パソコンにステッカーを貼る危険性

国境検問所からハッカーの祭典まで、ビットコインのロゴや政治的なメッセージのあるステッカーは、あなたを危険にさらしているかもしれない。
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translated by Nozomi Otaki
パソコンにステッカーを貼る危険性

ハッカー、ジャーナリスト、技術者たちは、自分のラップトップをステッカーで埋め尽くすのが大好きだ。有名企業に務めることを自慢したり、セキュリティに関するワークショップに参加したことをひけらかしたり、ビットコインへの興味を示すひともいる。

もちろん、どんなステッカーを貼るかは個人の自由だ。しかし、ステッカーだらけのパソコンは、当局やコンピュータ内の機密情報をつけ狙うハッカーの餌食になったり、トラブルの原因にもなりうる。

「会議、国境検問所、空港、公共の場では、ステッカーは、オポジション・リサーチ(訳注:対立する相手にまつわるネガティブな情報の収集、調査)や産業スパイ、法的審査や調査の対象にされる原因になるかもしれません」とチャットで説明してくれたのは、テック系NGO〈Tactical Tech〉でネットの安全性・プライバシー部門の責任者を務めるマット・ミッチェル(Matt Mitchell)だ。

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ミッチェルによると、例えば政治的なステッカーを貼っているひとは、国境検問所で二次的な検査の対象になったり、足止めを食らう可能性があるという。ミッチェルの友人のハッカーは、ステッカーが原因でフライトを逃してしまったそうだ。

多くのひとが、毎年開催されるハッカーの祭典〈DEF CON〉などのイベントに、閲覧できる情報やアカウントのアクセスに制限のある、使い捨てのデバイスを持ち込む。そのデバイスが盗まれたり、ウイルスに感染したとしても、犯人は、漏洩が想定されている情報しか得ることができない。それでも、主義や所属を表すステッカーによって自分自身を危険にさらすのは、決して良いアイデアとはいえないだろう。

ミッチェルは、飛行機のなかで、DEF CONに向かうであろう、あるメディア機関のステッカーを貼ったひとを見かけたことがあるという。「このひとは、旅行用らしいChromebookを持っていました。それにメディアのステッカーを貼っていたんです」。ミッチェルは、そのラップトップの写真もMotherboardに送ってくれた。多くのジャーナリストのパソコンには、記事のネタ元となる情報が入っている。彼らのパソコンは、高度な技術を持つ犯罪者でなくても、嫌がらせやその記者の生活を困難にしようと企んでいるひとにとっては、魅力的なターゲットになりうる。

もちろん、全ては、あなた自身の危機管理や犯人の動機次第だ。匿名のネットワーク〈Tor〉に携わる団体を運営するモリッツ・バートル(Moritz Bartl)が自身のTwitterで明かしたところによると、彼のバンが車上荒らしに遭ったとき、唯一盗まれなかったのはステッカーを貼ったラップトップだったという。

「警察は、転売するのが難しいから残されていたんだろう、と考えていた」とバートルは述べている。つまり、転売目的のケチな犯人は、ステッカーまみれのパソコンは選ばないのだろう。

それでも、ステッカーを見せびらかさないほうが身のためだ。

「ケースを買って、それにステッカーを貼りましょう」とミッチェル。「旅行するときは家に置いていくか、何も貼ってない別のケースと交換すればいい」。ミッチェルは、DEF CON以降使っているというパソコンの写真を送ってくれた。まっさらで、彼自身の所属を表すものは何もない。

「自分らしさを表現したり、楽しむのはいいんです」とミッチェル。「どのNPOやオープンソースプロジェクト、監視の目を逃れるテクノロジーを支援してもいい。ですが、何事にも犠牲やリスクは付き物です」

This article originally appeared on VICE US.