モスル奪還への道 ② 処刑そして性奴隷にされた山民

バクダットからおよそ400キロ北西に位置するイラク第二の都市モスル。2014年6月よりISが占拠しているが、2016年3月、イラク政府は、アメリカを中心とする有志連合の協力と共にこの地の奪還作戦を開始。モスルを取り戻すことが、IS壊滅への道に繋がるのだ。シリーズ第2回。

|
14 April 2016, 8:49am

モスル(またはモースル。英語: Mosūl, アラビア語: موصل‎ )は、バクダットからおよそ400キロ北西に位置するイラク第二の都市。ニナワ州の州都で、人口は約175万人。人古代ニネヴェの遺跡と世界有数の石油生産で知られ、住民のほとんどはアラブ人であるが、周囲の地域はクルド人地域になる。そのためこの一帯はクルド人も古くから多く住み、民族的・政治的に様々な問題を抱えてきた。そして2014年6月9日、ダウラ・アルイスラミーヤ(通称イスラム国、以下IS)が、政府施設や警察署などを攻撃し、モスルを掌握。シャリーアに基づく新たな行政を開始し、現在もモスルは、ISが占拠している。

モスルは石油埋蔵量が多く、その利権を狙うISと、イラク中央政府及びクルド自治政府は、武力抗争を続けてきた。2014年末からアメリカ、イギリス、そしてフランスなども、ISへの空爆、そしてイラクとクルドに武器援助を始めたが、これまで大きな成果は上げられなかった。

しかし、2016年3月25日、イラク政府はモスルの奪回作戦を開始したと発表。イラク合同作戦司令部の声明によると、軍は、ニナワ州での制圧作戦の第1段階に着手し、4村を取り戻した。4月8日には、アメリカのケリー国務長官が、「有志連合による空爆作戦でISは弱体化している」と強調した上で、「有志連合は今後、イラク軍と協力してISへの軍事的圧力を強化していく。特にモスルの奪還は、最も重要な優先事項だ」と述べた。しかし、ISにとってもモスルは主要拠点であり、今後も抵抗を続けるものとみられ、長期にわたる厳しい戦いが予想されている。果たして、モスルの奪還は成功するのだろうか。そして対抗するISの次なる手は。

モスル奪還への戦況をレポートしたシリーズ、パート2。2014年8月、ISはイラク北西部にあるシンジャル山を襲撃。そこで生活していたヤジティ教徒は家を追われ、男性は処刑、子供と女性は奴隷にされた。特に若い女性は性奴隷として虐げられた。その後、有志連合の空爆によって、シンジャル山麓にあったISの拠点は壊滅。ISによる民族浄化に加担したスンニ派アラブ人も、現在はペシュメルガの支配下にいる。さらにシンジャル全域、そしてモスルの奪還に向けてペシュメルガは戦い続ける。

原題:ROAD TO MOSUL:PART 2(2015)