Who Are You?: 笠原標さん(40歳) 会社員

「父が付けたんです。ご想像通り色々あだ名がありましたね。〈しるべえ〉とか〈シルベスター〉とか。通り越して〈スタローン〉も」

by VICE Japan; photos by SUSIE
|
maj 29 2015, 8:29am

先日スーパーで衝撃的な出会いがありました。安部譲二、もしくはアニマル浜口みたいな恰幅の良いおじさんがSWANSのTシャツを着ていたのです!これはマズい。これは気になる。息子さんのを着てるのかもしれない。いや、リアルタイムで聞いていたならファンもありえるゾ。Who Are You?として訊いてみたい。アニマルの秘密を知りたい。ヨシッ!声掛けよう!…と気合いを入れたんですが、あ、おヘソ。Tシャツがあり得ないほどピタT状態で、アニマルのお腹とおヘソがコントみたいに丸見えだったんですね。すいません、怖くなりました。声掛けられませんでした。自らすれ違ったままにしてごめんなさい。

日々の生活の中で、私たちはたくさんの人たちとすれ違います。でもそんなすれ違った人たちの人生や生活を知る術なんて到底ありません。でも私も、あなたも、すれ違った人たちも、毎日を毎日過ごしています。これまでの毎日、そしてこれからの毎日。なにがあったのかな。なにが起るのかな。なにをしようとしているのかな。…気になりません?そんなすれ違った人たちにお話を聞いて参ります。

笠原標(かさはら しるべ)さん(40歳): 会社員

こんにちは。ちょっと事前情報入ってまして。なんかのスポーツのジャパ~ン代表選手と聞いています。

あ、そうですね。

凄いー!なんの選手かは、あとのお楽しみに取っておいて…まずは、お名前。ステキですね!「しるべ」さん。

そう、変わった名前で。父が付けたんです。ご想像通り色々あだ名がありましたね。「しるべえ」とか「シルベスター」とか。通り越して「スタローン」も。

ご出身はどちらですか?

新潟の上越市、直江津ってところです。海のすぐそばです。

やっぱり、寒いですよね。

はい、寒いです。小学校の頃は雪が4メートルとか。雪を掘って玄関に入る年もありました。

じゃあ、雪掻きのお手伝いなんかも。

そうですね、当たり前でした。船の雪掻きのバイトとかもありましたし。積もっちゃうと沈没しちゃうんですよ。だから大雪になった日だけ電話がかかって来て出勤するんです。でも今は雪が少なくなっているようです。温暖化ですね。

高校まで直江津ですか?

そうです。

どんな学校生活を送られていたんですか?やっぱスポーツもビンビンに?

いえ、全然なんです。割と運動は苦手な方でしたから。中学のときに卓球部だったくらいで。普通にテレビ観たりの生活ですよ。

むむっ、それがなんでジャパン代表に。謎ですねぇ。

スポーツは大学からなんです。スカッシュを四年間。

あ、ではスカッシュの日本代表ですか!?

いえ、違います。

むぅ~、まだ訊きませんよ。大学は東京ですか?

はい。学習院に行ってました。

どうして学習院を選ばれたのですか?

キャンパスの場所でしょうか。都心なので…そんな感じだったと思います。

お住まいはどちらでしたか?

最初の二年間は寮だったので目白です。その後は中野に住みました。

おおー、大学の寮ってやっぱテレビとかのあんな感じなのですか?学習院だったらそうでもないかー。

いえ、そうですよ。バンカラで体育会系なノリです。大声で校歌の練習があったり、学祭ではふんどし締めて池を泳いだりとか(笑)。

ご自身の希望で寮に入られたんですか?

そうです。面白そうだし、なんたって値段が安かった。食事も付いてますしね。

お部屋は相部屋ですか?

はい。一年のときは二人部屋で、二年になると個室になります。

お相手の方って選べませんよね?仲良くなれるんですか?

自分は仲良くやっていましたが、まぁ、色々ありますよね(笑)。途中で部屋替えする人もいましたし。

チェンジあり、ですね。お部屋の間取りは覚えていますか?

はい。八畳一間で区切りとかなくて、両端にお互いのベッドと机のスペースがあって。

カーテンの仕切りとかも無かったんですか?

無かったですね。だからプライベートどころじゃないですね。

それは相当辛い!途中で帰って来られたりしたら最悪ですね。で、スカッシュを始めたきっかけを教えてください。

身体動かした方がいいよなぁって言うのと、何か新しいことを始めたいなぁって言うのがありまして。それに他のみんなともスタートラインが同じ…高校の頃スカッシュやっていた人なんてほとんどいませんから。一緒に始められるのがイイなって。

部員数ってどれくらいなのですか?

少なかったですよ。一学年10人くらいだったと思います。でも多過ぎるとコート数の関係で練習出来なくなるので丁度いい感じでした。スポーツクラブと契約して、風呂掃除をする代わりに無料でコートを貸して頂いていました。

すいません、スカッシュのルールが良く分かりません。壁をポンポンやって外すとアウトですか?

