Who Are You?:守谷優一さん(33歳) 理容師

「10人で50枚、20人で100枚。カラーとかやると、もうちょい使います。確かにタオルはいっぱいありますね(笑)」

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02 September 2016, 7:23am

引っ越しました。新しい町には新しい出会いがつきものです。早速、松屋の朝定食を食いに行ったのですが、おじいさん4人がテーブル席で朝飲みをしていました。5分後には更に2人がジョイン。券売機を使わず、慣れた感じで「お兄ちゃん、ビールおかわり。あと、牛定をつまみで〜」なんてオーダーしていました。店員さんも慣れた感じで「はーい」って。締めは牛めしかな? カレーかな? ちょっと重そうですね。なか卯だったらうどんがあるのに。らんぷ亭、復活しないかなー。

日々の生活の中で、私たちはたくさんの人たちとすれ違います。でもそんなすれ違った人たちの人生や生活を知る術なんて到底ありません。でも私も、あなたも、すれ違った人たちも、毎日を毎日過ごしています。これまでの毎日、そしてこれからの毎日。なにがあったのかな。なにが起るのかな。なにをしようとしているのかな。…気になりません?そんなすれ違った人たちにお話を聞いて参ります。

守谷優一(もりや ゆういち)さん(33歳):理容師

こんにちは、本日はよろしくお願いします。

よろしくお願い致します。

守谷さんは床屋さんなんですね?

はい。

今日は月曜日だからお休みと。

そうですね。

私も床屋さんにずっと通ってるんですけど、色々謎があります。まずやっぱ、ゴハンはいつ食べてるんだろう?っていうのが。

食べないことの方が多いかもしれないですね。特にスタッフの少ないお店だと。

守谷さんのお店は何人いらっしゃるんですか?

今は、自分の店なんですけど…

あ、経営者さんなんですか?

はい。

カッケー!

夫婦ふたりでやっています。でも、うちの奥さんが免許取立てで、まだカットとかできないので、ほとんどひとりでやってます。

あらー、じゃ、ゴハン食べられないですね。お腹減りません?

せんべいです。

お!裏入ったときに(笑)?

はい。せんべいは便利ですよ。

美味しいですけど、便利というのは初めて聞きました(笑)。お店はどちらでやられているんですか?

江戸川区です。家の近くなんですが、一之江と船堀の間くらいにあります。

お店の名前を教えてください。

『ONESTAR』といいます。

カッケー…! なんでONESTARという名前にしたんですか?

僕の名前が「ゆういち」なので、数字の1を入れたかったんです。最初はただの『1』にしようと思ったんですけど、さすがに奥さんに反対されまして(笑)。それで星を入れた感じです。

お店を始めてどれくらい経つんですか?

4年半くらいです。

もともと江戸川でやろうと決めていたんですか?

はい。中野区の床屋で働いているときに結婚して、江戸川区に引っ越したんです。うちの奥さんが江戸川区出身なんで。ちょうど、結婚と出産と出店が全部重なっちゃいまして。

おおー、忙しかった!

お店も出そうって決めていたので、それなら近い方がいいんじゃないかと。

カットはおいくらですか? ちなみに私が行ってるところは4500円です。

カットは4100円ですね。

床屋さんって最高ですよね。髭剃りあって、シャンプーも気持ちいいし、マッサージも、耳掻きも。

うちは耳掻きないんですけど(笑)。

あら! ONESTARは耳掻きないんですか?

僕が前に働いていたお店もやってませんでした。

え、そうなんですか? じゃ、耳掻き後の「トントン」も?

「トントン」知りません。年齢が上の方がやってるお店だったら、結構あるのかもしれないですね。

じゃ、白髪ボカシは? 私、最近マストなんですけど。

カラーはありますけど、ボカシはやっていません。

もしかしてアレですか? ONESTARってオシャレなお店なんですか?

まぁ、ちょっと中途半端なところに行ってまして。

中途半端ですか(笑)。

うちは奥さんが美容師なんです。で、僕がバーバーなので、ちょうど真ん中くらいの。

確かに サイト もおしゃれ、お店もおしゃれですねぇ! おっさん入店禁止ですか?

全然大丈夫ですよ(笑)。お客さま、いらっしゃいますよ。

タオルって、1日でどれくらい使うものなんですか?

