デモと新型コロナウイルスに大打撃を受けた、香港のナイトライフの今
レディースナイトである木曜も、ほとんど客足のない蘭桂坊のメインストリート。普段ならこの時間帯はハッピーアワーを利用する大勢の客で賑わっている。
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デモと新型コロナウイルスに大打撃を受けた、香港のナイトライフの今

民主化デモに続き、新型コロナウイルスの感染拡大によって、香港の夜の街はいまだかつてない苦境に立たされている。
17 March 2020, 8:11am

金曜の夜、いつもなら香港、蘭桂坊(Lan Kwai Fong)は騒がしく、汚く、数千人のパーティー好きで朝まで大騒ぎのはずだった。しかしここ2ヶ月、蘭桂坊中心部の徳己立街は、長引く政治的な混乱と新型コロナウイルス感染拡大による影響の象徴となっている。年間を通して屋外パーティーを繰り広げるこの地区の評判に貢献してきた、通り沿いに立ち並ぶ数多のバー、クラブ、有名なセブンイレブンは、今やどこも閑散としている。

Empty Streets Show the Negative Effects of Protests and Coronavirus on Hong Kong Nightlife

LFKの人影のない通り

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最近閉店になったばかりの蘭桂坊のバー

付近のソーホー地区も同様だ。おしゃれなレストランの前には、長蛇の列もなければ、音楽が聴こえてくることもない。多くのイベントがキャンセルになり、閉店を決めた店舗もあり、通りは静まり返っている。

「デモのあいだも熱心なお客さんは来店してくれていて、収益は少なくとも従来の7割程度はありました。でも、今は3割ほどです」と語るのは、ハリウッドロード沿いにある有名なオズ・バーの店主、ユーリ・トミヤマだ。「当時は欧米系のお客さんもいました。でもコロナウイルスがあらゆるひとに影響を及ぼしている今、このブロックのバーはほぼ閉店してしまったので、近所のひとも見かけなくなりました」トミヤマによれば、彼の店のあるブロックだけで10店舗、地区全体ではもっと多くの店が閉店したという。

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ソーホー、ハリウッドロードの数少ない営業中のバーも、静かな夜を迎えている。

3月11日水曜の時点で、香港では129人がCOVID-19に罹患し、3人が死亡している。この数はアジアやヨーロッパの他の国に比べれば少ないが、香港の企業は既に、昨年の民主化デモによって何ヶ月も苦境に立たされてきた。

しばしば暴動へと発展したデモにより、多くの香港市民のあいだには当局への不信感が生まれた。その結果、現在のコロナウイルスのパンデミックについても、政府の対応が充分でない、と多くの市民が考えている。

香港と中国本土で数百名が亡くなった、2003年のSARSと比較して不安を訴える声も多く、不要な外出を控える市民が増えている。そんな彼らが最初に控えたのが、夜遊びだった。

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有名な〈蘭桂坊〉の看板の周りもガランとしている。

「今は商売にとって最悪な時期で、ここ4ヶ月は賃料も払えないという店も多いです」とトミヤマ。「政府も警察も全く力になってくれないので、誰も信用していません」

ブランドスタジオのアカウントマネージャー、アシュリー・リー(Ashley Lee)は、春節以来夜間の外出を控え、自分や友人のアパートに限られた人数で集まるようにしているという。

「仲間うちで、できるだけ家で過ごし、大人数で集まるのを避け、衛生に気を付けようと決めました。また、夜遊びとなるとお酒を飲む機会が多いですが、それも意識して避けるようにしています」と彼女は明言する。「アルコールは抑制力を低下させます。だからこそ蘭桂坊では、真夜中を過ぎると、マスクをしたひとが一気に減るんです」

香港政府統計局の最近の報告によると、香港の2019年度の食品や飲料の収益は5.9%低下した。デモがもっとも活発化した昨年の第4四半期の収益は、2018年の同時期よりも14.3%低下し、2003年以来最大の下落幅を記録した。

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ソーホー地区屈指の活気あふれる士丹頓街(スタントンストリート)でも、多くのバーやレストランが閉店している。

「少なくともデモのあいだは、影響のある地区は避けて外出しようというひとはいました」と説明するのはシーシャバー〈Boba Bear Hong Kong〉の地域担当マネージャー、マック・イン・ヤン(Mac Ying Yan)だ。「コロナウイルスによって不要の外出を避けるひとが増えており、今では街が混み合うことはほとんどありません」

香港で働くフランス人金融コンサルタントのダミアン・ディートリヒ(Damien Dietrich)によれば、いまだに旅行者でマスクをつけない外国人が多いため、外に出るのを怖がり、習慣を大きく変えた市民が多いという。「僕自身を含め、外出するひとはかなり減りました」

デモとウイルスにより、蘭桂坊やソーホーのようなエリアに足しげく通っていた外国人のや交換留学生の姿も見られなくなった。しかし、外国人に限らず、地元のひとびとはもっと用心深くなっている。「多くのひとが、たとえ友人でも他人との接触を恐れ、できるだけ家で過ごすようにしています」とリーは証言する。

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蘭桂坊のナイトライフの中心、徳己立街も今は人けがない。なかには閉店を決めた有名店もある。

冬の終わりの週末に蘭桂坊やソーホー地区を散策していてわかったのは、日増しに暖かくなり、いわゆるサービス業の〈書き入れ時〉が始まっても、多くの店はただ近年稀に見る試練を乗り切るのに必死だということだ。

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This article originally appeared on VICE ASIA.