囲まれた部屋のコートに二人入ります。前の壁には必ず当てないといけません。ワンバウンド、もしくはノーバウンドして返ってきたものを相手が壁に打って、それをこっちがまた壁に打って…を繰り返します。ツーバウンドしたら相手にポイントが入ります。

横の壁に打ってはいけないのですか?

いいですが、その前か後に必ず前方の壁に当てなくてはなりません。でもこのボールって実は初めはあまり弾まないんです。ピンポン球くらいなんですけど、落としてもボトって感じで。試合前にボールを打ち込んで温めて、弾むようになるんです。それでも他のボールに比べると弾まないので、みなさんが思っているイメージとは少し違うかもしれません。

では四年間ビッチリとスカッシュをやられたんですね。

割とそうですね。うちは結構強くて、インカレ団体戦で日本一になったんです。私はそのメンバーには入れませんでしたが。

大学卒業後もスカッシュは続けられたんですか?

いえ、運動からは離れて。普通に就職しました。

どんなお仕事だったんですか?

無印良品の良品計画に入社しました。一年は店舗勤務で、そのあと食品部という部署で、お菓子とか食品の商品開発をやっていました。

あ、あのカレーとかトムヤムクンとかうまいっすよねぇ。笠原さんが開発された物を教えて頂けますか?

大体400アイテムくらい開発したんですけど、今残っているのは「ねり梅」という商品とか「ホワイトチョコがけいちご」とか。いくつかは残っているようです。

おお~、全国の無印女子による歓喜の叫びが聞こえて来ましたね。「キャー!笠原さん、アナタなの!?アナタがチョコがけ王子だったのーッ!!」で、やっぱアレすか?「ガイアの夜明け」みたいに、最後は社長が出て来て試食会とか。

ありましたね。他にも社内の人とか友だちとか、色々な意見を聞いていました。

でも他社リサーチも含めて、相当食べたんじゃないですか?

すごく食べました。太りましたし。あとスーパー回って調査したり。見つかっては「ゼミの研究を…」なんて言ってはダッシュで逃げてました。

さて、お待たせしました!そろそろのロソロソです!なんのジャパン代表ですかー!?せーのでお願いします。せーの!!

スピードバドミントンでーす。

キターッ!!…って全く分からないのですが。まずはそのミントンを始めたきっかけを教えてください。

新しいことやりたいなぁ、身体動かしたいなぁって。

スカッシュと同じですね(笑)。

ええ(笑)。それにやっぱ卓球、スカッシュとラケット系が好きなので、何かないかなぁってネットで探して見つけたんです。あとその頃はもう無印を辞めてまして、カフェを経営していたんですよ。

へぇ!どちらでですか?

曙橋です。それで店の常連さんたちに「面白いの見つけました」ってスピードバドミントンのことを話して、「一緒にやりませんか?」って誘ったんです。それで定期的にやるようになったんです。

何歳のときですか?

33歳位ですね。

スピードバドミントンを始めた頃は、日本の競技人口ってどれくらいだったんですか?

本当に数人です。でも唯一蒲田高校でスピードバドミントンをやってまして、私も最初はそこからスタートしたんです。今は四谷中学校とかの体育館を借りて練習しています。

では笠原さんがスピードバドミントンの競技人口を増やしていった感じですか?

そうですね、私と仲間たちで。色々誘って、その友だちがまたその友だちを誘って。今では私がいる新宿のメンバーだけでも100人以上になりました。そして去年には日本スピードバドミントン協会も設立したんです。

その協会も笠原さんが作ったんですか?

桑田健秀さんという日本のスポーツ界でも権威のある方が会長として設立し、自分は理事としてお声掛け頂きました。色々と動きが出て来たので、去年正式に始動したんです。

その動きっていうのは?

今までは勝手にやっていたんです。六年間くらいですね。でもどうせやるなら発展させたいという方向になりまして、協会を作って世界の連盟と繋げたり、世界の大会に参加したり、日本の大会を国際大会に承認してもらったり。そういう活動をやって行こうと。

でも最初はそんな目的ではなかったんですよね。どうですか?こんな風になって。

大変ですけど、すごく嬉しいですね。最初はなかなか競技人口が増えなかったんですよ。増えたのも、こっちの考えが変わってから…協会を始めてからです。もっと増やそう、友だちを誘おうと。それに世界大会とか国際大会にも参加出来れば、モチベーションも上がって来ますし、やる気になる人も増えるでしょうし。……だから私もこのインタビューを受けてるんです。すべてはスピードバドミントンのため!はい、もっと訊いてください!

了解!既に主催大会もスタートしているんですか?

ええ、去年の12月に初めて「JAPAN OPEN」を開催しました。

笠原さんの成績はいかがでしたか?

おかげさまでシングルスとダブルスで優勝しました。

すごいですね!

いえいえ、長くやってますし。でも最近はバドミントンとかテニスの経験者の方とかも入って来ているので、うまい人はたくさんいるんです。もっともっと日本のレベルを上げて、世界選手権で勝ってもらいたいという気持ちが強いですから、指導もどんどんして行きたいです。

ちなみに私がもしスピードバドミントンをやりたい、試合に出たいと行ったら、「JAPAN OPEN」に出られるんですか?