え…あれ…そういえば数えたことないですね(笑)。

相当ですよね。業者さんが来るんですか? タオル屋さんが?

うちくらいの規模だと自分で洗います。イスが5台くらいまでのお店だったら、自分たちでやってると思いますよ。

洗濯機回しっぱなしですか?

そうですね。顔を拭くようなタオルは回しっぱなしです。

ひとりに対してだいたい何枚くらい使います?

5枚くらいですね。だから、10人で50枚、20人で100枚。カラーとかやると、もうちょい使います。確かにタオルはいっぱいありますね(笑)。

もともと床屋さんになりたかったんですか?

いえ、中学校くらいからずっと美容師になりたかったんです。ちょうどブームだったんですよ。

んん? ブーム?

はい。キムタクのドラマとか、深夜にやってた『シザーズリーグ』とか。

ああー、常盤貴子とのやつか! 最終回だけ観ました。そんなにブームだったんですか?

はい。ファッションにも興味があったので、「これだ!」と。ただ、内申点が足りなくて、高校から専門学校に推薦を出してもらえなかったんです。北海道理容美容専門学校という人気の学校だったんですけど、ちょうどブームのときだったので、入学希望者もたくさんいたんです。一般試験で入る方法もあったんですが、学力的に無理だと。そしたら先生が「最近、床屋さんも女の人をカットしたりもするみたいだぞ」って。「あ、そうなんだ。簡単に受かるんだったら、そっちの方がいいな」って。それで美容科ではなく、理容科に行きました。

内申点が足りなかったってことは、高校のとき悪さばかりしていたんですか?

いえ、一瞬です。まぁ、その、高一のときに単純に停学になった時期がありまして。

なんで停学になっちゃったんですか?

あんまりアレですね(笑)。人様にいえないヤツですね(笑)。

痛いヤツですか?

痛くはないヤツですね。

カバンに入れるヤツですか?

いや、まぁ(笑)。

吸うヤツですか?

いえ、その、あんまり本当にまずいヤツですので(笑)。

わかりました。まずいヤツならボカシましょう。白髪ボカシの特別サービスですよ。ご出身も札幌なんですか?

いえ、士別市ってところです。ちょうどこの間台風でニュースになったところです。

北海道の真ん中上あたりのところですね。やっぱり雪、すごいんですか?

ええ、やばいですね。

お家のお仕事は何をされているんですか?

農業をやっています。穀物が多いのですが、米、大豆、小豆、あとはビートとか…

ビート?

砂糖大根です。一番メジャーどころだと、ポカリスエットとかの甘味に使ってますね。

へぇ〜、知りませんでした。やっぱビートって聞くと「たけし」か「きよし」が出てくるんですが、守谷さんはやっぱ「砂糖大根」が1位なんですか?

どうでしょうか。

じゃあ、小さい頃は、お手伝いとかもガッチリ?

ガッチリしました。それがイヤで継がなかったんですけど。

冬はどうされているんですか? 雪が降ってる間は?

無職ですね。お父さん。

お父さん、何をやってるんですか? お家にずっといるんですか?

パチンコですかね。

アハハ!

あとは農協の仕事をチョロチョロやったり。元気な若い人は、出稼ぎみたいな感じで内地の方に行ってます。

なるほどー。では、小学校のときは何をして遊んでました?

何してましたかねぇ…。小学校、本当に人数が少なかったので。

何人くらいなんですか?

全校生徒が40人くらいで、同級生が僕を入れて8人。サッカーも野球もできないんですよ(笑)。

確かに(笑)。

それをいかに工夫してやるか? っていう。サッカーは単純にゴールをずらして小さくしてましたし、野球もスリーベースは無理なので、ツーベースにしてました。それでも厳しいんですよね。人数が少なすぎて外野が配置できないんですよ。少しでもボールの滞空時間を設けるために、卓球の球とバドミントンのラケットでやってました。

ナイスアイデア! ピンポン玉だからカキーンって打っても…

はい、かなりの滞空時間になります(笑)。セカンドとかショートを守りながら、ライト、センターまで全然守れる。

でも野球自体はあんまり上手くならないでしょうね。

ならなかったですね。

失礼ですけど、近くにスーパーとかありましたか?

