Who Are You?:イ・ランさん  シンガー・ソングライター

「それはギャグですよ。植民地ギャグ。でもね、植民地が終わって、そのあと軍隊政治が始まった。今も韓国の文化のどこかに軍隊文化が残っています」

|
sep 16 2016, 7:46am

近所の神社でお祭りがありました。キッズやらカップルやらたこ焼き屋やらケバブ屋らでごった返す中、社務のあたりで清楚なひとりの女性が。おおー! 御朱印!! 御朱印ガールですよ!! いただいた御朱印帳を大事にトートバックにしまうガール。射的なんか目もくれずに神社を後にするスーパーガール。今日はどれだけ回るのでしょう? まだまだ残暑続きます。お気をつけてー!

日々の生活の中で、私たちはたくさんの人たちとすれ違います。でもそんなすれ違った人たちの人生や生活を知る術なんて到底ありません。でも私も、あなたも、すれ違った人たちも、毎日を毎日過ごしています。これまでの毎日、そしてこれからの毎日。なにがあったのかな。なにが起るのかな。なにをしようとしているのかな。…気になりません?そんなすれ違った人たちにお話を聞いて参ります。

イ・ラン(い らん)さん:シンガー・ソングライター

本日はソウルからわざわざありがとうございます。よろしくお願いします。

はい、よろしくお願いします。韓国にはVICEないですよ。

そうですね。中国にはありますけど。

やっぱり韓国はいい物がないですね(笑)。

いきなり(笑)。

(VICE Japanサイトを見ながら)ああ、植野さん(テニスコーツ)も出てるんですね。

今回の来日で植野さんとは会いました?

今回はまだ会ってないです。人と会うのが苦手で。人見知りするんです。

あ、エッセイ読ませていただいたんですが、そこにも書いてありましたね。嫌いな人に会うと、アゴが痛くなるって。もう痛くなってます?

今は大丈夫。仕事ですから。

仕事だと痛くないんですか?

痛いけど、我慢できるくらいの痛さです。

(笑)。これ以上痛くならないように頑張ります。それにしても日本語がお上手ですね。どこかで勉強したんですか?

スマスマ。

へ?

韓国でスマスマ観ていました。あとロンドンハーツですね。

SMAPが好きだったんですか?

いいえ。料理、オイシソーだから(笑)。それをめちゃくちゃ観てました。だから、フードの単語から覚えたり。

すごいですね!

あとは、4年前に初めて日本に来たんですが、色んな人と会って話したり。それに日本に留学した友達からも勉強を教えてもらいました。

もともと日本には興味があったんですか?

漫画とか読んでましたからね。韓国には日本の漫画たくさんあるから。韓国のオリジナル漫画はあんまりなくて、みんな日本の漫画を読む。『20世紀少年』とかね。それか『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』とか『エヴァンゲリオン』とかですね。

初めて来日したときの印象はどうでしたか?

東京はキレイでびっくりしました。本当にソウルはゴミだらけ(笑)。普通に道にタバコをガンガン捨てるから。あとキャンディーとかもね。「パーン!」って。

キャンディーは飲み込むものでしょう(笑)。

じゃあ、ガムとか「パーン!」って。韓国は道にめっちゃ捨てるから。

ご出身はソウルですか?

はい。ソウルで生まれましたが、近くのキョンギド(京畿道)というところが一番長かったですね。そのあと大学に入ってから、ソウルに戻りました。

キョンギドってどんなところなんですか? 田舎なのかしら?

田舎じゃないですよ。ソウルを囲んでいる地域です。ソウルは小さいから、アパートとかマンションとか、団地とかがキョンギドにある。ニュータウン。同じ風景で、ショッピングモールとかがあって、私も子供のときは高層マンションに住んでいました。ソウルは古いけど家賃は高い。

「高校卒業したらソウルに行くぜ!」みたいなノリなんですか? 「東京行くぜ!」「大阪行くぜ!」みたいな。

ソウルは遠くないですから。韓国は狭いじゃん。1日でソウルに行ったり来たりできる。プサン(釜山)に住んでても、新幹線みたいな電車に乗って、遊んで帰るんです。

小学校のときのイ・ランさんは、何をして遊んでましたか?

