変態する植物と人間の共通点を探る哲学的な映像

『植物の変態(Metamorphosis of Plants)』は、われわれがほとんど目にする機会がない植物の動きと、高度な訓練を受けたバレエダンサーの動きを融合した美的実験であると同時に、植物的生と人間的生を繋ぐ見えない紐帯を省察する哲学的実験でもある。ウルスラ・ザヤチュコフスカは「変容」を通じ、種を超えた結びつきを探求しているのだ。

|
11 April 2016, 8:19am

Metamorphosis of Plants from Ula Zajączkowska on Vimeo.

ポーランドの植物学者、ウルスラ・ザヤチュコフスカ(Urszula Zajączkowska)による『植物の変容(Metamorphosis of Plants)』は、人間と植物、パフォーマンスと植物学の幻想的なコラボレーションだ。科学者であり映像作家であるザヤチュコフスカ監督は、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテによる『植物変態論』の頌歌としてこの作品を制作した。4分半の動画は、2年にわたって彼女が育てた植物の成長に加えて、舞踏家パトリック・ワルチャクが表現する「人間の動き」と「植物の動き」の関連性に焦点が当てられている。

Screengrabs via

映画学校に通った経験もあり、『植物の変容』では監督を務めたザヤチュコフスカだが、彼女はあくまでも植物学者だ。彼女は、「変容」する植物の映像を、研究の一環として2年に渡って撮り続けた。この映像作品は、美的価値だけでなく、彼女の研究にも寄与している。2015年、ザヤチュコフスカは、カボチャ属の葉柄に生えたトリコームが静水圧を維持しているのを、まさにこの「変容」で使用されている映像で証明した。

トマシュ・ゴゴレウスキーが撮影したバレエダンサーの動きと植物の動きが相俟って、作品全体に珍妙な崇高さが溢れている。演出、組み合わせは、珍奇で斬新だ。「植物の世界にある不確実性に対する私の感動を、この映像は表現しています。人間と植物にはたくさんの共通点があります」。ザヤチュコフスカの考えはあくまで詩的だ。「ただ、身の周りの全てを擬人化してしまう人間の洞察力はどうかと思いますし、とても傲慢です。どうして植物が人間に似ていなければならないのでしょうか。とはいえ、そんな洞察力があるからこそ、植物の葉を腕に、先端部を頭に例え、茎が『わざわざ』太陽の方を向くように動いている、と発見できたんです。植物の向日性が本当だなんて、なかなか信じられません」

ザヤチュコフスカは、映像を通して植物の生を「賛美」している。「変容に登場した植物はすべて枯れてしまいました。『利用』されて、死んだのです」と語る監督の口調は重々しい。「科学的研究では、多くの植物がなんの感慨もなく殺されています。しかし、そうだとしても、写真、顕微鏡のスライドで、部分的にであれ永遠の命を与えられます」

『植物の変容』は、ほとんど見る機会がない植物の動きと、高度な訓練を受けたバレエダンサーの動きを融合した美的実験であると同時に、植物的生と人間的生を繋ぐ見えない紐帯の哲学的省察でもある。ザヤチュコフスカは「変容」を通じ、種を超えた結びつきを探求しているのだ。