ないですね(笑)。あ、一件ありました、個人商店が。おばあちゃんがやってるんですけど、そこは基本的に賞味期限が切れてまして(笑)。

(笑)。

だから買い物を頼まれるときは、「賞味期限をちゃんと見て買って」っていわれてましたね。あとは車で大きいスーパーに行って一週間分くらいまとめ買いしてました。とにかく何もないんです。広いだけ。

じゃあ、外で遊んで、わんぱくSTARになられたと。あ、ONESTARだ。

わんぱくっていうか(笑)。そうですね、とにかくうちは兄弟喧嘩が酷かったので。一個下の弟と。

どんなことで喧嘩するんですか?

やっぱ食い物です(笑)。

何を取り合うんですか?

ポテチですね(笑)。だからひとり暮らしを始めたときに、やっとひとりで食えて嬉しかったです。

ポテチを勝手に食っちゃって喧嘩ですか?

いや、基本的にみんなで食べようっていうルールはあったんですよ。必ず真ん中に置いて。ただ、その袋がどっちを向いているか、それで喧嘩です。その向きで。

開け口の向きですか(笑)?

そうです。イラついてるときとか、もうぐっちゃぐちゃになりますね、ポテチが。

真ん中開けにすればよかったのに。お皿にもなるし。でも楽しそうですね(笑)。

楽しかったです。

食い物っていったら、士別市って北海道の真ん中の方じゃないですか。お魚とかもあるんですか?

ないです。寿司とかも美味しくないんですよ。

なるほどー。北海道物産展っていったら、イクラ! サーモン! ウニ! とかのイメージがありますけど、やっぱ違うんですね。

はい。もう全然、美味しくない。

じゃあ、お肉メインですか?

はい。でもジンギスカンですね。牛肉とか豚肉も食べますけど、ジンギスカンが多い。焼肉もずっとジンギスカンのことだと思ってましたから。

牛カルビとか豚バラじゃない?

はい。札幌に出て来て、友達と焼肉屋に行ったんですが、メニューを見て「え!ジンギスカンないじゃん! ずっと騙されてたんだ」って。バーベキューしようっていってもジンギスカンですし。

でもジンギスカンはお好き?

好きです。

私も!最初はちょっと苦手だったんですけどね。それでは中学時代に参りましょう。やっぱり人数は少なかったんですか?

中学校は町の方に行ったんですよ。市街地の方に。だから一学年4クラスはありました。

自転車通学ですか?

はい。

でも冬はどうするんですか? 雪、大変でしょう?

雪の日々は、父が無職なので、車で送ってくれるんですよ。

そっか! うまいことできてますね。

たまにバスも乗りますが、朝は一本しかないので、乗り遅れちゃうと学校に着くのが昼とかになっちゃうんです。

いきなり給食なんですね。部活とかやってました?

バスケットをやってました。完全にスラムダンク世代なので。でも本当に身長が低いので、6番目の選手ですね。あとから出てくる感じでした。

中学時代も停学したんですか?

いえいえ、ありません(笑)。比較的真面目な感じで。

じゃ、そのブレイクしちゃった高校の話を。どちらの学校に行ったんですか?

地元の商業高校です。うちの周りは、高校のランクが上・中・下しかないんですよ。

どういうことですか?

上が進学校で、商業高校が中。で、下になると本当にトイレでタバコを吸う感じのところです。8割、9割、ちょっと怖い人たちばかりです。

(笑)。商業高校だから、女の子多かったんじゃないですか?

いや、上・中・下の中なので、男子の方が多いんですよ。商業なのに女子は少なかったです。

で、悪い子になるんですよね。なにがきっかけですか?

うーん、友達でしょうね。

どんな風に悪かったんですか? 学校に行かなかったり?

いえ、学校は行きました。それも結構朝早く。

エライですね(笑)。

家も遠いので(笑)。でも授業中は寝てました。やっぱり早く行ってるので(笑)。

悪い友達と何してたんですか?

何もないんですよね。まぁ、デパート行ったり…士別市にSAIJOっていうデパートがあるんですよ。ジャスコの小さいやつ。SAIJOかボーリング場、あとは友達の家で遊んでましたね。

それで高校一年生で停学と。原因はボカシます。

ありがとうございます(笑)。秋くらいだったと思います。やっちゃったなーって。

お父さん、お母さんは怒りました?