小学生…。私は小学生のときは、オ…オラク…? えっと、エンターテイメントですね。日本語でなんていうの?

娯楽かな?

はい、それですね。娯楽部長だった。

何ですか? 娯楽部長って(笑)。

クラスの楽しみの部長。

それは何をするんですか?

休み時間にモノマネしたり。

誰のモノマネですか?

先生のですね。10人の先生のモノマネしてた。

その中で一番得意なやつとか今も出来ます?

出来るよ。その先生は、呼び方がめっちゃうるさかった。「イ! ラーーーーーーン!!!!」

わかりませんが、すごく力強いですね。知ってる人だったらドッカンドッカン受けてるところですか?

うん。

人気者だったんですね。クラスの中心的存在。

そうですね。リーダーだった。勉強もできたし、強かったと思います。

初恋とかも小学校くらいのときでしたか?

初恋?

ファーストラブ。

ファーストラブ?

そう、一番最初に好きになった男の子のことです。

あんまりいなかったですけど、みんなは私に手紙をいっぱいくれました。「結婚してください」みたいな。

モテモテじゃないですか! その中にステキな男の子はいなかったんですか?

あまりいなかったです。私は強い男が好き。神さまみたいな人が好き。

ん? 神さまですか?

はい。

それは今もですか?

今も。

そうですか。じゃ、中学生活はどうでしたか? 部活とか。

韓国は部活がない。高校もあんまりないですし。

じゃあ、みんな学校が終わったら何をしてるんですか?

塾ですね。

ああ〜、みんな行ってるんですか?

小学校からずっと塾ばっかり。私はあんまり行ったことないですけど。

成績優秀のリーダーですものね! じゃあ、何をしてたんですか? モノマネの練習?

図書館みたいな勉強室っていうところがあるんです。雑居ビルの中に机がめちゃくちゃあって、そこでひとりで勉強するの。1か月分の使用料を払って。親にいって、そのお金を貰うんですけど、私はカラオケに行ったり、ゲームに行ったり、カフェに行ったりしてた。

あら! 悪い子じゃないですか。

何が悪いの(笑)? 遊んでるだけだよ?

だって、お母さんからお金貰ってるんでしょ? お母さんは勉強すると思ってますよ。

だって、いつも勉強上手だったから。学校で勉強してたらわかるでしょ(笑)?

ちょっとムカつく子だったんですね。じゃあ、韓国の子はスポーツもしないのかしら?

あんまりしてないですね。

キム・ヨナとかはどうしていたのかしら? 英才教育ですか? あ、イ・ランさんに訊くことじゃないか。

キム・ヨナは私のところに住んでいて、弟と同じ学校でした。

あの子可愛いですよね。

うん。可愛いでしょう? それに偉い。

やっぱりキム・ヨナは国民的スターなんですか?

そう、そう。今は化粧品のモデルをやったり。

やっぱりイ・ランさんも「浅田真央なんかやっつけろ!」とかって?

あんまり興味がない。韓国と日本がサッカーやったら「ワーッ!」ってなるじゃん? なんでよ、意味ない、意味がわからない。そのときだけ「日本許さない!」とか。いつもはそんなこと考えてない人たちまで「日本倒せー!」とか。

イ・ランさんの周りのお友達もそうなります?

あんまりいないですね。やっぱり、おじさんとかが多いのかな。浅田真央も可愛いのにね。やっぱり植民地だから。

そんなこといってー。

それはギャグですよ。植民地ギャグ。でもね、植民地が終わって、そのあと軍隊政治が始まった。今も韓国の文化のどこかに軍隊文化が残っています。映画とか、会社とか、上下関係とかも全部。雑誌の会社とかも軍隊文化ですよ。だから植民地ギャグをつくらなくちゃいけない。

徴兵もありますよね。あれって2年でしたっけ?