はい。現在は誰でも出られます。まだ少ないからですね。でもこれからどんどん増えたら、地区予選などやらなくてはならないと思いますが。

現在の競技人口はどれくらいなんですか?

東京に集中していまして3~400人、全国で500人くらいだと思います。

それにしてもこんなに夢中になられるなんて…。面白いんですか?

面白いです。とっても面白いです!!

では例によってルールを教えてください。バドミントンはなんとなく分かるのですが…。

一言でいいますと、ネットの無いバドミントンです。なので、どこでも出来ちゃうんです。5.5メートル×5.5メートルの正方形が自分のコートで、相手との距離が12.8メートル、そこで打ち合います。で、間に落ちた場合はアウトなんです。

スピードバドミントン ヨーロッパ選手権2014より

ネットが無いってことは、低い球でもオッケーなのですか?

はい、それはとても有効な攻撃になりますね。バドミントンと同じようなシャトルなのですが、もう少し重たいんです。だから初速はバドミントンと同じくらいなのですが、重い分飛ぶのでスピードと距離が出るんです。

なるほど。だからスピードバドミントン。

とにかくこのシャトルとラケットさえあれば出来るんです。いつでも。どこでも。これがアピールポイントですね。更にビーチ・ミントンとか、スノー・ミントンとか。いろんな大会が海外ではあるんですよ。

元々どこで生まれたスポーツなんですか?

ドイツです。そしてポーランドとかオランダ、スイス、フランス、スウェーデン、スロバニア…この辺りも盛んで強いです。この前のゴールデン・ウィークは初めて海外の大会…オランダの「DUTCH OPEN」に参加しました。年に17回、マスター・シリーズっていう大会があるんですね。その内の五大会がランクの高い大会なんですが、オランダ・オープンもその一つなんです。テニスでいう四大大会~グランドスラムみたいな感じですね。ちなみに今年も12月に「JAPAN OPEN」を開催するんですが、初めての世界大会、マスター・シリーズとして公認されたんです。

世界はどうでしたか?

いやぁ、やはり壁は厚かったですね。一勝五敗でした。パワーとスピードと正確さ…その辺が違いました。でもそれを感じられたから「ちゃんとやって行けば勝てなくはないな」って思いました。次はベルリンで世界選手権があるので、そこは決勝トーナメントに行きたいなって強く思っています。

練習は毎日しているんですか?

いえ、土日ですね。平日は普通に会社員していますから。でも最近はおかげさまで人も増えて来たので、練習場の確保とかが大変で。

その辺も笠原さんがやられているんですか?

はい。みんなで協力し合ってやっています。

でも選手もやって、運営もやって、指導もして…そして会社員。時間足りてますか?

そうですねぇ、ちょっとやること増えて来ています。例えば今は世界選手権日本代表選手たちの飛行機チケット取ったり、ホテル確保したり。あと次の「JAPAN OPEN」の準備ですね。前回は日本人選手だけだったので、今年は海外の選手にも参加してもらいたい。海外30人、日本人150人っていうのが目標です。海外選手とのやりとりとか、イベント企画、観光案内、宿泊手配とか…。やることいっぱいなんですけど、なかなか進まなくて。

もう完全に仕事じゃないですか!失礼ですけど、これらのお金ってどこから出るんですか?

出ないです。お金は全部自腹なんです。海外の選手もほとんどそうなんですよ。プロはいなくて。だからゆくゆくはスポンサーも付けたいし、今度の「JAPAN OPEN」は冠も付けたい。それに近い将来は日本でのアジア選手権、そして世界選手権開催も考えていますし、何よりも日本をちゃんと強くしたい。トレーナー制度も確立したいし。…本当にやることがいっぱいなんですよ(笑)。

(…ここでちょっと外に出て、スピードバドミントンやってみました。)

いやぁ~これは面白い!思ったより距離が離れてるから届かないと思ったんですが、スパーッ!っと飛んで行きますね!公園でバドミントンやっても風に流されることあるじゃないですか。あれも無さそうだし。

そうなんですよ。実際スピードバドミントンに出会った方は、「バドミントン」「風に強い」とか検索して、スピードバドミントンにたどり着く方も多いです。でも本当に流行ると思いますよ。実際ヨーロッパでは人気があるし、普通にファミリーとかカップルとかが公園でやっても楽しめると思うんです。誰でもどこでもいつでも…ですね。

スピードバドミントンへの情熱、しっかと受け取りました!では最後にアッピールありますか?

公式ページFacebookありますので、まずはチェックお願いします。そしてご興味がありましたら体験して頂きたいです。公園で楽しむのもいいし、日本代表となって戦うのももちろんです!まずは打ってください。思いっきり打てるんです。ストレス解消にもいいですよ。Facebookにはイベント・スケジュール、練習スケジュール載ってますので、ぜひぜひ遊びにいらしてください!

「Who Are You?」では、インタビューを受けて下さる方を募集しています。お名前、ご年齢、性別、ご職業、応募の動機を明記の上、こちらまでお問い合わせください。

More VICE
VICE Channels