバエの原生地はインドネシアのジャングルで、最長で10年に一度しか開花しない。2015年に同植物園のボランティアが園内に植え、それから6年沈黙を貫いていたが、今年9月ついに開花の予兆を見せる。そして10月下旬ついに花を咲かせたが、開花が続いたのはたった数日だった。

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〈ペニス植物〉と呼ばれる植物は3種類あり、アモルフォファルス・デクス・シルバエはそのうちの1種だ。他には〈死体花〉とも呼ばれるアモルフォファルス・ティタヌムがある。

ライデン大学植物園がInstagramに投稿した写真では、奇妙なほどまっすぐに伸びる約2メートルの茎に咲く、50センチ程度の花が見られる。このめずらしい光景には目を奪われずにはいられないが、同植物園によると、開花時には肉が腐ったような強烈な臭いを発し、嗅覚的にも開花を伝えてくれるそうだ。

同植物園のウェブサイトでは、「雌花の開花段階中、肉穂花序というペニスの形をした白い部分が熱をもち、肉の腐敗臭のような強烈な臭いを発します。ハエやその他の送粉者はこのにおいを好み、集まってきます」と説明されている。そして昆虫たちはこの植物の花粉をつけて、他の個体へと運ぶのだ。

「この植物自体がとてもめずらしく、栽培している植物園もほとんどないため、開花の様子を観察できるのは極めて異例です」と同ウェブサイトには記されている。「花をつけないあいだは葉だけを成長させ、塊茎に栄養を貯蔵します。開花後は止まっていた葉の成長サイクルが再開します」

この植物の突飛な名前に興味を引かれ、同植物園に多くのひとびとが来園している、と温室責任者のロギール・ファン・フフトはオランダのテレビ局Omroep Westに語る。また、彼はこの植物について「そこまでペニスには似ていない」と思っているとのことだったが、のちにペニスに見えないこともない、と発言している。

「アモルフォファルスという名前は〈形のないペニス〉という意味です」とファン・フフト。「でも想像力を少し働かせると、この植物にペニスを見いだせます。長い茎、その先には葉脈が流れる苞葉。そしてその中心には硬くて白い肉穂花序がありますからね」

なお、MOTHERBOARDのメール取材に対し、ライデン大学植物園側からの返答はない。