怒ってましたね。でもよく覚えているというか、ちゃんとしなきゃって思ったのが、そのときなんですけど、停学になると親が呼び出されるじゃないですか。お父さんが迎えに来たんですけど、ちょうどそのとき、大豆か小豆の脱穀の時期だったんですよ。

あらー、もう忙しいとき。

そうです。豆を入れてダダダダダダ!って。もみ殻が飛ぶんですよ。その最中だったらしく、普通だったら着替えてくるのに、そのままオーバーオールで、ドロドロで、顔は拭いてキレイだったんですけど、「オヤジ来たな…」ってチラッと見たら、パンチパーマの中に、もみ殻が一粒挟まっていて。

アハハハハハ!!! あ、すいません、お父さん。

それ見たときに、「もみ殻も気がつかないくらいオヤジ焦ったのか」と。もうバカなことはやめようと決めました。

本当に申し訳ないんですけど、パンチパーマの中にもみ殻って最高ですね! 本当に申し訳ないんですけど、10粒くらいあったらいいなとも思いました。

取ったと思うんです。でも一粒だけ残っちゃってました。

でもお父さんの力で真面目になってよかったです。じゃ、そのあとは?

陸上部に入りました。あとはスケボーやったりバンドやったり。

あ、バンドもやってたんですか? どんなの?

やっぱりそのとき流行ってるやつを。MONGOL800とかB-DASHとか、そういうメロコア的なのです。

スタジオに入ったりしたんですか?

スタジオなんかありません。友達の親戚のおばちゃんが引っ越した空き家とかでやってました。

ライブもやりました?

はい、でも卒業ライブとか、先輩と一緒にやったりとか、そんな感じです。

モテたんじゃないですか? 守谷さん、シュッとしてるし。

モテましたよ、多分。

お! 高校生のときは何人くらいとお付き合いを?

いや、少ないです。ふたり(笑)。

初めてのお付き合いでしたか?

いや、中学のときもありましたけど、中学生ですから、付き合うって感じでもありませんし。

まあね、そうですよね。中学校のときはエッチなことも無しで。

はい、そうですね。それに、家が遠いので町の子と付き合っちゃうと…

「町の子」っていいですね!!

学校からうちまで7キロくらい離れてるんですよ。普通に信号ほとんど停まらずに自転車でぶっちぎっても30分はかかるんですよ。それで付き合ってるっていっても、学校が終わって、部活が終わって、町の子を家まで送り届けて、そこから家に帰ると10キロくらいあるんです。そりゃ疲れますし、嫌になります。

そうですよね(笑)。高校のときは町の子じゃなかったんですか?

いえ、全部結局、町の子です。

町の子とは、どういうデートをしていたんですか? やっぱ町でデートですか?

いや、やっぱりほとんど一緒に帰るだけですね。そう考えると卒業してからですね、ちゃんと付き合ってデートとかするのは。

じゃ、エッチなことは高校のときもなかったんですか?

ありましたけど、付き合ってた子じゃありません。

詳しく教えてください。

えっと、他の高校の同級生だったんですけど、みんなで飲んでたんですよね。

はい。

友達の家が中華屋だったんで。

いいですね(笑)。

中華屋の宴会場で、みんなで飲んでて、なんとなくそうなりました。

え、その場で、ですか?

はい、その場で(笑)。

乱交ですか!!

いや、違います(笑)。カーテンがあったのかな? カーテンか何か閉めた気がするんですよ。

じゃあ、宴会場のいろんなところでピコピコしてたんじゃないんですね?

ないです。うちらだけです。

よかったです。

はい、最初はそんな感じでした。

そして高校3年生。美容師になりたい、農業は継がない、パンチのお父さんは怒りませんでしたか?

お父さんも、継がなくていいってずっといってたんです。当時、北海道の農家ってあんまりよくなかったので。

そうなんですか。

震災後は、北海道のお米も関東圏で増えてきたんですけど、当時は厳しかったので、好きにやっていいといわれていました。

そして、高校を卒業して床屋さんの学校ですね。どんな毎日でしたか?

忙しかったですね。朝行って15時、16時くらいまで、ガッチリ授業がありました。

床屋さんの専門学校って、最初にどんな勉強するんですか?