はい、基本は2年ですね。行かなかったら刑務所。

恋人同士とかってどうなるんでしょう? 女性にとって、待つのは当たり前のこと?

私は兵役の終わった人とだけ付き合ってきた。待ってることができないから。だいたいは彼氏が軍隊に入ったら別れるね。

別れるのが当たり前なんですか?

うん。だって会えないでしょう? 男の子が軍隊に入ったら、みんな変わって帰ってくるし。

え? 変わって?

軍隊の文化は辛いでしょ。だから弱くなる人もいれば、マッチョになる人もいる。みんな色々変わるんですよ。自殺もめちゃくちゃあるし。軍隊に行きたくない人は、行かない方法を色々探します。精神病になって行かないとか。タトゥーがいっぱいあったら行かないとか。歯が何本か無かったら行かなくていいってワザと抜いちゃったり。色々やるよ。ダイエットやって、ガリガリになったり、身体検査に行くときに女の子っぽくしたりする。トランスジェンダーのフリ。

でも行かないと、いい会社に就職できないとか。

そう、そう。でも芸術家とかはあんまりそれを気にしないから。軍隊に反対しますって、わざと刑務所に行く人も最近はいますね。やっぱり韓国は、軍隊文化が一番問題。

でも、韓国にいたら当たり前のことですよね? イ・ランさんはいつ「あれ? なんか違うな」って思ったんですか?

私は小学校のときから学校が大嫌いだったから。

あれ? 娯楽部長なのに(笑)?

学校に行ったら娯楽部長ですけど、帰ったら行きたくない気持ちになる。厳しくて、学校で運動時間とかあるじゃん。それも軍隊文化ばっかりで。北朝鮮みたいにマスゲームとかもやったりするから。中学校のときまではわからなかったけど、高校は2週間くらいで辞めました。色々なチョイスがあることを知ったので。

お母さんはなんかいってましたか? 怒った?

いいえ。私が毎日泣いて「行きたくない、自殺する」とかいってたのを知ってたので。

高校を辞めてからはどうしたんですか?

高校の卒業資格がもらえる検定試験に受かって、あとは仕事を始めました。雑誌で漫画の連載をしてたんですよ。

いきなり漫画家ですか! どういった経緯で?

お姉ちゃんがある雑誌を読んでいたんです。中学生のときからお姉ちゃんと一緒に読んでて。その雑誌は、5人くらいの人がつくった雑誌で、その担当者さんひとりひとりのキャラが強かった。私が好きな人は漫画担当で、その人に漫画を見せたくて、手紙でずっと漫画を送りました。そしたら、その人が私の漫画をスキャンして、ウェブサイトに出して、それでどんどん仕事になった。

すごいですねー! でもイ・ランさんみたいな10代を送っている子って周りにいました? 大人の人から「ちゃんと学校に行かなきゃだめでしょ」とか?

あんまり人の話を聞かないから(笑)。いつも年上の人と遊んでいたし。

恋はいかがでしたか? 神さま、現れた?

神さまではない。普通の人ですけど、10歳年上の人と恋愛を始めました。その人が私を育てた。一緒に住んでいました。

どんなデートをしていましたか?

一緒に住んでいたから、デートとかは無かったですけど、映画会社の人だったから、私もその人の会社に行ってました。会社のどこかで寝たり、遊んだり、食べたりして。

会社で飼ってる猫みたいじゃないですか。週末に持ち回りで家に連れて帰る猫。来るな、とかっていわれなかったのですか?

なかったです。なんとなくそういう風になった。その人とは4年くらい付き合ったんですけど、その会社は映画のDVDをつくる会社で、映画をどうやってつくるのかを見たりしてました。映画監督さんたちが編集とかに来ていて、それを見てた。そこで映画に結構興味が出てきて、大学の映画科に入学したんです。合格パーティーもその会社でしましたね。

美術大学に入ったんですか?

