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あえて〈2番目の女〉になりたがる女性たち

交際のかたちが多様化するなかで、秘密の情事にふける〈不貞趣味〉の女性たち。魔性の女というイメージの裏に隠れた、私たちの固定観念とは。

by Abby Moss; illustrated by Kim Cowie
13 February 2020, 6:32am

ほとんどのひとにとって、パートナーの浮気は最低なものだ。実際に経験したひとも多いだろうが、パートナーの浮気の後、関係が続こうが続かまいが、裏切られたという気持ちはなかなか乗り越えられない。

しかし、誰かのパートナーを欺くタブーを、恋愛のスパイスと捉える女性もいる。特定のパートナーのいる男性を誘惑し、〈魔性の女〉と呼ばれるのを愉しむ女性たちだ。彼女たちはマッチングアプリやウェブサイトを介して相手のいる男性と知り合い、デートやセックスに誘い、パートナーを裏切って秘密のランデブーを続けるようそそのかす。このフェティッシュは〈不貞趣味〉と呼ばれており、私が取材したひとびとによれば、モノガミーの関係を築いているヘテロセクシュアルの男性を恋愛対象にしているストレートの女性に多いという。

2017年の研究によれば、浮気をするひとの数はこの10年で着実に減少し、ミレニアル世代の浮気も上の世代より少なくなっているという。これには、浮気の定義が変わったことが関係しているかもしれない。近年、オープンリレーションシップや倫理的ノンモノガミーという交際スタイルが増加しており、米国人の5人にひとりがノンモノガミーの関係を築いたことがあるという。週20万人が利用する〈3P用Tinder〉と呼ばれるアプリFeeldは、ユーザーの大半が一緒にアプリを閲覧するカップルだ。ここで重要なのは、オープンリレーションシップと浮気の違い、すなわち〈嘘〉だ。

私が初めてこのフェチについて知ったのは、ある女性が私の7年来のパートナーにFeeldでアプローチしてきたときのこと。彼女はDMで求める相手の条件を提示した。それは特定のパートナーがいて、彼女とホテルで会ってセックスしてくれる男性だ。パートナーに密会を気づかれないようにすることが必須条件だ、と彼女は説明した。さらに彼女は、自分の〈寝取られ〉を覗き見る趣味のある夫に送るために、映像を撮りたがった。

私のパートナーはその誘いを丁重に断り、DMを私に見せてくれた。私が最初に感じたのは怒りだった。同意の上なら他人のフェチを咎めるべきではないが、彼女の場合は違う。このフェチは不誠実で、誰かに精神的苦痛を与える可能性がある。当たり前だが、浮気をされる側の女性は同意していない。私はこの嗜好についてもっと詳しく調べてみることにした。このフェチには見かけ以上の何かがあるのかもしれない。それに、浮気の当事者は必ずふたりいる。ここで判断を下すのは早計だろう。

Redditのアダルト向けサブレディットには、多くの不貞趣味の女性たちがコメントを投稿している。「コソコソしたり、あのワクワク感や秘密がたまらない」とあるユーザーはいう。しかし、自らの行為への罪悪感を吐露する女性も多い。「ときどきふと我に帰る」というコメントや、「罪悪感がどっと押し寄せてくることもある」という声もあった。

私は、ニューヨークの会員制セックスクラブ〈NSFW〉でコミュニケーションディレクターを務めるメリッサ・ヴィタール(Melissa Vitale)に連絡を取った。NSFWは、必ず同意を得ることをポリシーにしているクラブだ(スローガンは「同意はセクシー」)。メリッサに、不貞趣味についてどう思うか、私のように不快に感じるのか訊いてみた。「私は、恋愛にはカルマがあると思っています」とメリッサは電話で語った。「でも、浮気は必ずパートナーの落ち度であり、いわゆる〈他の女〉の落ち度ではない、というのが私の考えです。結局のところ、責任を負うべきはパートナーがいる側なんです」

メリッサは不貞趣味を持つ女性に何度か会ったことがある。彼女自身はこの嗜好に魅力は感じないが、動機は理解できるという。「浮気とはタブーであり、禁断の関係です。魅力は浮気そのものではなく、見つかるかもしれないというスリルなんです。一種の反逆のようなものです」

メリッサは、アマンダという女性を紹介してくれた。彼女は18年にわたって様々な男性との浮気を楽しんできたが、2年前にすっぱりとやめた。今は倫理的ノンモノガミーの関係だけを築いているという。私のパートナーを誑かそうとした不貞趣味の女性のことを打ち明けると、私のような怒りに満ちた反応は嫌というほど見てきた、とアマンダは語った。

「最初は激怒するのが普通です」と彼女はメールで述べた。「『どうして他の女にそんなことができるの?』というセリフは何度も聞きました。浮気をする側が悪いことはずっとわかっていました。私も浮気の共犯者のような気でいたけれど、結局は彼らと元のパートナーの問題なんですよね」

では、彼女にとって、浮気相手でいることの魅力は何だったのだろう。なぜアマンダはパートナーのいる男性たちと何度も関係を持ってきたのだろうか。「この関係の刺激になるのは、見つかるかもしれないという不安、または浮気相手とそのパートナーの秘密を握っているという不安です。それがセックスそのもの以上に深い関係を生み出すんです」

私はゲイ、クィア、ノンバイナリーの友人にも、不貞趣味について訊いてみたが、このフェチはヘテロノーマティブな関係に限られるらしい。アマンダの場合もそうだ。彼女が約20年で関係を持ったのは、ヘテロセクシュアルでおそらくモノガミーの男性ばかりだった。

セックスコーチ/性教育者のジジ・イングル(Gigi Engle)は、著書『All the Fucking Mistakes: a Guide to Sex, Love and Life』でフェミニストセックスや女性の快感、ダブルスタンダードについて解説している。彼女に不貞趣味やその嗜好に惹かれる女性について、見解を求めた。「そもそも〈他の女〉という概念は、男性の性衝動は抑え込んだりコントロールできないとする社会通念から生まれたものです」と彼女はメールで説明した。「もちろんそんなことはありませんし、私たちは誰しも交際において自分の行動に責任を負うべきです」

セックスの話題になると、世間はいまだに女性を非難したがる。女性は、男性よりずっと性にまつわる汚名を着せられる可能性が高いのだ。Feeldの女性を真っ先に悪者扱いした私自身も、この思考に陥っていたという点で非があることに気づいた。男性も同じように自らの意志で行動したにもかかわらず、女性にすべての責任をなすりつけるのは、明らかに間違っている。パートナーを欺く行為は決して褒められたことではないが、魔性の女という時代遅れなイメージは、改めて見直す必要がある。その手段のひとつが、不貞趣味なのかもしれない。

@mossabigail

This article originally appeared on VICE UK.

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