まず、普通の授業です。皮膚の知識だとか、ハサミの部位の名前とか、髪の毛の構造とか。

ああ、なるほど。クセっ毛の人もいますものね。

毛髪科学みたいなものも勉強するんです。あと、技術の一番最初はシャンプーですね。みんなで洗い合います。

おおー! じゃあ髪の毛はいつでもイイ匂い?

そうですね。1日に2回とか、家でも洗うから3回ですね(笑)。冬場とか、みんな乾燥してましたね。

髭剃りとかは? やっぱり風船で練習するんですか?

風船はやらなかったです。

人形ですか?

いえ、人間同士で。

ええっ! いきなり?

最初は人形か何かで、カミソリを動かす順番の練習をやって、それが終わったら先生を見ながら人間でやるんです。

やっぱ、髭剃り初日は、みんなビビってるんですか?

ビビってますね。ワーワーって。

みんなで剃り合うんですか?

はい。でも人を選びますよね。僕は髭が薄いから「一緒にやろう」って、いつもすぐにまとまるんですけど、濃いヤツは最後まで余ってるんです。

アハハ! やっぱ濃いと難しい?

はい、僕も濃いヤツとはやりたくありませんでした。

カットはもちろんですけど、パーマの技術も学校で覚えるんですか?

パーマは巻くだけですね。

お父さんのパンチパーマは?

パンチはやらなかったですね。普通のパーマだけです。

お父さんにパンチ巻いて欲しかったなぁ。「オヤジ、もみ殻入ってんぞ」なんてね! さて、学校を卒業したら自動的に免許はもらえるんですか?

いえ、国家試験を受けないとダメです。

国家試験って、どんな内容なんですか?

最初に実技をやります。その一ヶ月後に筆記があるんです。自分が実技を受かってるのかどうかもわからないまま筆記をやるんですよ。結構ドキドキしましたね。

それで見事合格して、床屋さんになられた訳ですが、東京での就職はずっと考えていたんですか?

いえ、そうでもなくて、東京の大きなサロンがありまして、そこだったら行きたいな、くらいのモンだったんです。そのサロンが、学校まで面接に来てくれたんですけど、なぜかその面接のときに、制服のパンツを完全に腰履きしてて…

もみ殻で更生したハズなのに! なんで上げなかったの!

わかんないです。バイトで疲れて、寝ぼけていたのかもしれません。「とりあえず君は、ズボンあげようか」っていわれて。終わったなーと思って。まあ、本当に終わったんですけど(笑)。

で、どうしたんですか?

地元に一回帰って、土建屋の友達のツテで働こうかなって。親にも一度帰るっていったんです。でも先生が「卒業生が東京で店をやってるから、そこに行ってみれば?」って薦めてくれまして、それで面接して、中野のお店に就職しました。新中野です。

おめでとうございます。入店初日のこと覚えてます? もちろんすぐにやらせてもらえないですよね?

はい。初日のことは未だに覚えてますけど、ワックスとか棚に並んでるじゃないですか?

はい。

みんな、取って使うじゃないですか。延々その向きをちゃんと見えるように直してました。

アハハ!!!GATSBYとかunoとかのロゴを(笑)?

はい。

GATSBYの向きを直せっていわれたんですか?

いや、やること少なかったので、自分から。

エライ!

あとは掃除とか。延々それだけやってました。

次の段階としては、シャンプーですか?

はい、シャンプーですね。

どれくらいでシャンプーってさせてもらえるんですか?

2、3週間ですね。

あ、思ったより早い。初めてお客さんにシャンプーしたときって覚えてます?

覚えてるような、覚えてないような。もちろん緊張はしていたと思います。だいたい襟を濡らしてしまうんです。頭を上げてジャーって後ろを流すじゃないですか? あのときに手の甲がしっかり首元についてないと、隙間からチョロチョロチョロって出ちゃうんです。襟が高いワイシャツだったりすると、結構気をつけないと。

なるほどねぇ。頭上げるのもコツがあるんですねぇ。で、シャンプー時代が終わると、次は何がくるんですか?

シャンプーが終わって…マッサージもシャンプーにセットなので、シャンプーマッサージが終わって、次は顔剃りですね。顔剃りが一番やばいですね。

でしょうねぇ! 覚えてます?

はい。しかも一番最初のお客さん、すごい濃い人で。

来ちゃいまいしたか!!

はい(笑)。お店が回らないくらい忙しい日だったんです。「これ俺がやらないと回らない」とわかるくらい。それで自分から「僕やりましょうか?」って。

やっぱエライ人だな!