韓国芸術総合学校という韓国で一番有名な芸術大学です。

おお、スゲエ! やっぱ頭いいんですね! でもまだ音楽は出て来ませんよね。どんなきっかけで音楽を始めたんですか?

音楽は大学に入ってからなんですけど、まず最初に付き合ってた彼氏と別れて。

あらー、10個上の手取り足とり教えてくれた人でしょ? なんでー?

大学には若い男ばっかりいるでしょ?

アハハ! やっぱ若い男の方が?

そう、そう。その人がギターを持っていて、ギターを借りて歌い始めた。でも歌とか音楽は、それまで全然聴かなくて、知ってる音楽が無かったから自分で始めました。そして、友達にあげるためにGarageBandでアルバムをつくったんです。

漫画、映画、モノマネ、そして音楽! マルチですねぇー。

ああ、私踊りもできるよ。

そっから一気に話題になり、ファーストアルバム『ヨンスンスン』でブレイクでしょ? 状況の変化にびっくりしたんじゃないですか?

いや、わかりません。まわりの反応とか、あんまり興味がなくて。

あんまり興味がない?

私が楽しんでつくったから。私の音楽を聴いてくれるのは嬉しいですけど、その人たちのために何かしたいとかは…。

でも、ライブをするでしょう?

あんまりしない。初めてのライブはお金のためにやりました。そのときは本当に貧乏で、銀行の残高がゼロになった(笑)。

7円とかはありましたけど、ゼロは見たことないですね。

ゼロになって、「どうしよう?」と。「そうだ! ライブとかで歌ったら、お金貰えるんじゃない?」って歌いました。

貰えました?

貰えないよ。ビールだけだよ(笑)。びっくりした。それで「5千円くらいあげます」っていうカフェとか、イベントとか小さいフェスティバルとかで歌い始めました。5千円のために始めた。お客さんはいませんでしたよ。

でもアルバムをリリースして変わったでしょう?

そうだけど、それのためにライブをしなくちゃいけません。だから1年半くらいやって、そのあとはおやすみしましたよ。

今は貧乏じゃないんですか?

今は貧乏じゃない。色々仕事があるから。映画をつくるし、映画の授業も教えるし、ワークショップをやったり、漫画を描いたり、本も書いたり。

さっきもいったんですが、エッセイが本当に面白かったです。セカンドアルバム『神様ごっこ』に付いてるんですよね。自分のことをすごく書いてるけど、それって他人がいないと成り立たないと思うんです。人を見るのは好きなんですか?

うん。好き、好き。この人はなんでメガネかけてる? なんで服はそんなかな? どうしてそんな靴を履く? なんでそんな髪の毛? みんな理由があるよ。それを見ることが好き。今はみんなケータイをめちゃくちゃ見てるでしょ、だから私も人を見ることが楽になった。見やすくなりました(笑)。

書くことも好きだったんですか?

はい、ずっと。メモをたくさんするから手帳が多くなりました。前は画家になりたかったから、人をスケッチしていたけど、今は文章だけ。知らない人たちの話も参考になりますよ。

確かに! でも怪しまれないように気をつけてくださいね。ちなみに今回のアルバムもGarageBandでつくったんですか?

いいえ、これはちゃんとセッションしました。デモは全部GarageBandでつくって、それをレーベルの社長さんに聴かせたんですけど、「これだと一枚目と同じになるから、今回はセッションしましょう」って。「なんでセッション? 要らないでしょ!」といったんですが、やったらびっくりした。

びっくりした(笑)?

めっちゃ良すぎてびっくりした。知らなかった。GarageBandは私の一番の友達だったから。ちゃんと本物のチェロとか入ったらすごかったです。

でも、イ・ランさんのイメージを演奏者の方に伝えるのは難しかったのでは?

