『Dugma: The Button』予告この作品では、殉教志願者たちの「人間性」を描写しようとしたのでしょうか?最初に現場入りしたときは、自爆犯をテーマにしようとはしていませんでした。ヌスラ戦線の下級戦闘員たちの姿を映したかっただけなんです。可能な限り密着し、彼らの心理を把握できれば、と考えていました。だから今の質問についての答えは、ある点ではイエスですね。でも、もっと自由な気持ちで向かったんです。例えば、自分の目の前で、彼らが誰かを処刑したなら、私はカメラを向けるのに、何のためらいも抱かなかったでしょう。『セサミストリート』みたいな作品にしたかったわけではないので。組織には、どうやって接近したんですか?就活みたいでしたよ、本当に。履歴書などの資料を組織に提出しましたから。また、2010年に、タリバンに関するドキュメンタリー『Behind the Taliban Mask』を発表したのですが、そのなかでは、タリバンの人間性を中心に撮りました。ですので、それについてもプレゼンテーションしましたね。あとは、2011年にアメリカ軍がウサマ・ビンラディン(Osama Bin Laden)を殺害した後、彼の隠れ家から大量の手紙が発見されたんですが、そのなかにアルカイダ広報担当者からの手紙があり、彼が推薦するジャーナリストの名簿があったんです。そこには私の名前もあったので、それも今回のコンタクトにも役立ちました。ドキュメンタリーの内容について、ヌスラ側から圧力はありましたか?全くありませんでした。好きなようにしろ、と。客観的な作品を望んでいたみたいです。例えば、私たちがいた場所の近くを有志連合が空爆したときに、ある男が怒りながら叫んでいました。「住宅地を空爆してるぞ!」と。すると別の男が来て、「本当のことをいいなさい」と、言葉の訂正を促したんです。実はそこには軍の基地もあったんです。訂正を求めた男はヌスラ戦線の指揮官でした。ヌスラのプロパガンダができるチャンスだったのに、全くしようとしなかった。正直でありたかったんでしょう。