「大丈夫か?じゃあやってみろ」と。

もちろんお客さんに、「今日が初めてです」とはいえないですよね。タクシーの運ちゃんは良く使いますが。

今まで、先輩の髭とかは剃ってたんですけど、みなさん、そんなに濃くなかったんです。そしたら、そのお客さんの最初の一列目のヒゲだけで、刃がピッて止まったんですよ。硬くて。

やっぱ学校時代に濃い子で練習しておくべきでしたね!

でも行くしかないなってジョリジョリやりましたけど。

大丈夫でした(笑)?

まあ、血は出なかったです。

やっぱその頃は、髭モジャのお客さん来ると、「うわー!」とか思ってたんですか?

そうですね。でもやはり慣れて来ました。

切るのはどうですか? 先輩の髪の毛を切ったりして練習するんですか?

先輩の髪の毛も切りますが、自分でモデルさんを連れてくるんです。僕の場合、たまたまカットモデルのお願いで声をかけた男の子が、大学の体育会の子だったんですね。そこから芋づる式に、大学生の髪の毛を切ってました。

体育会系専門ってカッコイイですね! スポーツ刈りみたいな感じにカットしてたんですか?小川直也みたいな。

いや、そこは普通の大学生みたいな感じです。

そうですか。ちなみに、どれくらいで髪の毛を切らせてもらえるんですか?

僕は4年くらいでした。

ええ!4年も!!

お店が小さいので、上の人が抜けないと上がっていけないんです。

あー、そういうシステムなんですね。

私は、スライド式に3番目に上がって、その次の年くらいに2番目の人が抜けて、また上がりました。

独立されるまで、どれくらい勤務されたんですか?

29歳のときに独立したので4、5年くらいですね。

地元に帰って土建屋にでも…って方が、どうして独立しようと?

なんででしょう(笑)。そんなに野心とかも無かったんですけど。でも「自分の好きな空間で、自分の好きなように仕事ができたら面白いかな?」っていうのが出て来てはいました。あと、カットのコンテストで優勝したんです。それもきっかけになりました。ちょっと自分でやってみようって。

わー、チャンピオンだったんですね! スゲエ!! でもいくらチャンピオンでも、新しいお店にいきなり新規のお客さんって来ないですよね? 私もずっと同じ床屋さんですし。

確かに最初は、入ってこなかったですね。でも、パッと見て「何だろう、この店?」って、気お客さんが気になるような店造りにはしました。

あー、だからこんなにおしゃれなんだ。

僕は自転車が好きなので自転車を置いてみたり。ちょっと覗きたくなるような感じにしたんです。

じゃあ今は落ち着いて?

そうですね。あと、前のお店からのお客さんが来てくれたりで、なんとか。

もうちょっと訊きたいのですが、生まれてから何回も髪を切りに行ってますけど、なんてお店の人に頼んだらベストなのかがわかりません。どうしたらいいんですか?写真とか持って行った方がいいんですか?

写真はいいですね(笑)。

でも、「オマエはそうならないぞー写真みたいにならないぞー」みたいな雰囲気を鏡越しから感じるじゃないですか? もちろん口にはされませんけど。

それは、いわないですよね(笑)。

やっぱ写真じゃない方がいいのかなぁ? なんていったらいいんですかね?

お任せが一番いいと思いますよ。

お任せかぁ。一番似合うやつにしてくださいって?

はい。

じゃ、一番いわれて困るのってなんですか?

困るヘアースタイルですか? うーん、無いものを増やせっていわれるのが一番困りますよね。

アハハハ! そりゃ困りますわな! じゃ、最後に今後の夢みたいなものとかってあります? 2店舗目を出すとか?

そうですね、でも2店舗目は飲食店がやりたいんです。

あ、そうなんですか!

人がちょっと集まりやすいような場所をつくりたいとは考えています。

守谷さんが料理するんですか?

僕は出来ないんですけど、いい人材がおりまして。

ほうー。

一緒に札幌から床屋になるために上京したヤツがいるんですが、すぐに辞めちゃってプラプラしてるんです。そいつが料理出来るんでお願いしようかと。変なヤツなんで、今度こちらに紹介しますね。

人材派遣もできるんですね! もう青年実業家ですね!

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