いいえ。みんな上手だから、イメージ通りに。鳥肌が立った、って日本ではいうんですよね。GarageBandはダメね。説教した(笑)。

『神様ごっこ』の韓国盤は、エッセイ本+ダウンロードでリリースされたんですよね? 日本盤ではCD+エッセイ本ですけど、韓国にはもうCDが無いんですか?

ほとんど無くなりましたね。みんなグッズでつくる。ダウンロードコードとバッグとか、ダウンロードコードとテープとか。あと写真集、Tシャツとダウンロードコードとか。

CD屋さんとかあるんですか?

レコードショップはどんどんなくなっちゃった。昔からあったところもなくなった。でも本屋さんで売ってますよ。

ソウルでは、そういう本屋さんだったり、若い人たちがやってるような面白いお店って増えてるんですか?

はい、増えていますよ。前はカフェが人気だったけど、今は狭くて小さな本屋が人気。でも韓国は、人気のものが1年〜2年ですぐ変わるから、お店もすぐ変わります。

へえ〜。なんででしょうね。

韓国人の特徴。飽きっぽい。韓国人は鍋に例えられます。「ワッー!」と熱くなったら、「ワッー!」と冷たくなる。

その鍋はルクルーゼではないんですね。そういえば、アゴは痛くなってませんか? 大丈夫ですか?

まだ大丈夫ですよ。

エッセイには、「ソウルから離れるとアゴが痛くなくなる」とも書いてありましたが。

ソウルは変なんですよ。「ヘル朝鮮」って知ってる? 韓国のニックネーム。

ヘルって、HELLですか? 地獄?

知らないの? みんないってますよ。起きたら「あーやっぱりヘル朝鮮だ…」とか。

どういうことですか(笑)? 生活しにくいとか、住みにくいとかそういうことですか?

文化もすぐ無くなるし、伝統も無くなるし、軍隊文化で、マッチョで、好きなお店もすぐ無くなる。心が傷つく。「今日もヘルだ」って。私はいつか「ヘル朝鮮ガイドブック」をつくります。ここがなんでヘルなのかを説明したい。

ヘル朝鮮だってことを韓国の人は、みんな気付いてるんですか? そんなことないですよね?

いいえ、みんなヘル朝鮮っていってます。

じゃあ、みなさん、韓国のこと嫌いなんですか?

辛いの。嫌いじゃなくて辛いの。韓国で生まれたのにヘル朝鮮でしょう? だから辛いの。私の仲良しの友達が自殺したり、外国に移住しちゃったり、どんどん寂しくなるから。韓国は自殺率1位でしょう? ヘルなのにK-POPとかアイドルを見て楽しんでるし、本当に辛い人たちが、もっと辛くなって自殺する。

イ・ランさんは韓国の状況をどう考えていますか?

めちゃくちゃ変だけど、変になったのには理由があるから。植民地とか戦争とか、軍隊政治とか。そこをもっと考えること。もちろん、辛いけど面白いこともあります。例えば私は韓国語が大好きなんです。韓国語は本当に表現できる言葉が多くて、その言葉で作品をつくりたいから、私は外国には行かない。ヘル朝鮮みたいなスラングをつくるのもめっちゃ上手。もともと、みんなギャグが好きな人たちだから、ヘル朝鮮とかの言葉をきっかけに、話したりできると思うし、そういう人も増えている。

全然、知らなかった。

軍隊政治でコメディとかも無くなって、テレビでは、本当に馬鹿みたいなコントしかやらない。前は漫才とか、ひとりでやってるコメディアンの人も多かったけど、今は全部無くなった。コメディアンの人たちが話すだけで色んな文化があったのに。変なこと、面白いこと、テレビから無くなりました。

歌ったり、詞を書いたり、エッセイを書いたり、っていう表現はどうなんですか?

もちろん出来ますけど、今回のエッセイの内容はテレビでは無理。

放送に乗っちゃうとちょっとダメですか?

面白い人たちがテレビに出られない。テレビはK-POPアイドルばっかり。私が好きな韓国のインディーのミュージシャンの人たちは、ブラックコメディみたいなことを歌う人たちだから出られない。もし、番組に出たら歌詞を全部変えて歌う。もともとは「ファッキン」とか「ヘル朝鮮」でも、「美しい朝鮮」とかに変わっちゃうから、私は番組に出たくないです。あと私は、テレビドラマの台本もつくりますが、大きい会社からお金をもらってつくる台本は、「コンドームダメ、セックスダメ」とか、色々ダメなことばかり。それで「30代のシングル女性の話をつくってください」って、何の話をつくればいいの(笑)? セックスなし、コンドームなし、だったら何するの? それでご飯を食べてばっかりのドラマになる。

30代女性のひとり暮らしは、食べてばかり? あとはエステとか?

あとはおしゃべり。その話の中にもセックスはダメ、男の何かもダメとか。みんな馬鹿じゃない? でも私は韓国人が好きですよ。

人は好き。

はい。ヘル朝鮮のことをギャグで話ができる人が多いから。それで本も書いたり、出版もできますからね。

最後に目標というか、夢見たいなものがあったら教えてください。

神さまと会うこと。そして神さまになること。

ああ、まだ神さまに会ってないんですね。さらに神様になりたいと。教えてください。

本にも書きましたが、できることがたくさん。時間があればもっと色々やりたいことがある。でもリミットがあるじゃん。明日死ぬかもしれないし。リミットを考えることが大嫌いです。永遠になりたいから神さまになりたい。

エッセイでは、死にたい、死にたいっていってましたけど、死にたくはない?

全然、死にたくない。死にたくないから、自殺したいと思う。

でも自殺しちゃたら、イ・ランさんが飼っている猫「ジュンイチ」が困る。だから延期するとエッセイに書いてありました。ジュンイチにゴハンあげないといけない。ゴハンを買うにはお金を稼がないといけない。だから働かないといけない。そして生活が続く。ならば、何をしようか? 延期をしてる間に何をしようか? と。面白かったです。

ありがとうございます。

ジュンイチに迷惑をかけないで死ぬには、やはり色々準備が必要ですね。

ああ、それを今書いてます。ジュンイチは誰にお願いするか、遺産は誰にあげるか、パソコンの中の文章はどうするか。それを考えるのが面白い。どんどんあげる人が変わっていくので。

やっぱ信用できないから、ジュンイチはこっちにしよう、みたいな?

そう、そう。ジュンイチはみんなが欲しいからね(笑)。ちなみに今は、最初の彼氏にジュンイチ。私が旅行したとき面倒を見てくれたからね。お金はお母さん、パソコンの中の文章はレーベルの社長さんに。音楽もめちゃくちゃ入ってるからね。えっと、この前友達が自殺したんです。

男の方ですか?

うん。家に行って物とか貰って。でもそのパソコンの中にAVがめちゃくちゃあったんですよ。全然、掃除しないで死んじゃった。

貰ったんですか(笑)。

私じゃなくて男の子がね。それでめっちゃ笑った。その人の日記もあったんだけど、馬鹿な話ばっかりで。「なんで僕には彼女ができないのか?」とか。なんで掃除しないで自殺したんだろう? 私なら全部掃除するのに。ああ、でも手帳はIN THE FIREね(笑)。

手帳だけはマズイと?

悪魔手帳ですからね。誰かにTwitterにあげられたら自殺してしまう。

あ、自殺の理由ができちゃいましたね(笑)。

でもジュンイチいるからね。生きられるかもしれない(笑)。

なんだかんだ、毎日が楽しそうですね。

全然ヘルだよ。ヘル朝鮮の話するのが楽しい。

「Who Are You?」では、インタビューを受けて下さる方を募集しています。自薦、他薦、構いません。お名前、ご年齢、性別、お住まい、ご職業、応募の動機を明記の上、こちらまでお問い合わせください。

More VICE
VICE Channels